12-50 最下層
「ポラリスを破壊するのが、世界を救う方法だと」
「肯定。唯一絶対の救済策ではないが、『御厨玲』にしかできない方法だ」
『御厨玲』にしかできないという含みのある言い方が引っかかるが、ポラリスを破壊するという提案を承諾できない事情があった。
「……いや、ポラリスを破壊することは出来ない。彼女の存在は魔法工学の兵器を濫用させないための安全装置だ。彼女を壊してしまうと、今度は兵器によって世界が滅ぶ危険性が高まってしまう」
その可能性を危惧して、レイ達は海を越えて北方大陸へと渡った。『科学者』の研究所まで苦労して来た意味が無くなり、本末転倒だ。
なにより、レイはノーザンを完全に信用できなかった。
「そもそも、ノーザン。アンタは何者なんだ。どうして、影法師や御厨玲のことまで知っているんだ。それに、本物のエルドラドと繋がっている扉まで。……アンタ、まさか―――っ!」
続く言葉は、足が力を失って倒れた拍子に零れ落ちた。
意識が混濁し、視界が狭まっていく。気を抜けば、一瞬で意識を失いそうだ。いつの間にか、影法師も力を失い元に戻っていた。
「僕に、なにを、したんだ」
「憤慨。私では無い。あの扉は神々が作った扉を模した転移装置だが、不完全な装置だ。夢の住人が本物のエルドラドに居られる時間はそれほど長くない。御厨玲という存在は既に夢の住人として再変換されている以上、これ以上の滞在は不可能。……安心しろ。夢の中に戻るだけだ」
その言葉を最後に、レイの意識は暗闇へと落ちて行った。
「―――レイ様。ご無事ですか、レイ様!」
最初に感じたのは自分のことを心配する女性の声だった。乾いた大地に存在しなかった、体温を奪うような冷たさが背中から上り、反射的にレイは体を起こした。
「ああ、良かった。目を覚まされましたか。ですが、無理はなさらないでください」
「リザ、か。ここは、扉のあった倉庫か」
「扉ですか? 妙な扉なら、確かに傍にありますが」
レイの背に手を回したリザが、視線を向けた先に本物のエルドラドと繋がっている扉があった。いつの間にか、レイはノーザンの研究所に戻っていた。
「君はどうしてここに。いや、その前に、ここは僕一人だったか? 僕の他に、誰か居なかったか?」
「倉庫の中にはレイ様しかおりません。私がこちらに来たのは、レイ様が気絶してしまったから、回収に来てくれとノーザン殿から通達がありまして」
「ノーザン?」
「いえ、正確にはノーザン・オルストラの思考などを模写した、えーあいなる人物らしいのですが……申し訳ありません。私にはよく分かりませんので、上手に説明できません」
知識不足にうなだれるリザ。
どうやら、リザ達はノーザンの姿をしたロボットと面通しを済ませているようだ。
「その方の誘導に従いこの部屋に来たところ、レイ様が倒れていたのを発見しました」
「そうか。……手間を煩わせてごめん。……それで、ノーザンは?」
「ノーザン殿なら―――」
「―――質問。ミスター・レイの意識は覚醒したか?」
空気が漏れる音ともに、廊下との境にある扉が開く。逆光で顔は見えないが、声だけでノーザンだとすぐに分かった。彼の手には、まだ龍刀があった。
「お待たせして申し訳ありません。ですが、少々お待ちください。まだ、目を覚ましたばかりなのです」
「いや、僕なら大丈夫。それよりも、ノーザン。さっきの話の続きを……っと」
言葉に詰まったのは意識の混濁がもう一度起きたからでは無い。
隣に居るリザの存在に改めて気づいたからだ。彼女の前で、滅んだエルドラドの事や試行錯誤の異世界の事を話すべきかどうか、迷いがあった。
二つの世界を救うためにも、彼女たちに真実を打ち明けるべきだが、それよりも先にノーザンに確かめたいこともある。
どちらを優先するべきか悩むレイに対して、リザが何かを察したかのように名前を呼んだ。
「レイ様。大丈夫、という表現が正しいのか分かりませんが、大丈夫です」
