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勇者になってみませんか?  作者: 七瀬 優
第一章 名称未定 りん「りんの大冒険がいいよ!」
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自動販売機

更新が滞っているから、心を入れ替えて、今月から毎日1回更新するぞ!

…………。

やっぱり、一週間に5回は……。

一日おきには……。

週に2回は……。



まあ、とにかくがんばろう。

「モンスターも倒したしやっとジュースが飲めるね」

 そう言って自販機にかけていくりん。

 もう完璧に目的があべこべになってるな。

 モンスター退治に来て、喉が渇いたからジュースを飲むはずだったのに。

 ジュースを飲むためにモンスターを倒してたな……。

 まあ、りんらしいっちゃ、りんらしいか。


「あおちゃん~すごいよこの自動販売機。飲み物を選んでくれるよ!」

 自販機の画面。

 よくある見本の缶が並んでるのではなく、液晶画面に商品が表示されている。

 やっぱり、この辺では見ないタイプの自販機だな。

 その画面の中央に『お勧めの商品はこれ!』という目立つ文字とともに表示されているのは……。

 

 『ミルク』


 牛乳瓶に入った白い牛乳だった。

「お勧めはミルクなのか~」

 りんはそのまま画面のボタンを押そうとする。

 りん、だまされてるぞ多分。一応教えてやる。

 それに、家に帰れば冷蔵庫に牛乳があるのに、わざわざ自販機で買うのもあれだしな。

「まて、りん。いったん自販機の前からどいてから、もう一度前に立ってみろ」

「? いったん自動販売機のまえからどく」

 俺の言ったとおりに自販機の前から移動する。

「それで……もう一度前に……立つ!」

 自販機の前で右手を上げてポーズを取る。

 なんのポーズだそれ?

「うわ~~~お勧めが変わったよ~すごい~~」

 今度のお勧めは『オレンジジュース(つぶつぶ入)』。

「他にもお勧めあるのかな?」


 『リンゴジュース』

 『ヤ○ルト』

 『粉ミルク』


 …………。

 ……。


 『積み木』

 『ガラガラ』

 『哺乳瓶』


 うん? ちょっとまて途中から何かおかしくないか?


 『バカにつける薬』


「すごーい。すごーい。この自動販売機飲み物だけじゃなくてもおもちゃから薬まで売ってる!」

 りん、大喜びしてるところ悪いが、途中から気づけ。

 絶対バカにされているぞこのラインナップ。

 まあ、最初の2~3回以降はいたずら対策用の対応にでもしてるんだろうな。

 ためしに俺も自販機の前に立ってみる。

 

 『コーヒー(無糖ブラック)』

 

 コーヒーか……。

 甘い缶コーヒーならともかく無糖ブラックはあんまり好きじゃないんだよな。

 ま、それはともかくいたずら防止用っぽいな。

 ためしに俺もやってみる。

 

 『紅茶』

 『緑茶』

 『コーラ』

 『アイスティー』


 …………。

 ……。

 

 『コーヒー(無糖ブラック)』

 『紅茶』

 『緑茶』

 『コーラ』

 『アイスティー』


 あれ?

「あおちゃんは飲み物ばっかりだね」


 なぜだ? いたずら防止用じゃなかったのか?

 ループして最初にもどってるよな?

 一定のパターンっぽいよな?

 まさか、自販機がりんをバカにしてるとか……ないよな。

 

「う~ん、どれにしよう。つぶつぶがいいかな? シュワシュワがいいかな?」

「りん、お前炭酸いつも残すだろう、やめておけ」

「大丈夫!今日はあおちゃんと半分こだから」

 それはつまり飲めない分の処理を押し付けるってことじゃ……。

「どれがいいかな~? 迷うな~」



 五分経過……。

「早く決めてくれ、りん」

「あとちょっと~」

 それは何度目だ?

 はぁ……これなら家に帰った方が早かったんじゃないだろうか?

「あれ? これなんだろう?」

 忘れてた……りんの買い物はどんなものでも時間がかかるんだった。

「よろずや? オープン? ここを押してください?? ポチっと」

 うっかりしてた。いつもなら何が良いか言わせて適当に買うんだった。

 1時間以内で終われば良いな……。

「うわ~なんかいっぱい売ってる~~」

 そうだな一杯だなだから早く決めてくれ。

「かっこいい剣とかもある~」

 そうだな、剣でもいいから早く決めて……剣?

