3-8 精霊祭 一日目〈Ⅷ〉
アマツマラ王宮。謁見の間。
普段は厳かな空気に支配されているこの空間は今や鉄火場の態を成していた。どこかから持ち込まれた巨大なテーブルが赤い絨毯の上に置かれ、その上で幾つもの報告書が積み上げられる。
ここは現在、仮設の指揮所に様変わりしていた。
城の中でも謁見の間は式典に用いられることもあり大人数を収容でき、城の中央という位置も良かった。情報を持った伝令が入り組んだ城内を無駄に走ることなく行き来できる。
今も塔の先端から戦場となっている特別地域を監視していた兵士が謁見の間に飛び込んできた。
「報告します! 魔法使いたちの活躍により防壁が出現いたしました!」
齎された知らせに張りつめていた空気が刹那の間だが弛緩した。
「陛下。これでしばらくは敵の進軍を押さえる事ができましょうぞ」
上座にて立ったまま話を進めていたテオドールに家臣が破顔した表情で伝えた。だが王はそんな家臣を刃のような瞳で睨みつけた。
「防壁は単なる土塊の壁だ。モンスターの爪や牙。魔法で簡単に壊せる代物。一時しのぎにしか使えん。……皆、ここが瀬戸際だ! 浮かれるな!」
王の厳しい言葉に集まった人々は己の職務へと戻った。
それを見届けた後、テオドールはテーブルの一角で議論しているミカロスへと近づいた。彼は右腕ともいえる副団長と防衛に関する作戦を立てていた。
「ミカロス。お前の騎士団に命じる。防壁と城壁の間の特別地域に残るモンスターの討滅。及び生存者の救護、そして前線における陣を構築。以後戦闘に関する指揮は全てお前に一任する」
「はっ! 謹んでお受けいたします」
騎士団長と騎士副団長は揃って敬礼をして命令を受領した。王は次の指示を飛ばそうとうとしたが敬礼を解いたミカロスに止められた。
「陛下、一つお聞かせください。……我々の戦略方針は防衛で宜しいのですね」
「……ああ。その通りだ」
一瞬、二人の間に重苦しい空気が生まれたが、本当に一瞬の事だった。再び敬礼をしたミカロスは副団長を連れて謁見の間を出て行った。
ミカロスの言いたいことはテオドールにも十分理解できた。彼は二つの事を暗に指摘したのだ、現在、スタンピードの本隊に襲われているダラズの事。そして来るかどうかわからない援軍を待つ防衛戦の危険性を。
城壁の内側で籠城するという事は防衛側に打って出るほどの戦力が無い事を指す。仮に兵士六千と冒険者八百がモンスター八万と平地で正面からぶつかったとしよう。結果は想像するまでも無く人間側の敗北だ。
かといっていつまでも城壁の中で閉じこもる事も出来ない。食料、士気、物資。時間が経つにつれて様々な問題が噴き出してくる。
防衛側が籠城戦を選んだ時点で勝つには一つしかない。他所からの援軍だ。ここに居る兵力だけで打ち勝つ事が出来ない以上、他所から持ってくるしかない。
だが、今の時点で増援は呼べていない。高濃度の魔力汚染のせいで魔水晶による通信が不可能となっている。近隣の軍事施設も南側はスタンピードにより壊滅。最寄りの常備軍は包囲されているダラズだ。
ミカロスがすでに送り出した伝令たちが頼りだ。それでも一番近くてウージアの街まで早馬でも半日以上かかる。そこから最低限の兵を残して出兵の準備を進めても恐らく二日。増援が来るのは明後日以降となる。それまで首都は自前の戦力で防衛をしなくてはならない。
それはそのままダラズを見捨てる事に繋がる。包囲されている以上、向うが助かる為にも援軍が必要だ。だが、首都の兵は動かせない。
戦略上、この判断は正しかった。ダラズにモンスターの大部分がひきつけられている間、首都は籠城の準備を進められる。確かに近隣一帯における最大の穀倉地帯とはいえ重要度は首都とは比べられない。どちらを確実に守るべきかを考えれば王の判断は誰にも責められない。