「……どういう意味だい?」
「この世界が……神々が見ている夢の世界だということは、既に私達も聞き及んでいます」
「……えっ!?」
困惑と動揺の声が部屋に響いた。混乱するレイを落ち着かせるように、リザは背中に回した手に力を込めた。
「レイ様とローラン様を治療が始まったのを見届けた後、用意された部屋で仮眠を取った私達は……信じがたい話ですが全員が同じ夢を見ました。滅んだエルドラドで仮初の肉体を得た御霊……おそらくは影法師の元となる存在でしょうか? その者がおとうさまと呼ばれている『黒幕』に助けられ……『御厨玲』の人格と器を与えられたという内容でした」
彼女の口から語られた夢は、レイが知った過去の記憶と同じ内容だった。ノーザンの方を振り向けば、ロボットは表情を変えずに淡々と答えた。
「優先。過去の事実を映像として知覚するのと、他者の口を介して知るのでは印象に齟齬が生まれる。客観性の高い真実を伝達する手段として、また時間短縮を優先して夢という形で過去の記録を見せた」
効率を優先する姿勢は人工知能だからなのか、ノーザンという人物がそういう性格だったのか。どちらにしても、リザの説明で疑惑は確信めいた物に変わった。
「リザ」
短く名前を呼び、指を事前に決めたパターンに動かす。青い瞳はレイの意図に困惑するも、すぐに理解の色へと変わった。重心が僅かに傾き、いつでも武器を抜けるように片手が空いた。
今の動作は、聴覚に優れたモンスターや、人語を理解できる敵を相手にするときに、あらかじめ決めておいたハンドシグナルだ。
内容は簡潔。敵に備えろ。
レイはノーザンの反応を探るように言葉を選ぶ。
「……違和感はあった。過去の記憶を見た後に、影法師は言っていた。『おとうさまと話しているうちに限界がきて、記憶を辿る旅も終わっただろ』って。当然だ。僕は影法師の記憶を辿っていたはずなんだ。影法師の意識が途絶えたら、記憶だって終わるはず。でも、そうじゃなかった」
影法師の原型である人格が消えても記憶の再現は止まらなかった。御厨玲の器を前におとうさまと娘が話しているシーンが続いた。
あの部分は、影法師の記憶じゃない。
「リザ達に過去の出来事を見せたというのも引っかかる。僕が影法師の記憶を見ていたのは、治療が終わってから。でも、彼女たちは僕が治療を受けている間に夢の形で見ている。それって、彼女たちの方が先に真実を知ったってことだよな」
自分がどれだけ回復に時間を費やしたのか分からないが、それでも時系列のつじつまが合わない。つまり、レイが見た影法師の記憶と、リザ達が見た過去の記録とやらは、別人の記憶という可能性が高い。
では、リザ達が見た記録映像は誰が記憶なのか。それが問題だ。
レイは本物のエルドラドで零れ落ちた言葉を拾う。
「答えろ、ノーザン。アンタはおとうさまと繋がっているのか? どうやって、世界の真実を知ったんだ」
レイの疑念にリザも行き着いたのだろう。彼女の全身から警戒の気配が色濃くにじみ、無機質だった倉庫内が火薬庫めいた雰囲気に変わる。
緊張の時間は、ノーザンの返答によって終わりを告げた。
「回答。ノーザン・オルストラはおとうさまと接触したことは無いが、『正体不明の娘たち』の一人と協力関係にあったのは事実だ」
「……そういうことか。あの場所には本物のエルドラドの御霊とおとうさま以外に、もう一人居たな」
おとうさまに寄り添い、溢れんばかりの敬愛を向けていた存在。彼女が試行錯誤の異世界に降り立ち、ノーザンと接触したとすれば、彼が世界の真実を知り、リザ達が見た過去の出来事を記録映像として保管しても筋が通る。
だが、同時にノーザンへの警戒心が強まる。おとうさまは人の記憶と認知を操る。娘を通してノーザンか、あるいはノーザンを模した人工知能にも何かしらの影響を与えてる可能性は否定できない。
