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左京、樹里との離別を惜しむ事其弐
左大臣亜京も渚から話を聞いていました。
「わしには何が何やらわからぬ。母上とご母堂と義伯母上と渚が異なる世から来たというのか?」
亜京には想像を絶した話なので、混乱しています。
「そうなんだよ。今まで黙っていてごめんね」
渚は涙ぐんで言いました。
「では、其方の母であるお市の方は?」
亜京は当然の疑問をぶつけました。
「私の母上は紛れもなくお市の方だよ。そして、父上も浅井長政だよ」
渚は微笑んで応じました。
「ますますわからぬ……」
亜京は首を傾げるばかりです。
「その辺の説明は私にも無理だね。樹里にでも聞いて」
渚は苦笑いしました。
「そう言えば、渚は以前から母上の事を樹里と呼び捨てしていたな」
亜京は少しだけ合点がいきました。
「そうそう。つい、以前の癖が抜けなくてね」
渚は肩をすくめました。
「左府殿」
そこへ樹里達が式神に乗って現れました。
「うひっ!」
それを見た徳川家康は腰を抜かしてしまい、阿茶の局は唖然としました。




