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御修理の事
内裏の荒廃は著しく、元の姿を留めない程でしたので、これを改修しなければならないという事で、左京は日乗上人と村井民部少輔貞勝を普請奉行に任じました。
困った時の村井貞勝とはこの時に始まったことわざでした。
「そのようなことわざはない!」
適当な事を言った地の文に切れる貞勝です。とにかく一本気なじいさんです。
「うるさい!」
余計な事しか言わない地の文に更に切れる貞勝です。
そんな実直な貞勝ですので、左京が、用済みになった足利義昭を都から追放した時、京都所司代に任命されるのですが、それはまだ先の事で、絶対にお調子者の義昭には内緒です。
「内緒になっておらんぞ!」
地の文の独り言を聞いた義昭は、すっかり左京の事を信用できなくなっていました。
その時歴史が動きそうだと思う地の文です。
「そうなんですか」
しかし、全てを見通している樹里は、笑顔全開で応じました。
(樹里様!)
何も知らない左京は樹里の膝枕を堪能していました。




