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深田松葉両城手かはりの事其肆
深田城からは三十町(およそ三・三キロメートル)ほど出張ってきて、三本木の町に布陣しました。
これといって要害となるものがないところであったので、あっという間に攻め落とされました。
伊東弥三郎、小坂井久蔵など屈強の武将達三十人程が討ち死しました。
そして、勢いを増した左京の軍は、深田城と松葉城に攻め寄せました。
敵はたちどころに降参して城を明け渡し、清洲へと逃げ帰りました。
上総介左京は、清洲勢を押し詰めて、田畑の農作物を全て刈り取ってしまいました。
それが、城の取り合いの始まりとなりました。
「そうなんですか」
左京の正室の樹里は左京の勝ちを知り、笑顔全開で応じました。
(早く帰って、樹里様の膝枕で一眠りしたい)
左京は気持ち悪い笑みを浮かべ、馬を走らせました。
スケベ根性丸出しだと思う地の文です。
「うるさい!」
はっきりものを言う地の文に切れる左京です。
「左京様、お気張りなさいませ」
樹里は笑顔全開で言いました。