ただし、王本人を除いて。
(何てざまだ……俺は今こうしている間も攻撃を受けているダラズを見捨てるしか首都を救う手は無い)
沸々と怒りの感情が胸の内で煮えたぎる。姿を見せない首謀者に対して殺意を燃料とした怒りが煮えたぎるマグマの様に溜まっていく。
(上等だ!! どこかで見ているてめぇを必ず殺す!! 地の果てまで逃げたとしても俺は追い詰めてやる)
心の内で誓うと彼はヨグトゥースから上げられた情報を読み肩を落とした。そこには魔力汚染の除去に時間が掛かると記載されていた。
魔力汚染さえ除去できれば援軍も情報の交換もスムーズに済む。未だに全容の掴めない今回のスタンピード。いまは少しの情報が黄金に匹敵する。
すると、その書類を覗きこむ様に宰相のルルスが音も無く現れた。彼は先程まで城壁沿いの建物の接収指示を出していたはずだ。
「ふむ。除染にはまだしばしの時が必要か」
「……師よ。あまり驚かさないでほしいのですが」
抗議するも宰相は伸びた髭を摩りどこ吹く風。この国において王にこのような態度をとれるのはこの老人だけだろう。
テオドールはため息を吐いてから、彼に作業の進捗状況を尋ねた。
「ん? 前線支援用に城壁沿いの建造物の接収は急がせている。それに並行して都市内に居った内外の貴族、名士たちの城への収容。それに街の上層部に仮設の避難所も設けたぞ」
「相変わらず年に見合わない素早いお動きですね」
「ふふん。誰がお主を育てたと思うとるのじゃ」
誇らしげに笑う嘗ての教育係の姿に内心頼もしく思っていると王の耳に鐘の音が聞こえてきた。それはギルドが高所に設置している鐘楼からの音だった。
「おうおう。ヤルマル殿が呼び出しをしておるのう」
ルルスは聞こえてくる鐘の音からここに居ない男の名を告げた。テオドールも書類に目を通しながら内心、ギルドへと思考を巡らしていた。
「大体ですね! いくら非常時だから、いえ、非常時だからこそ節度を持って行動するべきなのです! なのに、このような往来で少女の肩を抱きかかえるなど男のすることではありません! そんなうらやま……ごほん! けしからんことはおやめ下さい! 人を心配させておいて女の子とイチャイチャですか!!」
先程からリザの凄まじい剣幕に押されて僕は何も言えずにいた。というか支離滅裂になっていないか?
正門から横にそれた路地にて僕は正座をしながらリザの説教に耳を傾けている。彼女は無表情のまま早口でまくし立てている。
レティはまあまあと取り成してはくれるがリザの怒りの前に為す術も無かった。彼女の怒りももっともだろう。この緊急時に逸れてしまい危険地帯に残った僕を心配して駆けつけたら女の子の肩を抱いていたのだ。この一文だけ抜き出すと自分がとんでもない極悪人に思えてくる。
とは言え彼女の言う通り今は非常時。外の様子も分からない以上早く行動したい。その事を説教を続けようとしているリザに伝えようとして―――僕らの動きが一斉に止まった。
最初はじんわりとした熱を感じた。熱源はコートの内側だ。見るとそこに仕舞っているプレートが熱く灼けたような色合いに変化している。リザとレティの方に顔を向けると彼女たちも同じように仕舞ってあるプレートへと視線を落としている。
僕はプレートを取り出すと、何時もとの違いに気づいた。裏面の技能欄が消え、メッセージが浮かび上がっていた。
―――アマツマラに居る全冒険者に通達。『総動員令』が発令しました。手すきの冒険者は至急ギルド前に集合―――
何時の間にか刻まれている文章を読む。おそらく二人も同じ文面が刻まれているのだろう。僕は二人に尋ねた。
「『総動員令』って何のことか分かる?」
