どうしよう
学校に現れたモンスター二人はどうする?
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まずいな、スライムそのものは大群だろうが今の俺達の相手ではない。
ただ、こいつらでも『職業の証』を持たない一般の人間にとっては脅威だ。
一匹でも逃がそうものなら大惨事になりかねない。
「りん、このスライムを頼む、俺は中を殲滅する」
「うん、解かった」
一匹でも逃すわけには行かない。
俺は範囲魔法で一気に殲滅するために、『ファイヤー・ストーム』を唱えようとしたその時。
背後から、甲高い悲鳴が響き渡る。
「キャーーーーー」
スライムを見られた?
一瞬そんな考えを抱くが、そんな考えも吹っ飛んだ。
そこには、恐怖に駆られた表情で逃げてくる一人の女生徒とそれを追うゴブリンの大群だった。
ゴブリンたちは手にフレイルやら剣やらナイフやら、おもいおもいの武器を持ち哀れな子羊に襲い掛かろうとしていた。
「りん、あの子を助けるぞ!」
その言葉を発する前にりんが動いていた。
ゴブリンの群れにダッシュし、その勢いのまま、こける。
それが丁度、頭突きとなって先頭のゴブリンを後ろのやつらごと吹き飛ばす。
密集していたことが幸いして、足止めには格好の形になった。
「逃げるぞ!」
女生徒の手を取り走り出す。
「りん、お前も急げ!」
ゴブリン達と戦おうとしていたりんにも声をかける。
「戦わないの?」
りんが不満げな顔で向けてくる。
「数が多すぎる、それにみんなを逃がさないと」
「そっか~、解かったよ~後でだね~」
本当にわかっているのかは少々不安だが今はかまっている暇はない。
俺はすぐそばの階段を目指す。
俺達が居る場所は、通常文化部棟の4階。
文化部棟とは、旧校舎を文科系の部活が部室として利用している場所だ。
放課後には文化系の部員がそれなりに集まるらしい。
ただ、幸運にも今は昼休みだ。
放課後とは違い、りんと一緒にあがってくる時も殆ど人気が無かった。
これなら生徒に犠牲を出さずに逃げることも可能かもしれない。
俺は教室から沸いてきていたスライムに『ファイヤー・ストーム』で道を作る。
「え? 今のは?」
という女生徒の声を無視して駆け抜けていく。
すぐに階段は見みえる。
しかし、一番奥の教室から嫌な敵が湧き出している。
「ぐ、エレメントか……」
苦手なレッドエレメントもちらほら見える。
一応、風の魔法は使えるようになったとはいえ、範囲は依然火の魔法のみだ。
まずい、階段を押さえられたら下の階に降りれない。
俺とりんは兎も角、この女生徒は……。
恐怖におびえている女生徒の顔を見て、決断する。
しかたない。
「りん、全力で階段まで突っ切るぞ」
俺はそういいながら、女生徒を抱き上げる。
「え? え? え?」
いきなりの行動に目を白黒させているが気にしていられない。
「ずっるーい!」
りんの抗議も気にしない。
いくぞ、俺は掛け値なしの全速力で突っ走る。
りんもちゃんと付いてきている。
よし、エレメントは移動速度自体は遅い。
これなら……。
俺は一気に階段を駆け下り、3階と4階の踊り場で振り返る。
りんもギリギリ間に合ったようだ。
りんは、走ってきた勢いのまま階段を転がり落ちる。
そのまま踊り場の壁にぶつかると思いきや、三角蹴りの要領で方向転換。
器用だなと一瞬思ったものの、そのまま三階まで転がり落ちていく。
そのまま転がり落ちてどうする、りん。
ま、りんの事だからダメージは殆どないだろう。
女生徒を降ろし、りんの後に続かせる。
俺は最後尾で敵を牽制しながら降りていく。
「ど、どうしよう。あおちゃん!」
りんの本気で動揺した声が聞こえた。
バカをやって動揺する時はともかく、本気で動揺するのは珍しい。
俺は嫌な予感を覚えて女生徒と一緒に3階に急ぐ。
「モ、モンスターが一杯だよ!」
『きんきゅうじたいだよ
急いで学校を出よう!
りん』
『↓のリンクを一日一回クリックしてね~
お願いだよ!
てがはなせないよ~ りん』




