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勇者になってみませんか?  作者: 七瀬 優
第一章 名称未定 りん「りんの大冒険がいいよ!」
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逃げる→回り込まれた!?

毎日更新6日目。


あと1日で1週間。

がんばっていくぞ~

 ますます大きくなる音にたまらず目を向けてしまう。

 そこには悪い想像どおりのモノが……モノの大群が居た。


「うわ~いっぱい出てきたよ。大成功だね」

 まあ、モンスターを呼ぶことは成功だろう。

 だけどな……、だけどな……

「お前、加減考えてやれ! 呼びすぎだ!!」


 何だあれ、スライムの津波とまではいかないけど、青いじゅうたんと化してないか?

 ところどころカラフルな斑点模様は色違いのスライムだろうか。

 それに、遠くの方からは何か震えがくるような遠吠えが聞こえるんだが……。


「だいはしょうをかねるだよ、あおちゃん」

「それは違うだろ!」


 まあだが、俺には範囲魔法の『ファイヤー・ストーム』がある。

 威力しだいで何とか戦えるかもしれない。

 無理そうなら逃げ出せばいい。

 まずは試しに、先制の一発をお見舞いしてやる。

「ファ……」

「あおちゃん、あおちゃん、向こうからも、あっちからも、ああ後ろからもきた」

 などと、りんはうれしそうな声を上げている。


 って、待て十字路の四方向全部から敵が来ただと?

 あわてて魔法の発動を取りやめる。

 見回してみると、十字路の4方向全てから敵が向かって来ていた。

 これはまずい、全体攻撃で一掃できるような魔法でもあるなら、美味しい状況なのだろうが、俺たちが取得している複数同時攻撃の方法は『ファイヤー・ストーム』だけだ。

 それも、初めて取得した範囲魔法なので、敵を一掃するような威力を求めるのは無茶が過ぎるだろう。

 あと、これだけの数を単体攻撃で倒していくとすると、1匹1撃で仕留めれたとしても、その間に他のモンスターの大量の攻撃をくらってHPが一瞬で蒸発してしまうだろう。


 これは……

「逃げるしかない」

「ええ~折角出てきたのに逃げるの~?」

 りんの文句は聞き飛ばすそんな時間はない。


 さて、逃げるとしても包囲された状況では逃げ道が無い。

 どうするか?

 改めて4方向を確認する。

 まず正面、最初にモンスターを見つけた方向が一番敵の数が多い。

 青いじゅうたんは伊達じゃない。

 左右の道は正面よりは多少密度が少ないが、それでも数を数えようとは思えないぐらい多い。

 そして、後ろの方向。俺やりんの家の方角。こっちは意外と敵が少ない。

 まあ、少ないといっても、何十という単位では居る。

 他の方向の数え切れないようなモンスターよりはましだ。


 それに、家までの退路を確保するのも重要だ。

 現状ステータス画面は家でしか操作できないからだ。

 たとえ敵が装備品をドロップしても装備の変更すらできない。


 俺は一番敵の少ない方向に向かって走りだす。

「りん、ついて来い」

「う、うん、わかったよあおちゃん」

 道をふさぐモンスター達に向かって祈るような気持ちで魔法を打ち込む。

 うまくいってくれよ。


「ファイヤー・ストーム」


 狙った場所を中心に道路いっぱいに渦状の炎が巻き起こる。

「うわ~すごい~かっこいい~」

 りんが歓声をあげる。


 期待通りの威力はあったようだ。

 スライムを10~20匹はまとめて焼き尽くせた。

 ただ、全体攻撃というような広大な範囲に効果は無いようだ。

 道の先の方では無傷のスライム達が残っている。


「いまだ走り抜けるぞ」

 りんと共にスライム達の隙間を縫うように駆け抜けていく。


 

 だが、敵の数は多くすぐに回り込まれてしまう。

 残り2発しかないが使うしかないか……。


 そんな時、

「フギャ」

 りんがこけて走った勢いのまま敵の中に突っ込んでいくのが見えた。


 くそ、敵のど真ん中にりんが居たら魔法を打ってもりんを巻き込んでしまう。

 俺はとっさに

「その勢いのまま転がれ」

 と叫ぶ。

 敵の中心をよけて壁側に転がれと言ったつもりだったのだが……。

 何を思ったかりんは、体を丸める。

 そして、その勢いのまま真っ直ぐ敵に転がっていく。

 まるで、ボーリングのボールがピンを弾き飛ばすがごとく、モンスターを跳ね飛ばしながら。


 ゴロゴロゴロゴロゴロードガーン


 そのまま真っ直ぐ転がっていきその先のT字路の壁にぶつかって止まった。


 結果オーライなのか? 

 まあ、今はそんな事を考えてる暇は無い。

 りんが空けた道をダッシュしてりんの所に行く。


「くるくるくるくるくる~~きゅ~~」

 ものの見事にりんは目を回していた。

「サーチ」

 ダメージを受けているか確認のため『調べる』のスキルを使ってみる。


 りん

 遊び人Lv17

 HP104/107

 MP50/50


 微妙にHPは減っては居るが、この程度なら問題ないだろう。

 俺は目を回してるりんを背負う。

 少し速度は落ちるが、りんをそのままにしては置けない。



 そのまま、モンスターの密度が一気に減った道を駆け抜けていく。

 結構あぶなかったが、なんとか逃走には成功したようだ。 

 

りん「このごろ、なんか扱いがどんどんひどくなってる気がする!!」


スライム「キュイ?」


りん「ヒロインとしてのふとうなあつかいにこうぎする!!」


スライム「キュー!」

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