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悪役令嬢だった私はスライムに生まれ変わりました  作者: 狩野生得
第二章 真の悪役令嬢は貴女です
9/13

9.悪役令嬢は最高戦力に認定されてます

挿絵(By みてみん)

 ハース大陸にはモンスターもんでる。

 1対1ならヒノキの棒を持った子供でも倒せるスライム(小)から、モブ兵士だと100人いても勝てない地竜まで、色々いるわ。

 ちな、スライム(小)の強さは最弱のF級、地竜は成体でA級よ。

 博物館に展示されてた骨の主は、並の地竜より二回りほど大きかったからS級ね。大きさで扱いが変わるのは、換金目的の養殖がブームだった頃のオオクワガタの1ミリ2ミリに通じるところがあるわね(違)


 いくつもある異世界の中には、聖女がいるだけでモンスターがいなくなる世界もある。

 そういう世界のモンスターは、瘴気しょうき――普通の生き物には有害な気――の影響で生まれたり、瘴気が実体化したものだったりするの。

 だから、聖なる力で浄化できるわけ。


 でも、この世界は、そうじゃない。

 モンスターは、野生動物や植物の一種なの。

 倒し続けると戦闘用の技能スキルをゲットできたり、魔法力(MP)の上限が増えたりする種族を、モンスターと呼んでるの。

 そんなわけで、強さランクC級以上で悪党認定された人間も、モンスター扱いされてるわ。頭文字Dな国民的RPGのカ○ダタみたいなものね。


 モンスターは、食べ物さえあれば普通に繁殖し続ける。

 食べ物が足りなくなると大移動を開始する奴らもいて、人間のテリトリーにも入ってくる。

 そうなるとお互い困るから、繁殖力が強いモンスター――ラビット系とか、ゴブリン系とか、オーク系とかは、ハンター組合が常時討伐対象に指定してるわ。


 あ、ハース大陸にもハンター組合があってハンターもいるわよ。

 少しばかり腕に覚えがある庶民は、一獲千金を夢見てハンターになるの。

 実力次第でいくらでも稼げるし、実績を積んでB級に上がれたら騎士団――モブじゃない兵士の軍団――から声がかかるからね。

 正式な騎士になれれば、貴族の末席に加われる。実力があれば、伯爵にまでなれるわ。実際にそこまで成り上がれた人は、一人しかいないけど。


 で、繁殖力が強いモンスター――別の言い方をすると弱いモンスターは専業のハンター任せでいいんだけど、強いモンスターは彼らの手に負えないのよねー。

 じゃあ、強いモンスターが人間のテリトリーに現れたらどうするか?

 その答えは、「国が討伐隊を派遣する」なのでしたー。


 というわけで、私は討伐隊のメンバーに加わって、S級モンスターの討伐に来ています!

 本来なら教会で魔法を教えてる日なんだけど、S級モンスターの出現は国家の一大事なの。当然、こちらが優先になるわけ。


 えっ? S級モンスターなんて出るのかって?

 出るわよ。まれにだけど。

 前に言ったでしょ? ハース大陸で共通のモンスター強さ基準はSSSが最上位だって。

 強さが定義されてるってことは、実際に出たってことよ。

 ついでだから言っておくわ。SS級は極稀ごくまれに、SSS級は極々稀(ごくごくまれ)に出るわよ。



 私たちが来てるのは、王都の西にある古代の森。樹齢数千年の樹木が生い茂る、とんでもない森よ。

 木霊こだま木の精霊(ドライアド)がいても、みんな納得するんじゃないかしら? もののけの姫や祟り神は、さすがにいないと思うけど…。


 討伐隊のメンバーは4人。

 騎士団団長のシアンさん、王宮魔導士筆頭のタランさん、第二王子のヴェント殿下、それと私よ。


 リーダーはシアンさん。20代半ばで長身のイケメン。短距離選手みたいな体つきね。

 装備は魔法で強化されたハーフプレートに竜殺しの剣(ドラゴンスレイヤー)。魔法でパワーとスピードを強化して戦うタイプよ。


 タランさんは10代後半。童顔で身長も低めだから、ショタ趣味のお姉さま方に大人気よ。

 装備は王宮魔導士のマントとロッド。戦闘は、高威力の魔法を連射するタイプ。地竜程度なら瞬殺できる、ある意味化け物よ。


 ヴェント殿下はタランさんと同い年。身長は高め。客観的に見ればルックスも良いわ。

 装備はシアンさんと同じだけど、王族用だから性能は上よ。殿下は戦闘の天才と言っていいわね。シアンさんとの差は実戦経験だけよ。

 それともう一つ、殿下は私の元婚約者なの。もっとも、今の私にとっては調査対象の一人ってだけ。特別な感情は湧かないわ。


 あら、今度は何かしら? ああ、S級モンスター相手に4人は少なすぎるんじゃないかって話ね。

 残念だけど、それは逆よ。相手がS級だから少ないの。

 さっき言ったでしょ? 相手がA級の時点で、人海戦術は通用しないの。モブ兵士を投入しても、無駄な犠牲者が増えるだけなのよ。

 だから、S級モンスターと互角以上に戦える精鋭だけを投入したってわけ。


 さらに言うと、強敵と戦う時にやっちゃいけないことの一つが、戦力の逐次投入よ。

 最終的に投入した戦力が同じでも、一斉投入と比べたら、受ける損害が全然違うの。

 なので、今回は最初から最高戦力を投入してるの。

 そう。私を含めた討伐隊の4人が、プルミエルの最高戦力ってわけ。



 今回のターゲットは爆砕竜。ドラゴン系のモンスターよ。

 狩りゲーのブラ○ディオスと伝説ポ○モンのパル○アを合体させたような姿をしてるわ。

 体長は地竜と同じぐらいだけど、二足歩行だから大きく見えると思う。

 軽快なフットワークで移動し、爆発する岩のブレスを吐くの。直撃がヤバいのは当然だけど、着弾点が近くてもヤバいのよ。爆風や破片が飛んでくるからね。

 さらに、ジャンプから繰り出すパンチやキックもヤバいわ。攻撃が当たると、ド○ゲ魔人やショッ○ー怪人じゃなくても爆発しちゃうのよ。

 ドラゴン系モンスターの例にもれず、防御力は物理も魔法も高レベル。

 モブ兵士や並の僧兵じゃ、近付く前に爆殺確定。運よく近付けても、普通の武器じゃ歯が立たないっていうね…。


「「!」」


 私は探知魔法で爆砕竜を発見。同じタイミングで、タランさんも爆砕竜を発見したようね。

 でも、これって…。

 私は小声でタランさんに確認をとる。


「(ターゲット、2匹いません?)」

「(うん、そのようだね)」


 S級モンスターの脅威は、1匹で天災級。そうね、非常に強い台風だと思ってもらえばいいわ。

 それが2匹いるなんて、完全に想定外よ!


 当然、当初の計画は使えない。

 厄介なことになったわね…。

今回はピッタリ2500文字でした。

修正が入ったら違っちゃうんですけどね…。

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