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三ノ山赤塚合戦の事其弐
織田上総介左京が十九の歳、兵を八百ばかり率いて、中根村(現在の名古屋市瑞穂区)を駆け通って、小鳴海(現在の名古屋市緑区)にある三の山へ登りました。
バカは高いところが好きだというよい見本だと思う地の文です。
「うるせえ!」
正しい指摘をした地の文に理不尽に切れる左京です。
それに対して、敵方の山口教吉は年は二十歳、三の山から十五町(およそ1.5km)東で、鳴海からは十五、六町北にある赤塚(現在の名古屋市緑区)へ軍勢千五百程で出陣しました。
先陣は、足軽の清水又十郎、柘植宗十郎、中村与八郎、萩原助十郎、成田弥六、成田助四郎、芝山甚太郎、中島又二郎、祖父江久介、横江孫八、荒川又蔵です。
「教吉め、動きおったな」
左京はその様子を三の山から見ていて、すぐに逃げ出しました。相手は自分達の倍もいるからです。
「嘘を申すな!」
勝手に脚色を加えた地の文に切れる左京です。
「行くぞ!」
すぐさま左京も馬に乗って出陣しました。




