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公方御構御普請の事其参
その上、諸大名には、御所の前後左右に思い思いの普請をさせたので、歴々が甍を並べた様子は、より一層将軍御所の威厳を高める事となりました。
左京は、新築のお祝いに太刀と馬を献上しました。
義昭は左京を近くに呼び寄せ、勿体無くも三献の礼をとり、自らの手でお酌をして盃をくれた上、剣など様々な品を左京に授けました。
元猿の名誉は言うまでもない事でした。
「台無しな事を申すな!」
忘れた頃にぶち込まれる前世ネタに切れる左京です。
このたびは、諸国の大名達が長きに亘り都に留まり、身を粉にして尽力したので、左京はその者達に礼を言い、帰国の許可を与えました。
(俺も一刻も早く岐阜に帰って、樹里様の膝枕と瑠里と冴里に頬ずりをするぞ!)
左京にはもう一人姫が生まれていました。どちらも樹里に瓜二つに育ってくれました。
忙しそうにしながら、やる事はやっている左京です。
「いろいろとうるさい!」
口が過ぎる地の文に赤面して切れる左京です。




