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悪役令嬢だった私はスライムに生まれ変わりました  作者: 狩野生得
第二章 真の悪役令嬢は貴女です
11/13

11.悪役令嬢なので相手をサゲるほうを選びます

挿絵(By みてみん)

 私は探知魔法で爆砕竜を見た。


 うん。さっき獲物を食べてたときと同じで、2匹とも普通にS級よね。

 それなのに、なぜか3人は苦戦している…。


 これは、詳しく調べる必要があるわね。


 私は神眼しんがんを戦闘用に切り替えた。

 こうすると、相手の身体能力や魔法力(MP)の量や耐性なんかがわかるの。経験からくる強さまでは、さすがにわからないけどね。

 ゲーム的に言うなら、パラメータと種族固有のスキルは見える。でも、その個体が自力で習得したスキルは見えないってところかしら。

 闘気や魔法力の流れも見えるから、行動の先読みもできるわよ。


 それじゃ、爆砕竜のチェック開始スタート


 今のシーンをイラストにしたら、私の目から広がる光線的なものが、爆砕竜をスキャンしてる感じになると思うわ。

 実際に私の目から光線が出てるわけじゃないけどね。


 そうね、絵師さんによっては、爆砕竜の断面図まで描くかもしれないわね。

 念のため言っておくけど、ブレス用の岩石袋は描いちゃダメよ。

 ブレス(あれ)は魔法で出してるの。

 ついでだから言っておくわ。火炎袋や冷凍袋を持ってるモンスターも、この世界にはいません! でもね、毒袋を持ってるモンスターはいるの。

 ここ、テストに出るわよ。


 はい、2匹ともスキャン終了~。


 ぅゎ爆砕竜っょぃ!

 シアンさんペアが戦ってる個体はS級とSS級のボーダーぐらい! 殿下と私が戦ってる個体は普通にSS級じゃないの!


 あっ、でも、それだけじゃ、今の状況の説明がつかないわね。

 いや、実質1人で戦ってる殿下が翻弄ほんろうされてるのは仕方ないのよ。殿下の強さはS級とSS級のボーダーぐらいで、相手はSS級だもん。

 でもね、殿下と同じ強さのシアンさん&タランさんペアが、同じぐらいの強さの相手に2対1で苦戦してるのは、どう考えてもおかしいのよ。


 私は3人をサポートしながら、さらに爆砕竜たちを見た。

 うわ~っ、やっぱりか…。


 この2匹、戦闘力をコントロールしてます!

 必要な部位に必要なだけ闘気を集めたり、戦闘力を一瞬だけ上げたりと、どこぞの念能力者や戦闘民族も感心するレベルです。

 これは探知魔法じゃ拾えないわけだわ…。


 私の見立てだと、爆砕竜の強さは文句なしのSS級。

 これ、勝ち目はあるのかしら?


 というわけで、シアンさんたち3人もチェーーック!

 あ、断面図は想像しないように! あと、装備をいた姿を想像するのも無しよ!


 おうふ。

 どう贔屓ひいき目に見ても、3人ともいっぱいいっぱいで戦ってます。

 3人の名誉のために言っておくわ。相手が1匹だったら、互角に戦えてたと思う。今回は、2匹いたのが想定外。それで苦戦してるの。


 もっとも、最初から2匹いるってわかってても、結果は同じだったと思う。

 理由? 討伐隊の5人目6人目に加われる騎士や魔導士がいないからよ。

 3人の力は、それだけずば抜けてるの。



 さて、困ったわ。

 今回の件は、私が爆砕竜を倒せば終わる話ではあるの。でもね、それをしちゃうと色々まずいのよ。


 まず、3人のプライドを傷つけちゃうのがマズい。

 自他ともに認める戦闘職のトップが倒せないモンスターを、非戦闘職の私が瞬殺なんてしたら、ねえ…。

 私が逆の立場だったら、ものすごく凹む。自分で自分が許せなくなるわ。


 私が知ってる限り、3人は挫折を知らない。

 どれだけ落ち込むか、そこから立ち直れるのか、立ち直るのにどれだけかかるか、全てが未知数なわけ。

 国家としたら、気が気じゃないわよね。


 そして何より、私の実力がバレるのがマズい。

 正確には、それで私の立場が変わるのがマズいの。


 今のプルミエルは、王族と騎士団と王宮魔導士が、戦力として釣り合ってる状態なの。

 それを軽々と超える戦力が教会にいるのを、王族や貴族が認めると思う?


 はい、そういうことです。

 私がSS級のモンスター2匹を瞬殺できる力――誰がどう見たってSSS級相当――を持ってるとバレたらどうなるか?

 その答えは、「教会住みから王宮住みになって、副官という名の監視役2名が四六時中はりつくようになる」です。

 そんな状況で、私をおとしいれた者たちの調査ができると思う? ええ、どう考えても無理よ。


 ちな、監視を拒否したら、私は魔王扱いされて討伐対象になります。

 返り討ちにするのは簡単なんだけど、私はそんなことがしたくて地上ここにいるわけじゃないからね。


 だから、私が爆砕竜を倒す展開は、絶対避けなきゃならない。

 なんとかして、3人が爆砕竜を倒す展開にしたいのよ。


 となると、3人を超絶強化するか、2匹を超絶弱体化する必要があるわね。

 どっちが今の状況に合ってるかしら…?


 うん、2匹を弱体化する一択ね。


 3人は自身を限界まで強化して戦ってる。

 これ以上強化しても、心身の負担が増えるだけ。体力や気力が一気に消耗するから、やるべきじゃないわ。


 一方、敵の弱体化なら、多少やりすぎても聖女だからで押し切れる!

 というわけで、ここは神種しんしゅ覇気の出番ね。


 神種覇気は、神様が持ってる圧倒的な威圧感のようなものよ。

 これを浴びた相手は超ビビる。ビビったついでに力をほとんど出せなくなっちゃうという、実に都合のいい技なの。


 あっ、そうか。相手がいきなり弱くなったら、私が何かしたってバレちゃうかもしれない。

 となると…。

 そうだ! 動きを止めたところを攻撃してもらって、命中する直前に弱体化すればいいんだわ。


 3人の攻撃は、今の爆砕竜にも通用する。

 弱体化した状態で攻撃を当てれば確実に倒せるわ。


 うん、これで決まりね。


 私は3人に告げる。


「神聖魔法で爆砕竜の動き止めます! その間に攻撃してください!」


 3人は頷き、魔導防壁の後ろで攻撃態勢に入った。

 それじゃ、行きますか。


全停止アレテトゥ!」


 私は神聖魔法で爆砕竜たちの動きを止めた。

 シアンさんと殿下が間髪入れずに駆け出し、それぞれの相手に剣技を放つ。


「竜破斬!」

「サンダースラッシュ!」


 竜殺しの剣(ドラゴンスレイヤー)の特性を最大に引き出すシアンさん!

 弱点属性――正確には、一番通る属性――を竜殺しの剣に乗せる殿下!


 タイミングを合わせ、私は神種覇気を放つ。

 爆砕竜の強さが大幅にダウン!


 2人の剣が、弱点の頭部を正確に撃つ!


 爆砕竜たちは、崩れるように倒れた…。

今回は2525文字でした。

ね、狙ったわけじゃないですよ?

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