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勇者になってみませんか?  作者: 七瀬 優
第二章 ヒロイン登場  りん「これから私のターンだ!」  ????「ターン終了」  りん「誰だ終了させたの!」
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治療法を探せ!

前回からすごく時間が空きました。

すごい難産だったというよりは、暑さと冷房病に負けました。

早く秋が来てほしい今日この頃です。

 『まっくろこげ』になったりんと柏木さんを連れて、何とか家に戻ってくることが出来た。

 すぐに俺のベッドにりんを寝かせる。

 回復魔法や状態回復魔法をダメ元で一通り試してみる。やっぱり思ったとおり効果は無かった。

 学校の敷地を出て直ぐに1度試しているのだ。


 裏門から逃げ出したあと普通なら、学校の敷地から出た程度では直ぐに追いつかれるのを心配した所だったのだが。裏門から少し離れて振り返った時に見えたのは、何の異常もないいつもの校舎だった。ケルベロスはもちろん他のモンスターの姿も見られない。それどころか普段どおり教室で勉強してる生徒の姿すら見えた。

 まるでホログラムか何かで隠蔽してるかのようだった。

 それに、あれだけ居たモンスターがまったく見られなかった事もあって、治療を試してみることにしたのだ。

 とは言っても、回復魔法を2種類、状態回復魔法、『やくそう』『どくけしそう』ぐらいしか試せるものがなかったのだが……。

 効果が無いことを確認したあと、急いで家に戻ってきたのだ。

 途中エンカウントが3回あったが、学校内で出会った敵と比べたらスライムなんて問題なく片付けられた。


 という訳で、今あるアイテムで治療が出来ない事は想定内だ。

 りんのステータスを確認するも。


 りん

 遊び人

 HP100

 MP0

 ◇まっくろこげ◇


 まったく変化は無い。

 さてどうする?


「火傷に効く薬とかないんですか?」

 柏木さんの言葉に、一応救急箱を持ってきて試してみる。

 ゲーム内の状態異常を普通の薬では治せるとは思えなかったが、柏木さんが必死にりんの腕に塗りつけていた。

 ただ、火傷用の薬というのはありかもしれない。そういうゲーム内アイテムを探すことも考えておこう。


「あ、救急車を!」

 と言って柏木さんが携帯で119番にかけようとしたが、電波が届いて無いとあせっている。

 さっきからあせりまくって、あたふたしている彼女を見ていて俺は逆に冷静になれた。

 救急車というか、病院に連れて行くのは基本的には意味が無いと思う。

 これが普通に火傷とかならともかく、『まっくろこげ』は現実の病状として診断しようがないからだ。

 ただ、基本的にといったのは、ゲーム内施設としての病院があるかもしれないからだ。

 もし間違って普通の病院に運ばれたりしたらゲーム的な治療を試す事も邪魔されそうなので、ゲーム内施設だという確証が得られるまで待った方がいいだろう。


「えと、えと、えと……薬屋さんでお薬を」

 なんて慌てて外に飛び出そうとする柏木さんを止める。

「今外にはモンスターとかが居るから、行くなら俺が行く。ただ、買うにしても何の薬を買うんだ?」

「それは火傷の……」

 そこで気がついたようだ、さっき使っても効果なかったことを。

 そのまま、うんうん考え込んでいる。

 ただ、アイテムを買いに行くのはありだな。

 現実の薬ではなくゲーム内アイテムで効果がありそうなのなら。あとであの自販機に買いに行こう。



 そんな事を考えているうちにPCが立ち上がったので、いつものステータス画面を表示させる。

 りんのステータスを確認するも『まっくろこげ』の表示はこっちでも変わらない。

 他の細かい数値は今は見てもしょうがないので読み飛ばす。

 まずやるのは俺のスキルの確認だ。

 りんを治療するようなスキルを覚えられるようになっているかもしれないからだ。

 新しいスキルがいくつも増えてはいたが、あいにく状態異常を回復させるようなものは増えてはなさそうだった。

 ざっと見たところで、スキルは一旦諦める。

 ただ、状態回復魔法の熟練度を幾つか上げるというのは手かもしれないな。

 

 状態回復・単体小 2(3/30)


 という熟練度表示を見ながら頭の隅においておく。


 

 次にガイドを確認してみる。

 状態異常の治し方やマイナス効果などの説明があるかもしれないと期待したからだ。

 ただ、項目が増えていることはなかった。

 う~ん、このガイドどんな法則で増えるのだろう?

 まあ、ないものは仕方ない。



 他に手がかりを調べれそうな事はあるか?

 冷静になれ、あせってもしょうがない。

 そう自分に言い聞かせながら考える。

 それでもあせりそうになった時は、柏木さんの方を見る。

 うん、りんの口に『やくそう』『どくけしそう』体温計が突っ込まれてるのはなんでだろう?

 おでこに解熱用のシートが張られてる。まあ、百歩譲ってそこまではいいかもしれない。

 何で包帯の代わりの如く湿布を張りまくってるんだ?

 りんのステータスを見ても悪化はしてないようなので気にしないでおこう。

 よし、幾分落ち着いてきたと思う。

 他に……。

 ふと思い立って『モンスター図鑑』の確認をする。

 ケルベロス……ケルベロス……。

 あった、



ケルベロス

 HP???/???

 MP???/???