となれば、ノーザンの話す内容を全面的に信用するのは危険だ。ポラリスの破壊も、おとうさまを利する可能性がある。
レイの緊張を察したのか、ノーザンは躊躇せずに切りこんだ。
「走査。心拍数に異変。ノーザン・オルストラ、あるいはこの私に対して不信感を抱いているようだ」
「……ロボット相手に隠し事は出来ないね。認めるよ、その通りだ」
「理解。ミスター・レイの立場で不信感を抱くのは当然である。私が無害だと説明しても納得しないだろう。ゆえに、判断はミスターに委ねる」
言葉と共に、ノーザンは手にした龍刀をレイに向かって投げた。放物線を描いて届いた武器は、紛れもなく本物だ。
続けて、ノーザンは誰かに命じるように語りだした。
「命令。当研究所の指揮権移譲を要請……受理。現時刻を持って、ミスター・レイが当研究所の最高権限保有者となった」
「どういう意味だ?」
「回答。ミスター・レイとその関係者に対して一切の危害が加えられず、創造主が秘匿した情報以外を公開することが可能となった。自爆シークエンスの起動コードもミスター・レイの音声で可能だ」
物騒な単語が出てきたが、どうやらこの研究所の指揮権が自分に移ったのだとレイは理解した。恐らく、自爆しろと命令すれば、研究所を維持していたロボットや、目の前にいるノーザンのロボットも、理不尽な命令を実行するのだろう。
「生殺与奪の権利を与えることで信頼を証明するのか。……あんまり、好きな方法じゃないな。そこまで割り切った対応を取る方が、余計に疑わしく思えてくる」
「降参。残念ながら、私に入力された情報には、これ以上の誠意を示す手段は用意されていない。あとはミスターの判断に委ねよう」
「レイ様……いかがいたしましょうか?」
リザに問われ、レイは刹那の間沈黙する。
これは試されているのだろう。
『科学者』ノーザンは既に死んでいるが、いずれ『御厨玲』が研究所を訪れるのを見越していたはずだ。自分を模したメッセンジャーや過去の記録映像、本物のエルドラドと繋がっている扉などを用意していたことからも間違いない。
そして、レイがおとうさまとの関係性を疑う所までを先読みし、ワザと権限を与えることでレイを試そうとしているのだ。
ノーザン・オルストラという人物を信じるだけの覚悟があるのかどうか、を。
試さなければ、託せないのだろう。
「……リザ。悪いけど、肩を貸してくれ」
「了承しました。お掴まり下さい」
リザの力を借りて立ち上がると、レイはノーザンと目線を合わせる。
答えは決まっていた。
「話を聞かせて貰えるか。……『御厨玲』にしか出来ない世界の救済方法とは、どういう意味なんだ?」
「質問。その反応からすると、信頼を獲得できたと判断して良いのか?」
「アンタを全面的に信頼できないのは変わらないけど、それでも話を全部聞いて判断するぐらいの信用はしている」
「賢明。正しい判断だと評価しよう」
上から目線な態度は、きっとノーザン・オルストラという人物の素なのだろう。
「提案。これ以上、ここに留まる理由は無い。場所を変えたいのだが、移動しても構わないか?」
レイが頷くと、ノーザンは踵を返して廊下を歩きだした。レイはリザを伴いながら、あとを追いかけつつ、疑問に思ったことを彼女に尋ねた。
「それで、夢の形で試行錯誤の異世界とか知って、それから皆はどうなったんだ?」
レイを守るように先を歩くリザは、速度を僅かに落としつつ、仲間達の様子を伝えた。
「最初は全員が混乱し、動揺していました。自分の立つ大地が、世界が偽物だと聞かされて、恥ずかしながら私も取り乱してしまい。ですが、いち早く立ち直ったクロノのお蔭で今では落ち着いています」
「クロノのお蔭?」
リザの回答はレイにとって意外でもあったし、納得できることでもあった。
13神の生まれ変わりであるクロノしてみれば、試行錯誤の異世界という事実は衝撃的な内容だったはずだが、不完全ではあるが残っている神としての知識や勘が彼女を立ち直らせたのかもしれない。
