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透明少女と仮面少女  作者: あいまり
番外編
86/92

凛と雛 4

家族

二年一組十五番 榊野雛


 私の両親は、私が小さい頃から海外で働いていて、顔を合わせることは滅多にありません。家事は両親が雇った召使がしてくれたので、私が家のことで困ることはないです。羨ましい、と思う方もいるでしょう。しかし、私は昔からずっと一人ぼっちでした。

 家族と呼べるような人もおらず、毎日家に帰っても、おかえりを言ってくれる人なんていませんでした。夜遅くに帰っても、私のことを心配して叱ってくれる人もいませんでした。学校で嫌なことがあっても、慰めてくれる人なんていませんでした。嬉しいことがあっても、それを報告できる相手がいませんでした。

 中学に上がってからは友達もできました。しかし、その存在で私の心が満たされることはありませんでした。なぜなら、私という存在を全て理解し、受け入れてくれる存在がいなかったからです。

 しかし、高校二年生になった時、私という人間を理解し愛してくれる人が現れました。私の欠点を把握し、私のその欠点を治してくれようと、見返りを求めず尽くしてくれました。その欠点の改善のために私の家まで来てご飯を作ってくれたり、私の身の回りのことをしてくれるようになりました。

 あの人のおかげで、私は順調に欠点を治せていると思います。あの人から貰ったものは本当に大きく、恩返しなんて一生出来ないだろうと思うくらいです。血の繋がっている両親よりも、私に愛情を注いでくれるあの人が、まるで本当の家族のように温かいです。

 家族というものの定義は分かりませんが、私は、あの人のことを本当の家族同然に思っています。もし許されるなら、本当の家族になりたいくらい大好きです。

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