鬼門
毎日更新8日目。
やっと1章が終わりそうです。
あとはSSを少し入れて2章に進む予定です。
早くヒロインを出さないと……。
りん「私がヒロインだよ!」
色々と紆余曲折はあったが、モンスター狩りはようやく軌道に乗ってきた。
平日は学校から帰ったら家の前で2~3時間のスライム狩り。
休日は自販機でアイテムを買い込んで少し遠出。
感覚的に、家から離れた場所ほど強い敵がエンカウントする確率が高くなってる感じだ。
俺の家がRPGで言う最初の村や町のような意味合いなのかもしれない。
まあ、そんな感じで何事も問題なくすごしていたのだが、ひとつだけ思わぬ大問題が起こった。
それは、自販機で売られている商品が原因だった。
家の近くのとある自販機がこのゲーム内アイテムを、売る店として機能していた。
有人店舗じゃないのはゲーム設定と現実との妥協点なのだろう。
まあ、そんな感じで、一般の人には普通のジュースの自販機。
俺達にはゲーム内アイテムを買うためのショップとして機能していた。
今の所売られている商品のラインナップはこんな感じだ。
武器
『木の棒』 5G
『こんぼう』 30G
『銅の剣』 100G
防具
『布の服』 8G
『皮のよろい』 80G
『旅人の装束』 150G
『布のズボン』 7G
『布のスカート』10G
『皮の盾』 70G
『布の帽子』 10G
『皮の帽子』 50G
『安物の靴』 12G
『りぼん』 25G
道具
『やくそう』 10G
『どくけしそう』 15G
『魔除けの聖水』 30G
『煙だま』 50G
最初見た時と同じように殆どの商品が売れ切れで本当に安物のアイテムしか置いてない。
さっさと現時点で買える最強装備にして終わりにすればいいのだが、そうはならなかった。
問題は防具だった。
装備品の性能としては、ラインナップどおりの物しか売られていない。
問題はこの自販機で売られる防具は、同じ装備品でも色彩などのデザインに無数のバリエーションがあったのだ。
まあ、いまどきのMMRPGなんかだと装備品の見た目をカスタムするとか、見た目のバリエーションが豊富とか普通にある。
このゲームでも見た目のバリエーションを豊富にしてもおかしくは無いのだが……。
これとりんが組み合わさると恐ろしいことになるのだ。
普通に一緒に買い物に行っても恐ろしい時間をかけるのだが、この自販機はもっとひどかった。
なぜなら、一番安い『布の服』ですらバリエーションがあったためだ。
買おうと思えば10や20は軽く買える。
そんな訳でりんの購買欲にガソリンを注いだようになってしまった。
一度買い物に来ると1時間や2時間では決まらない。
自販機だから閉店時間もない、エンドレスに買い物が続けられるのだ。
その上、なぜだか自販機がりんの操作を受け付けなくなっていたのだ。
そのため、俺はりんの言うまま自販機を数時間操作し続けると言う地獄のような羽目になってしまった。
お金が二人で共通ならもう少し何とかなったかもしれないが、りんもいつの間にかマネーカードを手に入れていた。
あれ? 最初見た時はすすけた感じのカードだったのにいつの間にか金色に輝いている。
買い物を繰り返すとランクアップでもするのだろうか?
まあ、そんな訳でりんも俺とは別にお金を持っていた。
自分のお小遣い感覚で居るのでそっち方面からの圧力もまったく意味を持たない。
う~ん、りんと一緒に買い物に行く。
俺にとって鬼門なのかもしれない。
「あおちゃん~これと、これと、これと、これと…………これ。どれがいいと思う?」
「今何時だと思ってる! さっさと決めて帰るぞ」
りんのおばさんやおじさんついでに家の家族、そろそろ帰ってくる時期のはずだ。
本当に早く帰ってきてくれ。
それで少なくとも、門限を守らせてくれ……本当に……。
なんて思ってたのが悪かったのか、その夜電話がかかって来て。
ヨーロッパの方の火山で結構大規模な噴火が起きて、飛行機が飛べないらしい。
火山灰が問題だとかどうとか……。
まったく帰りの目処が立たないからタンス貯金を使って何とか生活してくれという話だった。
うん、ひとつ言いたい。
みんなで海外旅行に行ってたのか!?
ずるいぞ!
りん「いっぱい、いっぱい、買えるね~」
『りんはアイテムを持ちきれなかった』
りん「ガーン! 持って帰れないの!?」
あお「捨てていくしかないな」
りん「そんな~~~」




