勇者ルカ　了

　勇者ルカの活躍により魔王は封印され、魔物たちは人類の大きな脅威ではなくなった。

　彼の武勲が広く知られるようになったのは、魔王城に捕らえられ、開放された人々が土地に戻り話を広めたためだ。人々は魔王が「勇者への土産」と発言したのを聞いており、つまり人質として囚われていたものと思われるが、なぜ実際に勇者に対して使われなかったのかはわからない。

　魔王が何を考えていたのかは、研究者の間でも意見が分かれる。魔王を倒した当の勇者ルカが「魔王の考えはわからない。もしかすると、死にたかったのかとまで思う」と証言している。そう考えられるほど魔王の行動には意味のわからないものが多い。

　ルカの妻となった聖女アンシーも魔王に「いい子を産め」と言われたのだと語っている。魔王は今も封印の中で、自分を倒すものを求めているのかもしれない。

　勇者ルカと聖女アンシーは三人の子をもうけた。さすがは勇者の血というべきか、どの子も体が頑健で、幼い頃からの厳しい戦闘教育に耐えてきたという。

　魔王との激戦で全身に傷をおっていた勇者ルカは、子供の成長を見る前に故人となった。その後もアンシーは子供たちを厳しく育て続けた。結婚相手さえアンシーが探してきたと言われている。孫にもその教育は及び、老境に達しても衰えず、多くの戦闘教育機関の設立に関わった。

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