「おそらく……今回の異常事態においてギルドが国の要請を受け入れたのでしょう。本来、国とは一定の距離を保ち独立した組織のギルドは例え所属している国が戦争に巻き込まれてもギルドとしては参戦しません。なのに『総動員令』が掛かったということは」
「この都市に居る全ての人が危険な目に遭うからそれを防ぐって頼まれたと思う」
「二人は……どうしてこれが発令したと思う?」
再度、二人に問いかけた。姉妹は顔を見合わせてから徐に口を開く。
「やはり、スタンピードだからでしょう」
「モンスターが相手じゃないと滅多に『総動員令』なんて発令しないし受理もされないよ」
言ったはいいが二人とも判断が付かない様に曖昧な態度だ。。まだ確信に至っていないのが伝わる。
すると僕らの耳に鐘の音が響いた。路地からでは音の位置がいまいち分からなかったが恐らく街の中腹からだろう。
それを合図に冒険者たちと思わしき人々が逃げる避難民よりも早く坂道を上り始める。
「ご主人様、いまのはもしかして」
「うん。ギルドで鐘が鳴ったのかもしれない……急いでいこう」
僕は素早く立ち上がるとリザとレティを連れて坂道を駆けあがった。
ギルド前の噴水は水が抜かれていた。非常時だからだろうか? 道すがらに並んでいた屋台も閉じており、都市内から祭りの高揚感は綺麗に拭い去られている。代わりに道行く人たちは疲れ切り、怯えた表情を浮かべていた。
そんなギルド前の広場に僕ら冒険者たちは集まっていた。数は恐らく三百は超えているだろう。広場だけで収まりきらずに隣接する建物や馬車を停める空き地にも冒険者たちが集まっている。
その最中、僕らは見慣れた赤い髪の少女と遭遇した。ファルナだ。
「レイ! リザ! レティ! 三人とも無事だったか!!」
僕らを見つけた時、氷を思わせる青い瞳は不安げに揺れていた。彼女の背後には『紅蓮の旅団』と思わしき冒険者たちが控えていた。その中に僕にきつい視線を送るホラスやマクベが当然のようにいた。
ファルナはそんな彼らから離れるとリザへと飛びついた。抱きつかれて一瞬驚いたがリザはすぐに落ち着かせるようにファルナの背中を撫でた。口元には優し気な笑みを浮かべている。僕にもそんな表情を向けて欲しいです。
「宿の女将に聞いたらアンタらは朝から城外へと向かったて聞いたし。そしたら直ぐにモンスターの襲来が伝わって門が閉まったりで心配したんだからな!!」
恐らく接客をしていた主人経由でカザネさんに伝わったんだろう。一しきりリザを抱きしめたあとファルナは顔を上げた。目元が赤くなっているのは見なかったことにしよう。
「女将からの伝言で、宿は冒険者たちが自由に使っていいだって。あの人たちはもう指定の避難場所に向かったよ」
「そっか。荷物を如何しようか考えてたんだよね。何せほらこの通り」
僕は大きく裂けてしまった鞄の残骸を見せた。先程から杖は腰のベルトに差したままだ。この緊急事態にリュックサックを背負うのは出来れば避けたかったので大きな荷物の方は部屋に置きっぱなしにしておく。
すると、リザが僕の腰の鞘に目線を送った。晴れた青空の色の瞳が大きく見開いた。
「ご主人様! 剣はどこに?」
言われて腰の鞘に手を伸ばしたが、バスタードソードは姿を消していた。そういえばと、思い出した。
「レッドパンサーと戦っているときに刺したまま置き去りにしてきたの忘れてた」
リザとファルナが困った様に顔を見合わせるが今はどうすることもできない。後で武器屋を探して何でもいいから剣を買わなくては。
僕は周囲を見渡して見知った顔が無いか確認するがファルナたち以外の『紅蓮の旅団』のメンバーは見つからない。レティも同じことが気になったのだろう、ファルナに尋ねた。
