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山城道三と左京御参会の事其弐
道三の申し出を快諾した左京は木曽川、飛騨川という大河を船で渡り、出かけて行きました。
「行ってらっしゃいませ」
樹里は笑顔全開で左京を見送りました。これが今生の別れとなるとは夢にも思わずに。
「違う!」
大幅な脚色をした地の文に切れる左京です。明智十兵衛光秀が待っているのではないのですか?
「まだ早い!」
実は先の事を知っている地の文の行動を嗜める左京です。
道三がいる富田は人家が七百軒程あり、汚い事をしてしこたま金儲けをした成金がたくさんいます。
「そのような事はない!」
町の評判を貶めようとする地の文に切れる富田の人達です。
道三が待ち構えている正徳寺は、大坂の本願寺から代理の住職を呼んでおり、美濃と濃尾の両方の守護から免税の許可状をもらっていました。
パナマ文書に載せるべきだと思う地の文です。
「関係ないよ!」
意味不明な事を言う地の文に切れる住職です。
(さて婿殿、如何致す?)
ニヤリとして左京を待つ道三です。




