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反逆無双の重力使い~『無能』と呼ばれて蔑まれた少年は、封じられた力を取り戻して『反逆者』へと至る~  作者: 久遠
四章・自由を手にした反逆者は得物を求めて国を渡る

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反逆者は地に降り立ち、監視者を名乗る者と相対する

新キャラ登場?

 


 地上から自身へと向けられた呼び声に応え、呼び止められる形にて呼び掛けを行った者の元へと降下して行くシェイド。



 その速度は、周囲への配慮と共に、彼自身があまりその行動に乗り気では無い、と言う事を示すかの様にゆっくりとしたモノとなっていた。


 とは言え、呼び止められた時よりも確実に高度は下がっており、一応は呼ばれるままに対面するつもりは在る、と言う事は伝わっているらしく、地上にて飛び跳ねたり腕を振り回したりして必死に存在をアピールしている人影の方はソレを気にした様な素振りを見せる事は無く、寧ろ満足そうに胸を張って待機している様子ですら在った。



 …………一瞬だけ、このまま飛び去ってしまった方が面白い事にならないかな?とも思案したシェイドであったが、流石に攻撃を受けた訳でも、敵意を見せて来た訳でも無い相手に対して初手からそんな行動に出るのは人としてどうなの?と思わない事も無いし、何よりそんな事をして無用な敵を増やす可能性を広める必要性は無いだろう、との判断より、その選択肢を投げ捨ててフワリッと地面へと降り立って見せた。



 彼を呼び止めた人影とは、数m程離れたその地点。


 ソコに無事着地したシェイドは、その身からジワリと魔力を滲み出させながら、目の前マントとフードにて身体をスッポリと覆い、表情処か体型、性別迄も覆い隠しているその不審者丸出しな人影へと声を掛ける。




「…………それで?

 俺の勘違いじゃ無ければ、故意的に俺の事を呼び止めようとしていたみたいだが、俺に何の用だ?そもそも、俺を『俺』だと認識した上で呼び止めたんだろうな?

 そこら辺、キッチリ答えて貰うぞ?」




 その言葉に対してその人影は、自身が目深に被っていたフードへと手を掛けると




「はいはい、ソレは当然やりますよぉ。

 でも、その前に『コレ』を見て貰うのが一番分かりやすいと思いますんで、取り敢えずホイッと」




 との高く細く耳に聞こえの良い声色にて告げると同時に、そのフードを背後へと流し外して行く。




 …………するとソコには、両の米噛み付近から、まるで羊か何かの様に生えている捻れた角と、紫に染まっている瞳と長い髪を持った美女の姿が現れたのだ。




 その姿に対してシェイドが、訝しむ様に眉を潜めつつ視線を向けていると、マントの内側に入れていた長い紫色の髪を外へと引き出すと、バサッと振り払う様にして広げながら背中へと流して行く。


 そして、それまでの冷涼な美貌にニヤッとした笑みを浮かべると、改めて彼へと向けて口を開いて行く。




「……おや?どうしました?

 もしかして、フードの中から現れた私の素顔が、予想外に美少女でビックリしちゃったとか?それとも、もしかして一目惚れでもしちゃいました!?んん??」



「……んな訳が在るか。

 聞いていた話、『見れば分かる』って言葉の通りだと思っていたら、余計に目的が分からなくなったから混乱していただけだ。

 お前、一体何なんだ?魔力の感じは、前に遭遇した魔族に似ている気もするが……?」



「………………はい?え?ちょっと、待って下さいよ?

 貴方、もしかして私の姿を見ても分からないとか言うつもりですか?こんなにも、魔族としての特徴である角と紫を示しているのにも関わらず、私の正体と目的が分からない、と?そこまで愚かしいとは、彼の報告からは思いませんでしたよ?」



「…………あ?なに?喧嘩売ってるのか?

 そもそも、俺達の見識としては、『魔族の特徴』なんてモノは紫色の肌、位しか伝わって来て無いし、事実として以前遭遇したズィーマのヤツはそうだったんだが?」



「……………………あちゃ~、まずはそこからかぁ……」




 美しい髪を振り乱し、まるで頭痛を抑えるかの様にして額に手を当てながらそう溢す自称魔族のその女性に対してシェイドは、どう言う事なのか?と視線にて問い掛ける。


 すると女性の方も、額に当てていた手を外すと、若干済まなさそうにしながら再び口を開いて行く。




「…………え~っと、取り敢えず互いの認識に齟齬があった、と言う事で、さっきのやり取りは忘れませんか?

 それで、魔族の定義についてなんですけど、もしかして人類には『肌が紫色をしている』って程度しか伝わって無かった感じになりますか?」



「…………まぁ、大体は?

 後、闇属性を持っているヤツが大半を占めている、とか、人類に対しては絶対的に敵対している、だとかかね?」



「………………はぁ、流石に笑えませんねぇ……幾ら人心を纏めるのに丁度良かったからって、そんな雑な伝え方だけされても迷惑なんですけどぉ……」



「………………?」



「……あ、いえ、こちらの話です、えぇ。

 で、魔族の定義なんですが、確かに『肌が紫色をしている』と言う者が多く、大半がそんな感じですが、あくまでも私達が定めるモノとしましては『角を持ち、身体の何処かしらが紫色をしていれば魔族』と言う感じなんですよね。

 ただ単に、その大半が肌の色、と言う形で形質が現れると言うだけなんです」



「…………ふぅん?じゃあ、以前会ったズィーマも、肌が紫色で角が生えていたから魔族、あんたも瞳と髪が紫色で角が生えているから魔族、って事で良いのかい?」



「えぇ、そうですよぉ~。

 ついでに言っておきますと、別段人類を見掛けただけで殺さずには居られない!とか言う程にバーサークしているのなんて一部の過激派だけで、その他大勢はそんな事は無いですからね?現に、私だって貴方に襲い掛かってはいないですし?ね??」



「まぁ、ソレはズィーマの件で理解してるさ。あいつだって、お仕事だったし、あいつが『勇者』だなんて名乗っていたから戦う羽目になったんだろう?俺がやりあったのだって、俺が仕掛けたのに乗っかって応戦した、ってだけの事だろうしな」



「…………へぇ?そう言う部分にも、ご理解頂けているんです?