「ねえ、ファルナさま。カーミラさまとか他の『紅蓮の旅団』の人たちは?」
「それにジェロニモさんたちは? オイジンと正門で会った時は無事だって聞いたけど」
「フェスティオ商会の人たちは全員避難させた。アタシらD級以下の冒険者たちは兵士と一緒に都市の人々の避難誘導を手伝っていたらここに呼ばれたんだ。それ以外のメンバーはみんなモンスター退治さ。親父も含めてな」
とするとファルナを見つめる後ろの人たちはみなD級以下なのかと理解した。
そうしていると辺りのざわめきが徐々に静かになった。集まった冒険者たちの視線を追うとギルド入り口に老人の姿があった。
その人に見覚えがあった。たしかシュウ王国におけるギルドの長、ヤルマルさんだ。彼は手にメガホンによく似た物を口に当てると喋り出した。老人とは思えない程大きな声量からすると、おそらくあれは拡声器を模した物だろう。
「よくぞ集まってくれた、冒険者の諸君。みな此処に来るまでに城外で起きたことを多かれ少なかれ聞いたであろう。それは大よそ真実だ。現在、アマツマラとダラズにおいてモンスターの大規模攻勢が確認されている」
―――瞬間。広場が爆発したかのような喧騒に包まれた。
所かしこでヤルマルさんに声が降り注いだ。それは敵の規模に関する質問だったり、ダラズの街の安否を確かめる内容だったり、どうしてここまで深く侵入されたのかという抗議も交じっていた。
「……やっぱり、マジでスタンピードかよ」
喧噪の中でも隣に立つファルナの呻きだけはしっかりと聞こえた。いつもの強気な表情は消え、かつて見たネーデの迷宮で見た弱々しい姿を見せていた。
視線を横にずらすとリザも表情を青ざめながらレティの肩を抱きしめていた。妹はそんな姉の様子を心配そうに見上げる。
僕はそんな彼女らの背中を叩いた。
「らしくないよ、二人とも!」
「レイ?」
「ご主人様?」
二人は似た色合いの青い瞳を困惑した様に僕に向ける。
「いつもの戦闘バカぶりはどこに行った? 君たちはこういう時こそ燃えるんじゃないのか。沈んでたら飲み込まれるよ」
「そうだよ! 二人とも猪突猛進型の戦好きなんだからそんな風に暗くなるとこっちも暗くなっちゃうよ」
レティの援護射撃が飛んだ。リザとファルナは顔を見合わせると噴き出して笑い出した。周りの喧騒に掻き消されるが幾人かは不思議そうに僕らを見る。
「あっははは! そうだね……アタシとしたことがビビってたね」
「ふふ。御免なさい、ご主人様、レティ。心配を掛けてしまいました、もう大丈夫です」
いつもの調子を取り戻した二人を見て僕とレティは拳を合わせた。だが、二人の笑みはより深くなるのに連れて寒気がする。
「……それでさ。戦闘バカってどーいう意味だい?」
「それに……猪突猛進型の戦好きも説明して欲しいわ?」
(しまった! 口が滑って余計な事を言いすぎた)
二人のにこやかな笑みに戦慄を禁じ得ない。レティに視線を送ると、あろうことか彼女は僕を指さした。どうやら僕を売る気だ。
拳を鳴らして距離を縮める二人を止めたのはヤルマルさんの大声だった。
「静かに!! 現在、情報を集めている段階だがモンスターの規模は早朝の時点でおよそ八万! 対してここに駐屯している兵の数は正直足りない」
そこで彼は言葉を区切り、聴衆の反応を確かめる。先程までの喧騒は収まっているが代わりにとんでもない数字に怯えが広がっている。
「そして先程、テオドール陛下によりギルドに対し『総動員令』が発令された。つまりギルドは今回の難関に対し、国と共に対処することになった。ついては君たちにも兵士と共に前線に出て欲しい!!」
再び、爆発のような喧噪が広場に巻きおこる。大半が怒声だった。
