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続いてのお便りは――。じゃなかった。陳情書だな。うん、一人ぼっちでのお仕事は寂しいな。
マリーダの事務能力は幼児並みだし、リシェールも文字こそ読めるが、字が書けない。二人とも夜のお仕事ではとても頼りになるのだが、この難題が積み重なるお昼間のお仕事を補佐してくれる人物ではなかった。
ふぅ、文字が読めて、字が書けて、綺麗で、独身の若い子いねぇかな……。そういった子がいれば個人秘書としてマリーダに雇ってもらって……。
美人秘書の要求熱が高まりそうであったが、居ない者を探しても虚しいので、新たな陳情書を手に取ることにした。
中身は居城内の倉庫に溢れる備蓄食料の余剰物資に関する陳情で、腐りかけている食料を酒保商人に売却して良いかを確認するものであった。
備蓄食料が腐るほど積み上がっているとはねぇ。エルウィン家って結構いくさに出ているイメージだが、それでもなお食料が有り余るとは他の領主が聞いたらうらやましがるかもしれないな。
それと、この陳情書を書いた人物は在庫の管理の重要性を理解しているようで、先入れ先出しを徹底したいと申し入れてきている。
そのために一旦、在庫の余剰品を売り捌き倉庫整理を行いたいと陳情しているのだ。
思わず陳情者の名前をメモに控えておいた。これは早急に対策を施した方が良い問題でもあろう。籠った際に飯が腐っていたでは笑えない話になる。
是非とも筋肉一族に鍛錬と称して倉庫整理をやらせ、期限切れ間近の食い物を売り飛ばして金に変えなければならん。
鬼人族は鍛錬とお題目が付けば、基本力仕事を嫌がる種族ではない。
何とかと何とかは使いようと言うが、鬼人族のための言葉かも知れなかった。
とりあえず、倉庫の中身も整理整頓もセットで早急に実施するべきだな。緊急案件として受理しとこう。