 もう名前出されちゃってるのでこっちも出しちゃいますけど、ズィーマさんからも『戦う事にはなったが不思議な程に嫌悪感も無く友好的な雰囲気を感じた』って聞いていたので、どんな人かと思っていたんですけど、本当に意外な程に当たりが柔らかいですね~。

 本当に、人類にしては不思議な位に、ね……」



「……?……まぁ、良いか。

 それで?あんたが魔族だ、って事と、ズィーマが無事に帰った事とあいつとあんたが繋がりが在るっぽい、って事は分かったが、本題は何なんだ?

 わざわざこうして接触して来たって事は、ソレなりに理由と用事が在るって事だろう?」



「あ、やっぱりソレ聞いちゃいます?」




 そうやって、軽い感じで言葉を返して来た魔族の女性であったが、その雰囲気はソレまでの緩やかなモノとは異なっており、何処か重圧にも似た何かを感じさせるモノへと変化していた。



 ソレにより、対面時から緩やかに垂れ流しにしていた魔力の出力を上昇させ、シェイドも戦闘体勢へと緩やかに移行させて行く。



 …………両者による敵対的では無いにしても、緩やかに緊張が高まって行き、いざ最高潮へ!と言う頃合いにて魔族の女性の方が緊張感を解除してフニャリとした笑みを浮かべ、まるで『降参』と言わんばかりに両腕を掲げて見せる。


 ソレにより、すわ戦闘か?と期待と緊張を高めていたシェイドも目を丸くすると同時に、どうやらやり合うつもりは無いらしい、と悟った為か、それまで垂れ流しにしていた魔力を納めて手振りで彼女へと説明を促して行く。




「…………いや~、済みませんねぇ?種族柄なのかも知れないんですが、これから行動を共にする相手の力量位は測っておかないと安心出来ないんですよね~」



「…………あ?行動を、共にする?一体、何を……?」



「あはははっ、いやねぇ?確かに、貴方の伝言はズィーマ隠密方頭から陛下へと伝えられ、陛下も『絶対的に中立の立場を貫くのであれば黙認しよう』と仰られております。

 ですが、だからと言って魔族の中でも手練れの類いに当たるズィーマ隠密方頭の事を、幾ら彼が最も苦手とする真っ正面からの戦闘であったからと言って軽くあしらえる様な戦力を野放しにするのも論外、と言う事になりましてね?」



「…………だから、魔族(そちら)に対して敵対的な行動を取らない様に、見張りを送り込んで来た、と……?」



「そう言う事です大正解~!

 お姉さん、そう言う理解の早くて強い人は大好きですよ~?」



「俺も、あんたみたいな美人さんは嫌いじゃ無いが、随分と一方的に物事を決め付けてくれやがるんだな?

 ソレを厭って、俺があんた達魔族と敵対する、と決めない保証は無いと思うんだが?少なくとも、少しでも俺の事を調べていれば、そんな手には出て来ないハズなんだがな?」



「…………あははっ……まぁ、その辺はズィーマさんからの報告でも読み取れたし、陛下も下手に刺激するのは良しとはしなかったんだけどね~。

 でも、まだ戦端も開かれてはいないとは言え、一人で戦況をひっくり返しかねない様な戦力が、自分では『あ、俺は関係無いですから』って言いながらそこら辺フラフラされているだなんて状況、心配せずに黙って見てろ、って言う方が厳しく無い?

 憎き人類と戦争だ!って盛り上がってる最中で、そんな事言われたら『じゃあさっくり暗殺すれば良くない?』ってなっちゃっても不思議は無いでしょう?ね?」



「…………つまり、あんたを連れて行かないと、何時うざったいだけの暗殺者を寄越される羽目になるか分からない状況になりかねない、と?」



「そう言う事。

 ごめんね?コレでも、陛下も頑張って交渉して、最大限貴方の自由と意思を尊重する形に過激派の意見を譲歩させたんだよ?

 悪いけど、戦争が一旦収まるか、もしくは過激派連中が貴方の事を『無害だ』って認識する迄は我慢してくれないかな?これでもお姉さん、色々と出来るつもりだから結構役に立つと思うよ?」



「………………はぁ、この場合は、俺が折れるしか無いだろう、な。

 あんたがその暗殺者だ、って可能性は否定出来ないが、ソレを気にしていては始まらないからな……」



「おっ!?納得してくれた!?

 いや~、そう言ってくれると、お姉さんとしても助かるのよ!有難うね?」




 そう言って、爽快感すら感じさせる柔らかな笑みを浮かべると、半回転して柔らかく真っ直ぐな髪を周囲へと振り広げてからシェイドへと向き直り、悪戯好きな子供の様な表情にて敬礼の真似事をしながら彼へと名乗りを挙げるのであった。





「じゃあ、取り敢えずよろしくね?

 私はサタニシス!サタニシス・ケーニッヒャ!気軽にニースお姉さん、って呼んでくれても良いんだよ?」





…………この女、一体何者……?

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― 新着の感想 ―
[一言] あれぇおかしいな?なんか主人公の為に裏で何か色々と便宜を図ってくれていた魔王とか魔族の方が人間側よりまとも見えるんだが…でもこの娘なんか胡散臭いんだよな~主人公に対して何か隠してる様にも見え…
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