第3-2 性別
「す、すすす好きってなななな何が……」
「お姉ちゃん落ち着いて……まだ道のど真ん中だよ」
私の言葉に、お姉ちゃんはひとまず運転して、家まで向かう。
なんとか深呼吸をして平静を取り戻したお姉ちゃんは、私を見た。
「それで、女の子を好きになったんだって?」
「……うん。まぁ……」
「……相手は、あの子? 優ちゃん、だっけ?」
「……そう」
「そっか……」
お姉ちゃんは呟くようにそう言うと、ハンドルをきってカーブする。
私はお姉ちゃんの反応が怖くて、目を合わせることができない。
「……私は良いと思うよ。好きになるのに、性別なんて関係ないし」
やがて、そう言った。
私はそれに顔を上げ、お姉ちゃんを見つめる。
すると、お姉ちゃんは私を見て、ニッと歯を見せて笑った。
「ただ、お母さんとかに言うのは止めておいた方が良いかもねぇ。ホラ、やっぱりさ……」
「……うん。そうだね」
私の返答に、お姉ちゃんは微笑み、私の頭を優しく撫でた。
優の手よりも、少し大きい。
「それじゃあ、早く帰ってゆっくり休もうか。どうせ泪のことだから、ずっと優ちゃんといたんでしょう?」
「う、うん……」
「そりゃ心も休まないでしょ。家に着くまで、少し寝たら?」
「眠くないし……」
口ではそう言って見せるも、確かに、少し瞼が重いかもしれない。
そんな私の様子にお姉ちゃんは笑い、私の肩を抱いて、寄りかからせて来る。
そういうことされると、本気で眠くなるからやめてほしい。
しかし、やはり疲れがピークに達していたのか、私はお姉ちゃんに体重を預けながら、静かに瞼を閉じた。




