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勇者になってみませんか?  作者: 七瀬 優
第二章 ヒロイン登場  りん「これから私のターンだ!」  ????「ターン終了」  りん「誰だ終了させたの!」
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  番外編 男達のその後

葵たちを逃がしたあとの番長と博士の話です。

 葵たちが裏門から離脱したあとケルベロスとの戦いは当然のように続いていた。


 番長はケルベロスの3つある頭の左側の頭を絞め、その攻撃を封殺しながら真ん中の頭に攻撃を加えている。

 右側の頭には博士が攻撃を加え、キャンセル効果のあるパッシブスキルを利用してダメージよりも攻撃のさせない事を重点に戦っている。

 その結果、ケルベロスは真ん中の頭以外の攻撃を封じられることとなった。もちろん3つの頭の連携攻撃も打てなくなっている。

 ただし、ここまでやっても、戦況はいい所五分と五分、どちらかといえば、番長と博士がおされ気味であった。

 そもそも、レベルが違いすぎるのだ。


「ぐはぁ」

 番長の口から血があふれる。

 ケルベロスが番長ごと校門に体当たりしたのだ。

 それでも番長はケルベロスの左の頭を絞めている腕は緩めない。緩めたとたんに一気にやられる事がわかってるからだ。

「大丈夫ですか!?」

 博士の気遣う声にも疲労の色濃い。

「気にするな、俺にかまわず右の頭を抑えろ!」

 番長は声をあげたあと直ぐに『肉』をかじる。

 山篭りでモンスターを倒しまくった時に溜め込んだ『肉』がそろそろ底を突きそうになっていた。

 番長たちの最大の懸念材料はこれだった。

 回復アイテム(『肉』)をふんだんに使うことによってなんとか戦況を維持しているのだ。

 もしこれが尽きたら、一気にやられるのは明らかなのである。


 しかし、番長たちは逃げる事は出来なかった。

 葵たちが逃げ出した後、ケルベロスの発動したスキルによって結界のようなものの中に閉じ込められたのだ。

 番長は何故最初からスキルを発動しないのか疑問の声をあげたが、博士は閉じ込める人数に制限があるんだろうと仮説を立てた。

 博士の考えが正しいかはともかく、番長たちは逃げることができなくなった、ただし、他のモンスターも入ってくることが出来なくなったのでその点は助かってる。



「このままではジリ貧か」

 番長は、攻撃を受けてふっとばされた博士に『肉』を投げ渡す。

「あと、『肉』はいくつ残っています?」

「残り2つだな」

「リスキーすぎて使えなかったスキルですが、もう賭けるしかないようです」

「捨て身の技か俺にもある。魔法に頼るのはあまり気が進まんがそうもいってられないか」

 こうして二人は最後の賭けに出ることにする。


 博士が使うのはそのままずばり『捨て身アタック』というスキルだ。

 破壊力はすごく高いが、攻撃後一定時間被ダメージが倍になるというすごく危険なスキルだ。

 もちろん、ケルベロス相手に2倍のダメージを受けたら即死だろう。


 いっぽう番長が使うスキルは、『マジックバースト』全MPを破壊力に変える魔法使いの奥の手だ。

 ただし、MP0のペナルティでその後MPが回復するまで戦闘不能になる。

 もちろん、こちらも回復している暇があるような相手ではないので即死だろう。



 番長と博士はお互いうなずきあうと、

「マジックバースト」

「捨て身アタック」

 同時にスキルを発動する狙うはケルベロスの真ん中の頭。

 至近距離から放たれた番長の『マジックバースト』の爆発。

 爆発の炎が消える間もなく放たれた博士の『捨て身アタック』。

 その二つの捨て身の攻撃を受けたケルベロスは力なく倒れながら、断末魔の叫びを上げる。


「たお…………」

「な……なんとか……たおせま……」


 MP0のペナルティで今にも気を失いそうな番長と息絶え絶えの博士は喜びの声を上げようとして固まる。

 2つの黒い魔法陣がうまれ、その中心に出現したのは今倒したばかりのケルベロスがそれぞれ一体ずつ計2体、最後の断末魔の叫びで召還したのだった。

 彼らにはもう抵抗する手段は残っていなかった。


「…………くっ…………」

「ここまでですか……あとは頼みます……」


『to be continued ?』


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