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毎日更新10日目。
少し寄り道です。
次から2章開始だ!
その部屋は実に質素なつくりだった。
執務机と椅子、入り口と窓の場所以外、四方を書類など満載した本棚が囲んでいる。
まさに、実用性重視っといった感じだ。
そこでは今、斎服を着た老人が報告を受けていた。
「侵食が徐々にですが確実に進んでいます」
若いリヤサ姿の男性は険しい顔で続けている。
「儀式に不備があったのか?」
「いえ、儀式これといった問題点は見られず正常に稼働中です」
「現象として異常が存在するのに、正常に動いているか……」
老人はますます表情を硬くして考え込む。
そして、しばらくして顔を上げると、
「儀式その物が侵食の対象になってるのやもしれんな……」
「そ、それは……」
「ありえないか? 我等はなぜこのような儀式を行うようになったか考えればありえないとはいえないのではないか?」
「……何が起こるか解らない。だから、未然に対処して置くですか……」
「そうだ、何が起こるか解らないということはつまり、何が起こっても不思議ではないのだ」
「……はい」
老人はひとつ咳払いをすると、
「原因の追究よりもまずは、情報の収集だな。現状、情報が少なすぎる」
「そうですね、偵察の第一陣として向かわせる予定の者をここに呼んでおります。もう、来ていてもおかしくない時間なのですが」
「実力はあるのか? 今回の件、まったく未知の現象だ。生半可な者をいかせても犠牲者を増やすだけになるやも知れんぞ」
「実力については、問題ありません。ただ、性格的な問題が……」
「人格的に問題があるのか?」
「いえ……人格的には特に問題ありません。ただ、独特の感性をもっていて……」
トントン
廊下からのノックに若者が答える。
「入れ」
「おじゃまします~~」
間延びした声が聞こえたと同時に一人の少女がその部屋に入ってくる。
「遅いぞ何をやっていた?」
若い男が叱責するが、
「あらあら、まあまあ」
少女は特に顔色も変えず、マイペースに答えている。
「今は時間が無い、早速本題に入るぞ」
老人はそう言って少女に説明を始める。
「という訳で、大至急調査に向かってもらいたい」
「あらあら、たいへんですね~」
その返事を見かねた若い男が、
「ちゃんと聞いていたのか!」
とどなり声を上げる。
「大至急ですよね~わかりました~来月の初めぐらいには出発しますね~」
「まて、大至急でなぜ来月まで待つのだ!?」
老人の疑念の声に、若い男は頭を抱えながら少女に告げる。
「大至急だ! 今日中に現地に到着して、明日から任務を開始しろ!」
「せっかちさんですね~せっかちさんはよくないですよ~」
「いいから、急げ」
「わかりましたよ~それでは~」
ゆったりとした足取りで少女はその部屋を出て行く。
「本当に解かっているのか?」
若い男は不安げな様子で見守る。
「あの者で大丈夫なのか?」
老人が少女の様子に不安を覚えたようでそうたずねてくる。
「実力はあるのですが……。時間についての感性がどくとくでして……」
「独特か……」
「はい、まあだからこそこの任務に当たらす事ができたともいえますが」
「やはり、他の者は手一杯か?」
「はい、優秀な者達は予定がぎっしり詰まっていて殆ど自由に動かせません」
「つまり、彼女には元々予定通りを求めれない、か?」
「そうです、予定など殆ど無意味ですから、彼女にとっては……」
若い男はため息ひとつついて、
「一応の上下関係はあるとはいえ、強制して直させるわけにも行きませんしね」
「強制は反発を生むからな、それで敵を増やして仕事を増えては本末転倒だ」
「あの事件をまた起すわけにはいきませんしね」
「うむ、だがまあ今は調査の件だ。第二陣は何時ごろどのようなメンバーで行く事になる?」
「それは…………」
老人と若い男の話は続いていく。
しかし、部屋に漂う重い空気はいつまでも晴れそうに無かった。




