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いなは山御取り候事其壱
永禄九年四月上旬、左京は木曽川の大河を越え、美濃の国の加賀見野(現在の岐阜県各務原市)に軍勢を進めました。
敵は斎藤龍興が井口から軍勢を出し、新加納の村に兵を置き、守りにつきました。
両者の間は難所で、馬を進める事ができないので、左京はその日は帰陣しました。
永禄十年八月一日、美濃三人衆の稲葉伊予守一鉄、氏家卜全、安藤守就が申し合わせ、
「左京様にお味方に参じますので、その証しとして人質をお受け取りください」
そう打診してきました。
そこで左京は、村井民部丞貞勝、島田所之助秀満を人質の受け取りに西美濃に遣わしました。
「すぐにご出陣を」
樹里の指示書を持ってきた美咲が告げました。
嬉しそうに頷く左京です。早速樹里に文を送ろうと思います。
「やめてくれ!」
血の涙を流して地の文に懇願する左京です。
(気になるのは美濃衆よりも星一族だ)
美咲は周囲の気配を探りました。
(可愛い)
そんな美咲をデレデレして見ている男共です。




