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忙しい、忙しい。あーマジで忙しいわ!
現状報告、その一!
ゴンドトルーネ連合機構国との講和達成! 奪還作戦発動から五〇日で戦争終結! 敵国は二度の会戦と領内に受けたダメージで政権が継戦不可と判定。
こちらが要求した諸々を含んだ戦争賠償金、帝国金貨二五万枚分を一括で敵国側が支払うことで相互不可侵条約を結び、戦争は終結した。
こちらとしても領土域を拡張するほどノット家に余力が残っていないのと、早期の戦争終結が戦略目標だったため、交渉は超スピードで進んだ。
欲深く交渉を長引かせたら、がら空きの南部域に悪さするアホが出てくるのを魔王陛下も分かってくれていたしね。
それと、ゴンドトルーネ連合機構国側が速攻で帝国金貨二五万枚分の金塊を持ってきたのは、うちが甚大な被害を与えすぎた余波らしい。
害虫以上の災害を引き起こすエルウィンの鬼を帰らせるなら、帝国金貨二五万枚分の金塊は安いものだと判断してくれたようだ。
うちは金払いのいい客は大好きだから、またお金貯まった頃合いにでも、収穫にくるかもしれないけどね。
現状報告、その二!
テルイエ領に隔離してた避難民は、賠償金支払い確認がされたため、帰還してもらっている。
敵国に帰還してもらって、政権への批判層に育っていただかねばならぬため、積極的にお土産(こっちが分捕ったものの一部)を持たせ帰還させていた。
ただ、畜産関係者は家族ごと、わが領内に強制的にご招待している。
彼らには大規模農場で軍馬や牛、羊、山羊、鶏、豚といった畜産物を生産してもらうつもりだ。
農協さんに負けないくらいの土地を準備し、設備投資はするつもり。
現状報告、その三!
魔王陛下に会談して、メトロワと隣接空白地(俺命名のビッグファーム領)の領有許可を直談判!
返事はおっけー。
子供たちへの誕生祝いとして帝国金貨三万枚もらったけど、絶対に使途が違う意味のお金!
南部領域の大部分を、うちの家が防衛することになるの決定しました!
子爵家なのにね。いや、そろそろ戦功ポイント貯まったし、またランクアップかも。
それはそれで嫌だな。また、他家から嫌み言われるだろうし。
領地が隣接するご近所さんの貴族家に、付け届け増やさないとな。
現状報告、その四!
ショタボーイの叔父上だったオライトは、情報を隠蔽し損害を拡大した罪でショタボーイの直截により処刑。
関与した主戦派貴族も領地没収のうえ、当主たちは処刑された。
ノット家の家臣団は、ショタボーイの厳しい処断に戦慄し、領地奪還した実績もあって態度を改め心酔する者多数続出って感じ。
なにせ、今回の逆侵攻作戦を策定した天才戦術家様だからね。
当人は金棒アルベルト変身セットに身を包み、俺の弟子を自認しているらしいけど。
でも、挟撃戦の指揮は上手かったので、実戦を積めばよい指揮官に育つと思われる。
あーそうそう。ノット家からはヨアヒムの外戚カーマインさんの侯爵家から末の娘がうちのラトール君の嫁として輿入れ決定。
当人はまだ一〇歳だけどね。
厨二病のラトール君も幼女の嫁をめとれば少しは落ち着いてくれると思いたい。
四皇家と縁続きの侯爵家から、子爵家の陪臣家に輿入れは前代未聞だけども、それがあちらの見せた誠意だった。
うちとは末永く縁を結びたいらしい。
辺境伯家のステファンのところからは、マリーダの姉であるライアの娘をヨアヒムの嫁を迎えるという話が付いたらしい。
これで、ヨアヒム率いるノット家はうちの後ろ盾になってくれるだろうし、魔王陛下は四皇家の一つノット家に大きな貸しを作れて万々歳って感じ。
ヨアヒムも領地を奪還したうえ、自分に心酔する家臣団を再編できる素地が整ったしね。
現状報告、その五!
ノット家の鉄鉱山からの利権もらった!
ノット家の持つ鉄鉱山から産出される鉄鉱石を、購入可能数こそ決められたものの、市価の三割で購入という格安購入権ゲット。
鉄鉱山の産出量が増えれば、こちらの購入可能数も増えるって付帯事項付き。
早速、戦争捕虜になった敵兵士をまるごとノット家の鉄鉱山にご招待。
捕虜たちの食糧提供も忘れずにサービス、サービス!
頑張って、鉄鉱石掘りまくってうちに安価の鉄鉱石を大量供給してくれたまえ!
って、感じでゴタゴタしてた戦後処理を終えて、疾風の如くアシュレイ城に帰還を果たすと、農兵たちにお土産を分配して解散し、アレウスたんたちに会う時間も惜しみ、鬼人族たちだけを率いてメトロワの城壁の前にまで来ていた。
「貴様らはすでに包囲されている。大人しく、わがエルウィン家に降伏せよ! いや、降伏などせんでもいいな。ワシは暴れたい! 抗戦しろ! してもいいぞ! いや、しないと殺す! 分かったか!」
俺たちの侵攻を察知したメトロワは、前回の悪夢が脳裏によぎったのか、すぐに腰砕けになって城に籠ってしまっている。
その敵兵に向かってブレストに降伏勧告してって頼んだら、あの体たらくだよ。
おっと、敵から白旗が上がったようだ。
門が開くかな?
「妾にはあの旗が白くは見えぬな……」
「マリーダ姉、奇遇だな。オレも白には見えない」
「きっと、これより戦闘を始めるという意味の旗かと」
「戦わずに降伏なんて話は聞いたことないしな」
獰猛なうちの脳筋たちはいくさ続きで、疲れているのか白旗の色も意味も見えないらしい。
まぁ、疲労はしょうがないよね。疲労は。
疲れてたら、見間違えることもあるだろうし。それは、しょうがない。
そもそも、がら空きの南部領域に色気を見せたメトロワの市議会の連中が悪いんだろうし、雇われた傭兵団も死ぬ覚悟してない方が悪い。
ヴェーザー自由都市同盟の他の都市へ、西国の口車に乗った都市の末路を見せておかないとね。
とか考えてる間に、敵が降伏しようと門を開いた。
「では、敵傭兵団の殲滅及び、メトロワ市議会の占拠。また、市議会員の家を検索し、全員捕縛します。くれぐれも市民には手を出さないように」
「「「「承知」」」」
門が開ききったところで、俺は攻撃開始を告げるように手を振り下ろした。
ゴンドトルーネ連合機構国軍に恐怖のトラウマを与え続けたエルウィンの鬼たちが、メトロワの街に向かって駆け出す。
敵は降伏する気満々だったようで、まさかこちらが攻撃してくるとは思ってなかったようだ。
どうせ、また賠償金で誤魔化す気だったんだろう。
残念だが、年初とは事情が変わった。
メトロワ市という都市国家は今日で滅亡だ。
明日からはエルウィン家のメトロワ領となる。
戦闘は終始、一方的な虐殺とも言えるレベルだった。
市民も年初のいくさで、武器さえ持たねば、うちの脳筋たちが襲ってこないと学習しているため、効率的に敵兵のみが狩られていく。
数時間後にはメトロワ市議会の占拠。
翌日には、広場で傭兵団の主だった者と市議会議員たちの処刑を済ませ、市議会会議場の上にはエルウィン家の旗がなびくことになった。
バルトラードに鬼人族の戦士二〇〇を与え守備を任せると、残りの兵を率いてアシュレイ城へと帰還した。







