表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
透明少女と仮面少女  作者: あいまり
第Ⅰ章:失恋の先に咲く百合
73/92

第Ⅰ-19 数学

「数学マジ意味不明~」


 六時間目の数学の授業が終わった後、よく話す女子グループの内でかなりギャルっぽい雰囲気の強い大川 真美がそうぼやいた。

 彼女の言葉に内心呆れつつ、私は「そうかな?」と聞き返す。


「今回は割と簡単じゃなかった?」

「そりゃ、ひなっちは頭良いからそう感じるだろうけど、あたしからしたらマジ理解不能だっての」

「いや、私数学は苦手な方なんだけど……」

「えー……でも今回は割と難しめだよね? しかも、がっつりテスト範囲だし……」


 そう言いながら困ったように笑う眼鏡を掛けた女生徒、村谷 瑞穂の言葉に、私は鞄にしまおうとした教科書を見つめる。

 しばらく見つめて、今日授業でやった範囲は、ちょうど昨日凛さんに教えてもらった場所ということを思い出す。

 凛さん曰く私の物覚えは良いようで、結構早いスピードで進んでいる。

 そのため、どの教科も授業より進んでいたようだ。

 しかも、流石は現役大学生というべきか、彼女の教え方はとても上手い。


「いやぁ、ひなっちは頭が良いから羨ましいわ。ねぇ、この後暇なら、一緒に勉強でも……」

「あー……ごめん。この後は、ちょっと用事が……」

「用事? 何があるの?」

「大したことじゃないんだけどね。まぁ、ちょっと夕飯の買い物を」

「勉強できる上に、買い物する余裕があるとは……何て奴だ」

「ごめんね。明日なら空いてるけど」


 私の言葉に、真美は「本当!?」と返す。

 それに頷いて見せると、「よっしゃぁ~」と言ってガッツポーズをした。


「ね、良かったらそれ、私も行って良い?」


 すると、瑞穂がそう話しかけてきたので、私は「もちろん」と頷いて見せる。

 その時、スマホの画面にLINEのポップアップ通知が表示された。

 見なくても、相手と内容が想像できてしまう。


「じゃあ、そろそろ行くね。人待たせてるから」

「はいよ~」

「また明日ね」


 手を振る二人に私も振り返し、鞄を背負って教室を出る。

 廊下を速足で横切り、玄関で靴を履き替えて外に出る。

 それから自転車小屋やら教員用駐車場を抜けて、来賓用の駐車場に行く。

 見慣れた白い車を見つけて、私はすぐに駆け寄り、扉を開いた。


「……遅い」


 運転席でそう言って唇を尖らせる凛さんに、私は「ごめんなさい」と言いながら笑い、助手席に乗った。


「ちょっと授業のことで、友達と話し混んじゃって」

「本当は私を待たせるために、わざと話したりして?」

「そんなわけないじゃないですか。……それより、早く行かないと、夕方のスーパーは混みますよ?」

「はいはい。それじゃあ行きますか」


 凛さんはそう言ってエンジンをかける。

 私はそれにシートベルトを締めて、凛さんを見た。

 彼女はそれに「行くよ~」と言って笑い、アクセルを踏んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