「夢の形で見せられた記録が事実だと理解すると、《神聖騎士団》の方々に出自を明かし、冷静になるように説得を試みました。今では、マクスウェル様とミストラル様、そしてシアラを中心に記録やこの世界に関する議論を続けています」
「リザは大丈夫かい? レティやエトネは? コウエンとヨシツネは?」
「御心配くださり、ありがとうございます。《ミクリヤ》の面々は、《神聖騎士団》の方々ほど混乱は長引きませんでした。おかしな話しですが、全員が全員、これまでに奇妙な体験を幾つもしているので、耐性が付いてしまったのではないかとシアラが言ってましたね」
《トライ&エラー》による死に戻りを始め、『七帝』との激闘や、神としての力を振るうクロノスとの遭遇など、異常な状況に慣れ過ぎてしまった弊害といえた。
「ですが、ヨシツネ殿は思うところがおありのようで、部屋の片隅で何か考え事をしていました。ノーザン殿に呼ばれた時、私が声を掛けてもこちらに来るのを断わられました」
「そうなのか。……まあ、ヨシツネの立場からすれば複雑だろうな」
ヨシツネは本物のエルドラドに送りこまれた『招かれた者』だ。幸運にも世界の崩壊を回避できたのに、気がつけば神が作った異なる世界に迷い込んだと知れば気持ちも乱れるだろう。
「ローランさんの具合はどうなんだ? 僕が起きたときはまだ治療中だったけど」
「ローラン様はまだ治療が終わっていません。こちらに伺う前に様子を見ましたが、蓋は開いていませんでした」
六将軍との戦いは、それだけ過酷だったのだろう。
ローランのことも気がかりだが、もう一つの心配事を尋ねた。
「それじゃ、ポラリスは? 修理の方は終わったのか?」
「彼女でしたら……噂をすれば、ですね。あちらをご覧ください」
リザが僅かに体をずらすと、先頭を進むノーザンのさらに先で待っている女性の姿が見えた。ロングのメイド服を身に纏い、凛とした佇まいで待っていたのは『機械乙女』ポラリスだった。
彼女は深々と一礼をする。
「感謝。お久しぶりです、ミスター・レイ、ミス・リザ。そして、この度は私の再起動のために尽力して頂いたことに深い感謝を。ありがとうございます」
「礼を言うのはこっちだ。学術都市の戦いで味方してくれてありがとう。君が居なければ、僕達は負けていたはずだ」
「レイ様の仰る通りです。最後には私達を守るために、その身を盾として庇ってくださったこと、決して忘れません。こうして再び言葉を交わせるのがとても喜ばしいです」
二人の感謝の言葉に、ポラリスは無反応を示しつつも、どのように応対するべきか困った末にもう一度頭を下げた。その仕草が可愛らしくて、レイとリザは揃って微笑んでいた。
ノーザンが壁に張り付いているパネルを操作すると、壁が横にスライドして、小さな空間が出現した。
どうやらエレベーターのようで、ノーザンは中へと入り込む。
「催促。目的地は此処よりも下層だ。徒歩では移動できないから、これを使いたい」
ノーザンに促されてレイとリザが乗り込むと、ポラリスが続いた所で扉が閉まった。大陸の地下にある研究所のため、エレベーターに窓はないが、感覚で下降しているのが分かる。
レイは密閉空間の中でポラリスを盗み見る。
白磁の如き艶やかな肌に、水銀を垂らしたかのような長髪、そして極限まで考え抜かれて描かれた美貌。
人間としか思えない造形美の極致を目の当たりにして、これが世界で恐れられている魔法工学の兵器の破壊者という情報と一致しない。だが、彼女が一度戦闘になれば、獅子奮迅の活躍をするのを、デゼルト国と学術都市で嫌と言うほど思い知った。
そんな彼女を破壊するのが、『御厨玲』にしかできない世界の救済方法とは、どういう意味なのか。
そもそも、彼女を破壊することは可能なのだろうか。
「レイ様? 表情が優れませんが、如何されましたか? やはり、まだ体調が」
