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透明少女と仮面少女  作者: あいまり
番外編
89/92

凛と雛 7

「「ごめんなさい!」」


 翌日。学校に行って早々、私は真美と瑞穂に謝られてしまった。

 いや……急にどうした?


「えっと……」

「……昨日は、その……軽い気持ちで、あのお姉さんのことを、恋人じゃないって決めつけて笑ったりして、ごめんなさい」


 真美の言葉に、私は昨日の出来事を思い出す。

 なるほど。二人は二人で反省していたのか。


「ううん。私の方こそ、友達なのに隠していてごめんなさい。もう気にしてないよ」

「良いよ。だって、やっぱり同性が恋人って、言いにくいだろうし」


 瑞穂の言葉に、私は無意識に大きく頷いた。

 そう、そうなんだよ。このご時世同性愛なんて認知されていないからね。

 でも外国では同性婚も認められているし、大分世間での認識は高まっていると思う。

 実際、野球部の男子同士での恋愛も噂されていたりするし。


「でもさぁ、同性でも愛し合える人がいるって良いよね」

「うんうん。それにあの影山さんって、すごく美人だし」


 影山さんって言うと、凛さんと一緒に泪さんの顔も浮かぶ。

 凛さん曰く、泪さんと優は、あの二人はあの二人で幸せにやっているらしい。

 まぁ、泪さんと凛さんの接点も今ではLINEだけになったので、詳しくは知らないが。

 私も優の事なので気にはなるが、凛さん経由でしか知ることが出来ない。

 ただ、凛さん曰く、『あの二人清純そうなフリしてるけど、きっと私がいない間にヤってるよ』と言っていた。

 いやいや、毎日ヤりたがる凛さんじゃあるまいし……。

 ……いやいや……。


「雛ちゃんどうしたの? なんか変な顔してるけど」


 そう言って私の顔を覗き込んでくる瑞穂に、私はすぐに首を横に振り、「なんでもないよ」と答える。

 まぁ、優が幸せならそれで良い。


「それにしてもさぁ、年上の恋人って憧れるよね~。恋人ってことはさ、あのお姉さん……影山さん? を、呼び捨てにしてるってことでしょ?」

「え?」


 真美の言葉につい聞き返すと、二人とも不思議そうに私の顔を見た。

 えーっと……?


「えっ……お互いのこと、何て呼び合ってるの?」

「え、私は凛さん、って呼んでて……向こうはちゃん付け」


 私の言葉に、真美は信じられないという表情をする。

 え、何か変なこと言ったかな……?

 そう思い瑞穂を見ると、苦い顔をしていた。


「えっと……もしかして、話す時は敬語?」

「え、うん……だって年上だし」


 私の言葉に、なぜか二人は苦い顔で顔を見合わせた。

 ……?


「ひなっちって、結構恋愛には奥手なのかもね」

「うん。多分あれはキスすらしてないよ」


 ……キスどころか毎週の週末はベッドの上で運動会なんだけど……。

 むしろあの性獣が一日でもキスせずに耐えられる姿が想像できない。

 いや、付き合う前は耐えていたか……付き合い始めてからは一切隠さなくなってきたけど。


「えっと、敬語って変なのかな?」

「変だよ! だって恋人だよ!?」

「ていうか、恋人以前に、一緒に暮らしていてずっと敬語って堅苦しくない?」


 瑞穂の言葉に、私は「そうかなぁ?」と聞き返してみる。

 すると、二人は同時にコクコクと頷いた。

 そういうものなのか……私は顎に手を当て、しばし考える。

 ……呼び捨て、タメ口……か……。

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