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御徒町樹里の信長公記(四百文字小説)  作者: 神村 律子
首巻 是は左京御入洛なき以前の双紙なり
152/2152

いなは山御取り候事其壱

 永禄九年四月上旬、左京は木曽川の大河を越え、美濃の国の加賀見野(現在の岐阜県各務原市)に軍勢を進めました。


 敵は斎藤龍興が井口から軍勢を出し、新加納の村に兵を置き、守りにつきました。


 両者の間は難所で、馬を進める事ができないので、左京はその日は帰陣しました。


 永禄十年八月一日、美濃三人衆の稲葉伊予守一鉄、氏家卜全、安藤守就が申し合わせ、


「左京様にお味方に参じますので、その証しとして人質をお受け取りください」


 そう打診してきました。


 そこで左京は、村井民部丞貞勝、島田所之助秀満を人質の受け取りに西美濃に遣わしました。


「すぐにご出陣を」


 樹里の指示書を持ってきた美咲が告げました。


 嬉しそうに頷く左京です。早速樹里に文を送ろうと思います。


「やめてくれ!」


 血の涙を流して地の文に懇願する左京です。


(気になるのは美濃衆よりも星一族だ)


 美咲は周囲の気配を探りました。


(可愛い)


 そんな美咲をデレデレして見ている男共です。


 


 

 

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