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勇者になってみませんか?  作者: 七瀬 優
プロローグ
9/75

選挙ポスター

 放課後、りんと一緒に下駄箱に向かう途中妙な人だかりを見つけた。

 たしか、あの辺りには全校へのお知らせを張るための掲示板があったような気がする。

 近づくと、

「あれは……」

「えげつないな」

「こりゃ決まりかな?」

「まあ誰がなっても変わらないでしょ」

「あんな面倒なことやりたいやつにやらせれば良いんだ」

 などと言う声が聞こえてくる。


「何だろう、何かな?なにかな?」

 このトラブルメーカーは、トラブルメーカーのさがとして、トラブルに突撃する。

 このままりんを置いて帰る事が頭に一瞬よぎった。ただ放置した場合、後々大きなトラブルになって俺を襲うことがよくある。

 やっぱり、トラブルの芽は早急に摘んでおくべきだとりんについていく。



 さて、肝心の掲示板には選挙ポスターのようなものがあった。

 いや、”ようなもの”という言い方は間違いか。そのものずばり選挙ポスターなのだから。

 ただ、そのポスターは明らかに場違いであった。

 それは、まさしく、国会議員などの選挙に使われてもおかしくないようなフルカラーで計算されつくしたような候補者の写真が印刷されたものだったのだ。

 ただ、そんなポスターを使って”生徒会長選挙”のポスターを作るなんて事は常軌を逸している。

 もしかして、この学校の生徒会長選挙はあれが普通なのかとおもってほかの候補者のポスターを見ると、他のは全て手書きの手作り感あふれたものだ。

 そうだよな。あれが普通だよなとポスカで似顔絵の描かれたポスターに目を向ける。

 それに比べ、フルカラーの写真のポスター。ほんと、いくらかかったんだあれ?


 まあ、あまりの金満選挙に驚きはしたが、逆に少し興味がわいたので、ポスターをじっくり見る。

 その顔はどこかで見たことがあるきがした。

 あれどこでだろう?

 う~ん、2年生に知り合いは居ないはずだけどな……。


「これで二年連続生徒会長は坂上会長だな」

「別に誰でもいいんじゃね?」

「内申そんなによくなるのかな?」


 周りの話し声で、思い出した。

 全校集会とかで壇上で話をしてた人だ。

 まあ、生徒会長なら見たことあってもおかしくないか。


「どこかの御曹司らしいぜ?」

「町のはずれの大きな屋敷のおぼっちゃまだろう?」

「今回も食券や図書券くばるのか?いまピンチなんだよな」


 まあ、生徒会長というのにどれだけの魅力があるのかわからないが、少なくとも、すごい金持ちだと言うのは理解できた。

 あと、買収が行われてるのも……。

 いいのかそれは?

 まあ、学校の生徒会長選挙の規則で買収禁止なんて項目なさそうだしな。


 そういえば、クラスの誰かが話してたな。

 今の生徒会長の選挙は凄かったって。

 対抗馬がどんどん辞退していって最後には信任投票になったとか。

 それも90%以上の投票で。

 ただし、色々黒いうわさのある選挙だったとか……。

 

 生徒会長ごときのためにそこまでやることないだろうにな。

 

 そういえば、りんの奴はなんか静かだな?どうしたんだ?

 りんは何か真剣な表情で掲示板を見ていた。

 う~ん、選挙で知り合いでもいるのか? 

 その視線の先を見ると。


『薬物ぜったいだめ!!』

『一回の過ちが、人生をダメにする』

 なんて文字が躍る、薬物禁止を訴えるポスターが張ってあった。

 いつもおもうけど、『万引きするな』とか『薬物禁止』とか他にも色々あるけど、学校でポスター貼るって本と生徒を信用しませんって宣言してる気がするんだよな。


 って、それはともかく、このポスター何かりんの琴線にでも触れたのか?

 よくあるただのポスターなのに……。


「まさか、あおちゃん……」

「……どうしよう……」

「……監視しなきゃ」


 りんはブツブツと何事かつぶやいてるし。

 まあ、ろくでもない事でも考えているんだろう、りんの首根っこつかんで人ごみからでる。


「首がくるしいよ、あおちゃん」

 と本当に苦しそうに声をかけてきたので、あわてて離す。加減間違えたか?

「何か面白いものでもあったのか?」とそれをごまかす。

「ん?な、なにもなかったよ。ほんとだよ?」

 うん?怪しい、怪しすぎる。目が泳いでるし。

「何もないって早く帰ろう!」

 と強引に話を打ち切るその様子も怪しい。


 特に何の変哲もないポスターだったしなりんの見てたの。

 まあ、ほっと居てもいいかと、りんを追ってその場を離れる。


 

 下校の道すがら、りんがじっと俺の方を見たまま歩いている。

 時折看板や電信柱にぶつかりながら、それでもまたじっと見てくる。

「な、なんだよ?りん」

 俺が問いかけても。

「監視中なの話かけないで!」

 とか訳のわからない事を言っていた。

 本当に何がしたいんだ?りん。


 ガシャン!

 またりんがぶつかっている。

 こんどは放置自転車みたいだ。

 涙目になるくらいならよそ見せずちゃんと前見て歩けよな。

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