凛と雛 4
家族
二年一組十五番 榊野雛
私の両親は、私が小さい頃から海外で働いていて、顔を合わせることは滅多にありません。家事は両親が雇った召使がしてくれたので、私が家のことで困ることはないです。羨ましい、と思う方もいるでしょう。しかし、私は昔からずっと一人ぼっちでした。
家族と呼べるような人もおらず、毎日家に帰っても、おかえりを言ってくれる人なんていませんでした。夜遅くに帰っても、私のことを心配して叱ってくれる人もいませんでした。学校で嫌なことがあっても、慰めてくれる人なんていませんでした。嬉しいことがあっても、それを報告できる相手がいませんでした。
中学に上がってからは友達もできました。しかし、その存在で私の心が満たされることはありませんでした。なぜなら、私という存在を全て理解し、受け入れてくれる存在がいなかったからです。
しかし、高校二年生になった時、私という人間を理解し愛してくれる人が現れました。私の欠点を把握し、私のその欠点を治してくれようと、見返りを求めず尽くしてくれました。その欠点の改善のために私の家まで来てご飯を作ってくれたり、私の身の回りのことをしてくれるようになりました。
あの人のおかげで、私は順調に欠点を治せていると思います。あの人から貰ったものは本当に大きく、恩返しなんて一生出来ないだろうと思うくらいです。血の繋がっている両親よりも、私に愛情を注いでくれるあの人が、まるで本当の家族のように温かいです。
家族というものの定義は分かりませんが、私は、あの人のことを本当の家族同然に思っています。もし許されるなら、本当の家族になりたいくらい大好きです。




