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御徒町樹里の信長公記(四百文字小説)  作者: 神村 律子
首巻 是は左京御入洛なき以前の双紙なり
35/2152

簗田弥次郎右衛門御忠節の事其参

 ある時、左京は弥次郎右衛門の手引きで軍勢を清洲まで攻め込ませ、町を焼き払い、城を全裸にしてしまいました。


 変態だと思う地の文です。


「意味が違う!」


 勝手に真実を捻じ曲げた地の文に切れる左京です。


 訂正します。城は周りに何も守るもののない裸城にされてしまいました。


 左京自らも出陣し、清洲城を攻めましたが、なかなか堅固で、名ばかりとはいえ、尾張の守護である斯波しば義統よしむねもいるので、城攻めをする事もできず、引き揚げました。


 清洲城内には、守護である義統自身が家老達の手から城を取り戻そうとしていると噂する者もいました。


 それもまた、左京の差し金です。


 これにより清洲衆は外の敵よりも中の方が大事だと警戒しました。


 


 城に帰った左京は早速樹里の膝枕を堪能しました。


「我が父がお会いしたいと申して参りましたよ」


 樹里が笑顔全開で告げたので、


「そうなんですか」


 ギクッとして顔を引きつらせて応じる左京です。


 我が父とは斎藤山城守道三です。

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