地下へと降りていくうちに、自然と視線が鋭くなってしまったのを不審に思ったリザが呼びかけた。
レイは自分の中に渦巻く疑念をため息とともに出すと、ノーザンに尋ねた。
「ノーザン。さっき、アンタは言ったよな。ポラリスを破壊するのが、ノーザンから僕に与えられたミッションだと」
「え? ポラリス殿を破壊、ですか?」
リザは戸惑った様子で、レイとノーザン、そしてポラリスを交互に見る。
彼女は学術都市の戦いでポラリスと短いが濃い時間を共に過ごしている。もしかすると、創造主であるノーザン以外で、ポラリスの内面に深く踏み込んだ人物かもしれない。そのためか、『七帝』であり、大量破壊兵器であるポラリスの破壊と聞いて、あからさまに動揺している。
「肯定。確かに提案した。それが?」
「正直なところ、僕は彼女を破壊したくない。命の恩人でもあるし、彼女は魔法工学の兵器が乱用されないように用意された安全装置だ。彼女を破壊したときの損失が大きすぎる」
レイの言葉に、リザが静かに頷く。
実行可能かどうかはさておき、ポラリスを破壊するメリットが分からない。『七帝』の肥大した魂の正体が、『招かれた者』の生み出した感情の集合体、魄だというのはリザから聞いている。
『七帝』の魄は消滅することなく、次の器に移動を続けるため、世界を永遠に圧迫し続ける。
ポラリスを単純に破壊したからといって、世界救済に繋がるとは思えないのだ。
「僕が彼女を破壊しても、『七帝』の魄は消えないはずだ。どうやっても、世界が救えるとは思えない。違うか?」
疑問をぶつけると、ノーザンは意外な角度から答えを口にした。
「把握。ミスター・レイの疑問は理解できた。同時に、大きな勘違いをしていることも把握した」
「勘違い? 僕が何を勘違いしているんだ?」
「説明。順序立てて説明させてもらう。『七帝』に関する秘匿情報は既に聞き及んでいる筈だが、再確認の必要は?」
「……『七帝』の正体が、『招かれた者』の感情の集合体だということなら、知っている」
「結構。では、『機械乙女』ポラリスが『七帝』の魄を収納するために開発されたという経緯は?」
それも聞いている。
学術都市での戦いで、潜伏行動中のポラリスと遭遇したリザが、ポラリス誕生の経緯を聞きだし、全ての戦闘が終わった後に話してくれた。
その時のことを思い出しつつ、レイの代わりに話を聞いたリザが説明する。
「通常の手段では消滅しない肥大化した感情を受け止める器としてポラリス殿は製作され、しかし失敗に終わったと聞きました。魄は一つしか容れらず、ほかの機体は一体を除き全て性能不足で計画は頓挫したと」
「肯定。『機械乙女』ポラリスを含めたスターダストシリーズの成功例は二機しかおらず、計画は凍結。唯一の成功例である『機械乙女』ポラリスは魔法工学の兵器に対抗する兵器として運用するにあたり、目的別に情報分析用内部端末と戦闘用外部端末が増設された」
「……なんだと? 増設、だと。それじゃあ、まさか。彼女は」
「肯定。生前のノーザン・オルストラは、『七帝』となった『機械乙女』ポラリスの人工知能を抜き取り、対魔法工学兵器用兵器Ω―1、情報分析用内部端末、個体名『機械慈母』ポラリスを作成。その後、『機械慈母』ポラリスの戦闘用外部端末として、『七帝』を収容したスターダストシリーズ弐号機『機械乙女』ポラリスをひな型とした戦闘用外部端末を増設した。それが、私達の目の前に居る機体だ」
レイとリザの視線が、僅かに顔を俯かせるポラリスの方へと集中する。
そして、下降する感覚が終わりを告げると、扉が開いた。
「到着。『科学者』ノーザン・オルストラが世に残した三つの遺産。その内の一つである研究所の最下層に着いた。この先に待つのが、『七帝』にしてスターダストシリーズ弐号機『機械乙女』ポラリスである」
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