「何で俺たちが戦わないといけないんだ!!」「そうよ、国を守るのは兵士の役目でしょ!」「パーティーメンバーが死んだ時保証は出んのか!?」「俺たち冒険者は俺たちの信念に対して自由のはずだろ!?」
冒険者たちの言い分ももっともだと思う反面、この非常時に保証だ、役目だと言い争う場合では無いと思えた。だけど、集まった群衆のボルテージがどんどん高まっていく。このままだと危険な方向に弾けてしまいそうなほどに。
すると、ヤルマルさんが拡声器を下ろした。僕らの前で彼は大きく息を吸うと叫んだ。
「頼む! 助けてくれ!!」
それは拡声器を通さない彼の生の声だった。好き勝手に言っていた群衆は水を浴びせられたように静かになった。ヤルマルさんはそのまま声を張り上げた。
「この首都は建国以来一度も戦場になった事が無い! 今回が初めてだ! 兵士は浮足立ち、民は怯えている! 何故なら相手が人の不倶戴天の敵、モンスターだからだ!! 奴らは人の様に生かさず殺さずなんて事はしない……負ければアマツマラは滅亡するだろう。私はこの街に生まれ、育った。だから戦う力を持つ君たちに頼む!! 私達を助けてくれ!!」
老人の悲痛な訴えは心に来るものがあった。先程まで喚いていた群衆も同じなのか躊躇する空気が漂っていた。
―――それを破るように鐘が一度大きくなった。
ゴオン、と先程とは違う、割れたような音だった。まるで外から石を投げつて鳴らしたかのような、そんな音だった。
広場に集まった全ての人が鐘を見上げていると後方から突風が吹いた。同時に何か大きな物体が群衆を掻き分け水の出ていない噴水を足場に飛んだ。その禿頭の大男は体に似つかわしくない身軽さを持ってヤルマルさんの隣に着地して見せた。
鍛え上げた肉体を誇示するような鎧を着込み、血に濡れた斧を背負う男。『紅蓮の旅団』の団長、オルドだった。
「おい、あれ?」「……もしかして」「マジかよ、A級の冒険者」「そうだよ『岩壁』のオルドだ!」
興奮が波のように広場の群衆に伝わった。どうやらオルドの存在は広く周知されている様だ。
「オルドか……この時期にお前が来ているとはこれも神々の恩恵か、はたまた冒険王の思し召しか」
「ヤルマル殿。さっきの演説、胸に響いたぜ」
オルドは一度言葉を区切ると、騒めく群衆に向けて声を張り上げた。
「お前ら! 思う所はあるだろう。……だがな、一度それを飲み込んで思い出せ! お前らが冒険者になった時を!」
突然現れ、演説をするオルドを群衆は受け入れていた。ネームバリューだけでは無い。彼が持つ人を惹きつける力が聴衆の耳を傾けさせている。
「どういう経緯で冒険者になったのかは知らないが、一度は思っちまったんじゃないか!? 英雄になってみたいと! 俺はそうだった! そして今、この瞬間危機に瀕している街があり、俺たちには日ごろ培ってきた力がある!」
オルドは鍛え上げた拳を高々と挙げた。
「なら! 今こそ名を挙げようじゃないか!! かつての英雄たちの様にテメエの名を歴史に刻め!!」
高く上げた拳が勢いよく振り下ろされた。たったそれだけの事なのに拳圧が風の様に広場へと拡散していく。まるでオルドに気合を入れられているようだった。
「ああ、やったろうじゃないか!」「そうだな! こんな大きな戦い、今後二度とないかもしれない」「後方支援しかできないかもしれないけど、ここは生まれ故郷だ! オレも戦う!」「アタシも」「僕も!!」
人々の熱が何層も折り重なり合い、巨大な熱気へと変化していく。オルドは満足そうに笑うと叫ぶ。
「戦う勇気ある者は声を上げろ! 外のモンスター共をビビらせろ!!」
「「「「「おお!!」」」」」
鼓舞する様に冒険者たちは拳を振り上げ、叫んだ。戦いの先触れのように。
読んで下さってありがとうございます。




