緑の楽園『サリスワイズ』【挿絵】
リィザスはボンゼルにガディスの事を聞く為、書斎へと向かっていた。
ここはルトルシニアのファストル城。
「ボンゼル様は、まだ書斎に居られるだろうか」
リィザスはそう言いながら城の通路を歩き、ボンゼルがいるであろう書斎へと向かっていた。
ここルトルシニアは、ラシアリュージュの北北東側に位置するサリスワイズ大陸に存在し、この大陸の南南東側に位置する国である。
そして、このラシアリュージには、緑の楽園『サリスワイズ』、黒き鉱山と砂漠の大地『ブフェレン』、妖精の住む大地『スタリタル』、綿毛の聖地『ミルキィフェズ』、魔氷山と雨の都『ライラスリア』と5つの大陸に分かれ、特にここサリスワイズは、緑豊かで最も大きな大陸である。
かつてのサリスワイズは、山々に囲まれ緑豊かで自然が多くあり、北北西側に5ヶ所と南南東側に2ヶ所の領土を持つルトルシニアと、北北東側に4ヶ所の領土を持つドラゴノヴァが互いに、この大陸の覇権を争っていた。
その頃のルトルシニアは、今以上に国力があり、特に『軍事力』に優れていた。
だが、後にブレグランがサリスワイズの資源の豊かさに目を付け、それら全てを手に入れるべく、ブフェレンの北北東に位置するサリスワイズへと進軍し、最も海沿いに近いルトルシニアの領土であるアザレアを、進軍からわずか3日足らずで攻め落とした。
その後ブレグランは、ブフェレンの首都であるネメシアから、首都をアザレアに移すとそこを拠点とし、さらに東へと進軍していき、ルトルシニアの7ヶ所の内の5ヶ所の領土を攻め落とした。
だが、ルトルシニアの南南東に位置するファストルと西に位置するシャスタの2ヶ所だけは、攻め落とす事が出来なかった。
ファストルとシャスタの各城の精鋭部隊は、ブレグランの軍勢が攻め来るまでに、まだ距離と時間に余裕があった為、その間、地形を生かした策を考え、迎え打つ準備が出来た。
だが、それでもブレグランの軍勢の力は図り知れず苦戦し守勢に回るも、精鋭部隊の活躍により、なんとか領土を守り抜く事が出来た。
その為、現在のルトルシニアの領土はファストルと、シャスタの2ヶ所だけとなり、ドラゴノヴァやブレグランよりも国の規模が小さくなってしまった。
そして、ここルトルシニアのファストルは、サリスワイズの南南東側に位置し、さらに南東側にファストル城があり、城を守るかのようにそびえ立つ険しい山の麓には、龍神祭を行う為の祭壇があった。
だが数日前に涼香がバルロスを吸収した時、涼香の能力により祭壇は跡形もなく破壊され、現在そこには、ほとんど草木が生えておらず土が見え隠れしている。
そして、ファストル城の南西側に城下街があるが、他の街に比べ人口が数千人と少なく、さほど大きな街ではない。
しかも、ここファストルは山々に囲まれ、他の街との距離がかなりあり、行商人や旅人などが余り立ち寄らず、それほど賑わっていないのだが、この街の住人は穏やかな人が多く、その為か治安が良く犯罪が少ない。
その頃リィザスは、ボンゼルの書斎の前まで来ていた。
リィザスは、ノックをし書斎の扉を開けようと、取手に手をかけたその時、いきなり扉が開きボンゼルが目の前に立っていた。
「ハッ!?ボ、ボンゼル様……」
一瞬リィザスは驚き、そう言いながら後退りした。
「ふぅ、リィザスか」
「あっ、はい。ボンゼル様は、何処かに行かれるのですか?」
「うむ。今から陛下の所に行こうと思っていたが、それより何か用があって来たのではないのか?」
「はい、ガディスの事なのですが」
「うむ。そういえば戻りが遅いな」
「はい、ガディスにしては余りにも遅く、それにボンゼル様の今の反応を見る限り、やはりまだ何の連絡もないのですね」
リィザスがそう言うと、ボンゼルは頷き少し考えた後、
「……リィザス。城にラグドルとティガルはいるか?」
「2人共、いつ御命令をいただいてもいいように、待機させております」
「早急に話したい事がある。直ぐに連れて来い!」
「それは構いませんが、ボンゼル様は陛下に用があったのでは?」
「ふむ。そっちは大した用ではない。心配はいらぬ」
「それならば良いのですが。分かりました。2人を連れて参ります」
そう言いリィザスはボンゼルに一礼すると、ラグドルとティガルの所へと向かった。
そしてボンゼルは、リィザスとラグドルとティガルが来るまで書斎で待つ事にした。
(うむ。本当は早急にこの事を、陛下に話そうと思ったが、まぁ大丈夫だろう。それに、リィザス達とこの事について話し合った上で、報告した方がいいだろうしな)
読んでくれてありがとうございますヽ(^o^)
『ねぇ、バルロス。この世界には他にも大陸があるんだね』…by,涼香
『うむ。あるらしいが、我はこの大陸以外は知らん』…by,バルロス
『そうなんだね。でも、他の大陸に何で行かないのかな?』…by,涼香
『我がこの地を離れるという事は……』…by,バルロス
『バルロス?どうしたんだ。まさか自分でもその理由が分からないとか?いや、でも流石にそれはないよな』…by,要
『そ、それは……………(⊙_⊙;)…』…by,バルロス
と、いう事で……∩^ω^∩
では、次話もよろしくお願いします(*^ω^*)






