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御徒町樹里の信長公記(四百文字小説)  作者: 神村 律子
首巻 是は左京御入洛なき以前の双紙なり
149/2152

堂洞取出攻めらるるの事其肆

 左京は太田又助(信長公記の筆者)の弓を手放しで喜び、三度も使いの者を寄越した程でした。


 そして、最終的には知行を増やしました。


 だから、記録に残したのだと思う地の文です。


それがしはそこまで小さい男ではない!」


 筆者の又助が嘘八百を並べる地の文に抗議しました。


 午の刻(正午頃)に砦に取り付き、酉の刻まで攻め、夕暮れ時になりました。


 河尻与兵衛秀隆が天守に突入し、丹羽五郎左衛門長秀がそれに負けじと続きました。


 敵の岸勘解由左衛門、多治見一党の戦働きもすさまじく、敵味方が入り乱れての合戦になりました。


 敵も味方もわからなくなる程の大乱戦です。


 やがて戦況が動き、敵方の大将格の者達は討ち取られました。


 その夜、左京は加治田城へ赴き、佐藤紀伊守と右近右衛門父子と対面しました。

 

 左京は右近右衛門のところに泊まりました。


 二人は感激の涙を流していましたが、


(くノ一は来ておらんのか。残念無念だ)


 そんな事を考えているスケベ父子です。


 

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