 

 地獄の門番と呼ばれるモンスター。

 凶悪なモンスターで並みの冒険者では相手にならない。

 三つの首がそれぞれ別の攻撃を行い実質3回攻撃。

 通常攻撃主体の首、魔法攻撃主体の首、ブレスなどの補助主体の首とそれぞれ攻撃傾向は違う。

 ただし、一番怖いのは三つの首が協力して放つ連携攻撃だろう。

 攻撃回数こそ減るが、その威力はパーティを全滅させることすらある。

 連携攻撃までには多少時間がかかるので、その間に行動をキャンセルさせるか、防御を徹底的に固めよう。


 もしも戦うことがあるのであれば、十分に準備してからにするべきだ。



 う~ん、『まっくろこげ』の事は特にかかれてないな。

 それに注意事項は戦闘力の高さについてばかりだな。

 簡単には治癒できない状態異常を使ってくるならそれが書かれていてもいいような気もするのだが……。

 まあ、『モンスター図鑑』を見たのは初めてだし、他のを確認する意味は無いな。表示が増えるわけでもないしな。


 

 しばらく色々調べたがステータス画面については思い当たる所は無くなった。

 あとで気がついたらそのつど調べてみる事にして一旦、PCを落とす。

 りんを見ると、包帯でぐるぐる巻きにされてまるでミイラのようになっていた。

 他の人が極端に慌ててたりすると、逆に冷静になれるというのは本当に実感できた。

 ただ、少し柏木さんが錯乱ぎみで怖くなってきた。

 あの自販機に一度行って来たいのだが……。

 この状態の二人を置いていくのは……う~ん……かといって連れて行くわけにもいかないし。

 さてどうするか?

 …………。

 ……。

 考えていても仕方が無いし、色々やっていてそろそろ日が暮れる。

 今、夜に外出するのは出来る限り避けたいので急ぎたい。

 しょうがないので、柏木さんには単純作業を任せることにした。

 2階の洗面台の場所を教えて、風呂場から持ってきたタオルと洗面器を渡して、りんのおでこを濡れたタオルで冷やすように頼んだのだ。

 りんのおでこには解熱用のシートが張られたままだし、熱は特になさそうなのでこれと言って意味のある行為ではないが、今の彼女に冷静な判断を任せられるとは思わなかったのだ。

 それでも、

「大丈夫! 任せて」

 という柏木さんに無駄な作業をさせるのは少し心が痛んだ。

 ただ、少し彼女の目がぐるぐる渦を巻いてるような気がしたので出来るだけ急ぐことにする。



 ということで自販機に買出しに行った。

 ラインナップは結構増えていたが、今日は必要なアイテムだけ探す。

 気になったのは、


 『よいやくそう』 50G

 『きつけ薬』 20G

 『目覚ましアラーム』 20G

 『マヒけしそう』 25G

 『石化けしそう』 30G

 『魔法の薬』 250G


 のあたりのアイテムだ。

 それぞれ3~5個ずつ買う。

 『魔法の薬』だけは10個ほど買う。

 ついでに学校での戦闘で消耗したアイテムも補充した。

 Gがそれなりに残っていたので、『魔法の薬』を予算の限り買おうかと少し迷ったが、Gがりんの治療に必要になる事があるかもしれないのでやめておいた。




 部屋に戻ると柏木さんが丁寧にタオルを絞って、りんのおでこにのせていた。

 う~ん、無意味な作業をここまで真剣にされるとすごく胸が痛い。

 りんのステータスも相変わらず変化無しなのを確認して早速買ってきたアイテムを順番に試す。


 『きつけ薬』 ……変化無し。

 『目覚ましアラーム』……物凄くうるさくて耳が痛くなった。

 『マヒけしそう』……変化無し。

 『石化けしそう』……変化無し。

 『よいやくそう』……HPは回復しない。

 『魔法の薬』……MPは回復しない。

 『やくそう』……HPの回復無し。

 『どくけしそう』……変化無し。

 『魔除けの聖水』……普通に飲んでみたがダメージも無かったので飲ませてみる。元々意味無く変化も無い。


 使えそうなのは全部試してみたが、全部効果は無かった。



 う~ん、こうなると直ぐに試せそうな治療法は熟練度を上げた状態回復魔法だけになる。

 熟練度は回数なので、『状態回復・単体小』を『治』に変更する。

 状態回復については、文字数は5文字以上じゃないと失敗確率が発生するので、『魔法の薬』を飲んでMP回復してから試してみる。

 20回ほど使ってみたが、熟練度の上昇には影響ないようだった。もしくは失敗率が低いのかもしれないが……。

 どちらにしても熟練度上げには1文字の方が良さそうだ。


 俺は柏木さんに魔法の事を簡単に説明する。

 そのあと、『目覚ましアラーム』を1つ手渡して、りんに何かあったら叩き起してと頼んで熟練度上げを始める。

 MPが減るたびにあるだけ『魔法の薬』を使いまくってMP回復させ、その後また使う。

 そして、俺はMPを使い果たし、何か考えるまもなく意識を手放す。

まーちゃん「↓のリンクを一日一回クリックしてくださいお願いします」


まーちゃん「あと、評価や感想、それにお気に入り登録してもらえると嬉しいです」


まーちゃん「よろしくお願いします」


まーちゃん「りん、本当に大丈夫なの!? 連絡しなさい!」

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