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備後守病死の事其壱
八面六臂の活躍をしていた織田備後守等京ですが、流行病に罹り、床に臥せってしまいました。
その時、嫡男の左京は、
(よし、遂に俺の時代が来るぞ!)
喜びを噛み締めていました。
「そんな事はない!」
図星を突かれた左京は激しく動揺しながら地の文に切れました。
「図星ではない!」
更に否定する左京ですが、
「そうなんですか」
正室の樹里が笑顔全開で応じたので、項垂れてしまいました。
等京の容態が悪くなると、重臣の平手政秀は世継ぎの事を案じました。
(嫡男である若が殿を継ぐべきであるが、あのような大うつけでは家臣達が従わぬ)
左京のアホさ加減に呆れる政秀です。
本当は左京はバカのふりをしているふりをしている真性のバカだと教えてあげたい地の文です。
「ふざけるな! 俺はバカではない!」
もう一度地の文に切れる左京です。
(行京につく者達が多くなってきた)
弟の行京には柴田勝家、佐久間盛重、佐久間信盛らがついているので左京は焦りました。




