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反逆無双の重力使い~『無能』と呼ばれて蔑まれた少年は、封じられた力を取り戻して『反逆者』へと至る~  作者: 久遠
八章・反逆者は『精霊国』にて己の現状を知る

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反逆者は冒険者ギルドにて衝撃的な話を耳にする

私事ですが、この度『ネット小説大賞』の1次予選に本作品ともう一つが通過しておりました!(ヒャッフーヾ(≧∀≦*)ノ〃)


未だに2次選考を突破した事は在りませんが、応援して頂けると作者としても嬉しいのでよろしくお願い致しますm(_ _)m

 


 サタニシスと共に都市へと足を踏み入れたシェイドは、彼女が仕入れてくれた情報に従って通りを進む。


 馬車通りにもなっているらしいソコは、外の大門と同じく無数の馬車が行き交えるだけの広さを備えた造りとなっており、当然の様に人々の雑踏の密度もそれ相応のモノとなっていた。



 そんな人々や馬車の間を掻い潜り、まるで無人の野を行くが如き速度にて、二人はサクサクと進んで行く。


 時折、二人の移動速度に驚いた子供が目を丸くしたりする事もあったが、そんな時にはシェイドが口元に人差し指を立てて『黙ってようね(言わないでね)?』と若干の魔力と共にお願いし(釘をさし)たり、サタニシスが人好きのする笑顔と共に手を振って見せたりする、と言った場面が在ったりするものの、概ね問題らしき問題は発生せず、また発生する前に目的地であった冒険者ギルドの前へと到着する事に成功した。




「…………コレが」



「さっきの外壁程じゃ無いけど、ここも結構雰囲気在るよねぇ~」




 歴史を感じる佇まいに加え、壁面を不自然さが無い程度に蔦に覆われたその建物を眺め上げながら、自然と二人の口から呟きが溢れ出る。


 しかし、その呟きをもたらした感動や歴史の重み、と言ったモノは、外壁を目にした時に魔道具によって無理矢理植え付けられたモノとは異なり、至極自然に彼らの心の内へと現れたモノであった。



 暫くの間、そうして建物を見上げていた二人であったが、あからさまな迄に旅装のままである二人組が、そうして何時までもそこでギルドを眺め回しているのが不自然であったのか、周囲を行く人々から様々な種類の視線を向けられる事となってしまう。



 あからさまに田舎から出てきたばかりの『お登りさん』だとして嘲笑する様な視線はまだしも、未だに登録したばかりの新人辺りだろう、と当てを付けて難癖付けてやろうと企む良からぬモノや、不審者として然るべき場所へと通報しよう、としているモノまで本当に様々な思惑と種類の入り交じった視線を向けられる事となっていた為に、二人は多少とは言え慌ててギルド内部へと足を踏み入れることとなってしまう。



 流石に、建物内部へと入ってしまえば外部から向けられていた様々な視線は遮られ、不快な意図の類いを締め切る事には成功する。


 が、その代わりに、慌てた様子にて飛び込んできた、見慣れぬ二人組に対する『訝しみ』と、何処の誰なのか?と言った問い掛ける様な視線が四方八方から突き刺さる事となってしまう。




「…………あ゛?」




 ━━━ゴッ…………!!




「「「「…………っ!?」」」」




 …………しまうが、半ば反射的にシェイドがそれらの視線に反応し、ほんの僅かな殺意と共に全周囲へと魔力を放ち、彼らへと向けて無遠慮な視線を向けていた者達に対して反撃も兼ねて釘を刺しておく。




『探るな。死にたくは無いだろう?』




 言葉にはされずとも、差し向けられた魔力の種類と殺意の強弱により、自ずと探りを入れようとしていた面々はそのメッセージを受け取る事となった。


 その為に、ある者は浮かせ掛けていた椅子へと再び腰を下ろし、ある者は足早にその日はギルドを後にし、またある者は滴り掛けていた冷や汗を人知れず拭い去る事となってしまう。



 …………が、それはあくまでも『彼らに探りを入れようとしていた()()()()()()()()()()()』のみであり、そうでは無い者達にとっては、二人は『絶死の存在』では無く良く言って『見慣れぬ二人組』下手をすれば『如何様にでも出来るカモ』でしか無く、当然の様に絡んで『良い思い』をしようと企む者も、少なくは無い量が残ってた。



 その中でも一際手が早く、女好きで自分よりも下だと認識した相手は殴って当然だ、と思っている倫理観が何処かに行ってしまった様なチンピラが、酒に酔って霞掛かった思考のままに二人へと近付いて絡もうとしたのだが…………




「……ヒック!

 おい、テメェ!随分と良いオンナ連れてんじゃねぇかよ。

 テメェみたいなガキにゃ勿体ねぇから、俺様が遊んでや「うるさい。黙れ。死ね」あ゛…………げびゅ!?!?」




 が、案の定真っ先にサタニシスへと粉を掛けようとしてくれていた為に、その横にいたシェイドがそのチンピラを無傷で帰してやるハズも無く、セリフの途中で彼の拳がチンピラの顔面のど真ん中にめり込む事となる。


 ソレにより、寸前までは威勢良く罵声を吐き出していた口からも白い欠片が何本が吹き飛ぶ事となり、最後は湿気の多く柔らかな『何か』を叩き潰した様な音となって周囲へと響く事になってしまう。



 その事態には、流石に静観を決め込んでいた者や、彼からの『警告』を受け取った者も椅子を蹴り倒して臨戦態勢となり、沫や大乱闘か!?と言った様相を呈する事となり掛けたのだが、ギルド側の職員による強制的な介入によって、半ば無理矢理治められる事となった。



 当然、新顔であり事の切欠にして中心となっていた二人は、他の面々から引き離されてギルドの奥へと通される事となってしまう。


 本来なら、そこで個人指名での依頼や、ランクを昇級させたりその説明、と言った冒険者にとっては『良いこと』しか無い為に、半ば憧れとなっているカウンター奥の個室なのだが、今回ばかりはそうも言ってはいられない状況である為に、他から向けられる感情には珍しく『嫉妬』の類いは含まれる事は無かった。



 そうして強制連行された二人は、当然の様にギルドカードがその他の身分証を提示する事を求められる。


 流石に、事が単なるケンカの域を超えてアレだけ大きくなり掛けてしまっていては、中心となった人物の身元を抑えておかなくてはならなくなっている、と言う事なのだろう。



 元来、別段理不尽に性質をしている訳でも無く、ソコにちゃんと筋が通っているのであれば、無闇矢鱈に抵抗する事を良しとはしていないシェイドであった為に、求められるがままに従い大人しくカードを目の前のテーブルへと投げる事で職員の目の前まで滑らせる。


 同様に、彼と同じく部屋に備えられていた椅子へと腰掛けていたサタニシスも、懐から取り出したカードをテーブルへと置き、指先でテーブルを滑らせると、彼が先に滑らせたカードの隣に自身のモノを並べて提示して見せた。



 ソレを目の当たりにした職員は、その大雑把なカードの扱い方と、騒ぎを起こしたと言うのに碌に反省する素振りも見せていない二人の態度に表情をしかめる事となるが、この段に至って反抗されないだけまだマシだろう、と自らに言い聞かせて提示されたカードを手に取り、ソコに記入された情報を読み取って行く。



 先ずは手始めに、とばかりに手に取ったシェイドのカードを読み解き、ソコに記された膨大な数と種類の魔物討伐記録に一瞬とは言え思わず立ち眩みを起こし、何をどうしたらこうなるのか……との思いと共に名前が記入されている欄へと視線を移したのだが、ソレを目の当たりにした瞬間に




「……………………え?」




 との間の抜けた声を、思わず、と言った様子にて溢すと同時に一切の動作を止めて固まってしまった。



 唐突すぎる程に唐突かつ、余りにも過剰で突然すぎる不自然なその反応に、思わず何が起きたのだろうか?と視線を交わすシェイドとサタニシス。



 サタニシスはサタニシスで、視線にて




『…………大方、シェイド君の昔の知り合いとかじゃ無いの?

 以前との変わり様に、驚いて声も出ない、とか?』




 とからかい半分に問い掛けて来た為に、シェイドも視線にて




『…………いや、ソレは無い……ハズ。

 そもそも、俺に対してそんな過剰に反応するだろう心当たりの在る知り合いはいないし、ましてやエルフ族の顔見知りだなんて数える程しか居ないが、確実にコイツじゃ無いぞ?

 少なくとも、顔も見た事は無い……ハズ』




 と返答をして行く。



 その後も、こうなんじゃ無いのか?いや、そうでは無いハズだ。なら、寧ろこうだとすれば説明できなくは無い、か?でも、ソレはソレで無理が無い?と言葉を発する事無く会話を展開していた二人であったが、俄に職員が意識を取り戻し、棒立ちになっていた状態から動き始めただけでなく、いきなりシェイドへと向けて距離を詰めて来た事によって中断される事となる。



 唐突過ぎる程に唐突な展開に、流石のシェイドも即応する事が出来ず、意識が驚愕に支配されたままで職員の接近を許してしまい、挙げ句の果てに碌な反応を示す事すら出来ずにその手を握られてしまう。



 その瞬間、彼の脳裏に過ったのは、自身の失策に加えて僅かな隙を突いて自らの利き腕を真っ先に潰しに来たのか!?と言う、驚愕半分感嘆半分な感情であり、その次の瞬間にはソレだけの覚悟が在るのなら!と嬉々として反撃へと移ろうと試みる。



 …………が、そんな彼の行動を




「貴方が、かの『当代の英雄』と名高いシェイド・オルテンベルクさんですね!?

 一国を救いながら、その功績を誇るでも無く、傲る事無く、ただただ『危機は去ったのだから』と単独でスタンピードを壊滅させておきながらも無言で国を後にした、流浪の英雄にして一騎当千の強者!!

 そんな貴方にこうして出会えるだなんて、夢の中に居るみたいです!感動しました!!」



「……………………え?いや、はい……?」




 と一息に捲し立てる事で、気の抜けた様な返事をするので精一杯にしてしまい、反撃の意思とタイミングとの悉くを挫く事に成功する。



 そんな、彼の手を握り締めたままで彼の事を熱い瞳にて見詰める職員の姿を目の当たりにする事となってしまったサタニシスが一言。




「………………え?何事……?」




 との呟きを溢す事になったが、その一言はこの場の誰の耳にも届く事は無く、儚く空気に溶けて行く事となるのであった……。




…………そう言えばなんですが、実は今回過去作含めて『四本』応募し、その結果当作品ともう一つが通過する運びとなったのですが、何故か『それなりに人気が出た(当社比)』方の作品が通って『かなり人気が出た(当社比)』方の作品(一月位日間や月間のランクに載っていたり、四半期ランキングにも載った事も在りました)は落ちてたんですよねぇ……(  ̄- ̄)


何でだろう?

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