「ちょっとまて何を見てるんだ、りん?」

「これだよ~」

 ちょっと見てなかった間に画面が一変していた。

 『ヨロズ屋』の看板の元に『道具』『武器』『防具』のタブ。

 今は武器のタブが選択されてるからだろう、剣、こんぼう、槍……などなど色々な武器が表示されている。

「何でこんな画面になってるんだ?」

「右下のボタン押したら変わったよ~」

 右下の隅のほうに、『飲み物 ひえひえ~あつあつまで』なんてボタンがあった。

 押してみるさっきの飲み物の画面にもどった。

 右下のボタンは『ヨロズ屋 オープン!(ここを押してください)』。

 こんなボタンあったのか気がつかなかった。

 

 ヨロズ屋の武器の画面に戻して、色々とラインナップを確認する。

 昨日から捜し求めていた武器の入手法だ。

 うれしくはあるのだが……。

 ただ……。

「それにしてもなんだろうこれ? 『sold out』赤い字でうえから書かれてるけど割引とかかな?」

 おい、冗談だよな?りん。

 りんの顔を見ても……まじめにっぽいぞ。

「りん、お前英語の授業とか曲がりなりにも受けてるんだろう?」

「英語? ハロー アイアム りん? とか?」

「…………」

「英語なんて邪道なんだよ!」

 うん、想像以上に授業聞いてなかったんだな、りん。

「『sold out』ってのは『売り切れ』って意味だ」

「ええええええええ~そんな~ほとんど売り切れじゃない!」

 確かにそのとおりだ。

 武器で売り切れじゃないのは3つ。


 『木の棒』   5G

 『こんぼう』 30G

 『銅の剣』 100G


 この三つだけだ。

「かっこいい剣とかいっぱいあるのに!? 売り切れなの!?」

 遊び人が装備できるかとか色々問題はあるだろうけど……。

 その前にすごく重要な事を忘れていないか?

 このGって単位すごく最近見た覚えがあるぞ……。

「しょうがないから、『銅の剣』にしよう。ジュース代の120円があるから足りるよね」

 ポチ、ポチ、ポチ……。

「購入~っと」


 『お金が足りません!』


「ええええ~120円入れたのに~~~」

「りん、値段の単位のところを良く見てみろ」

「う~ん、100……G? Gってなんだろう?」


 俺は、さっき手に入れたばかりのカードを手に持ちながら……。

 『木の棒』を選ぶ。そして購入ボタンを押す。

 あ……お金の支払いってどうやるんだろう?

 一瞬そう思ったが、次の瞬間チンという軽い音とともに、ガチャンと何かが落ちる音がする。

 缶ジュースようには大きすぎる取出し口にあけるとそこには一本の『木の棒』が。

 そうか、自動で支払いがすむのか。

「サーチ」

 一応、カードの残高確認のために『調べる』のスキルを使う。


 マネーカード

 5G


 ちゃんと5G減っている。

 やっぱりこれで正解だったか。

「それってお金なの!?」

 さすがのりんも気がついた様子だ。

「じゃあ、『銅の剣』…………足りない」

「まあ、りんも『木の棒』で我慢しろ」

 もう一本『木の棒』を購入する。



「あおちゃんと、おそろいだ~~」

 『木の棒』を振り回しながらご機嫌な様子のりん。

 結局『木の棒』で満足したりんはジュースも買わずに戻ってきた。

 ジュース代は自販機のつり銭の場所に置きっぱなしだったからもらっておいた。

 所持金120円。ぎりぎりジュース代まで復活だな。


「それにしても、ジュース屋さん仕事さぼってるよね~」

「いきなりどうした?りん」

「あんなに売り切れいっぱいだったじゃない! 絶対さぼりだよ!」

 たぶん、気に入った武器が売り切れだったのだろう、ぶつぶつ文句を続けている。

 それ以前にG(お金)が足りないと思うけどな。

 あと、飲料メーカーが武器とか作ってるわけないだろう。

 あれは……うん?あれはどうやって補充してるんだ?

 いや……補充なんてないのか?

 このゲームの様なステータスと同じくゲームの様な不思議な力で補充されてるのか?

 そうなると、コンビニとか普通の店に置くわけには行かないよな。

 それこそ仕入れから製造まで色々不都合が起きてくる。

 ああ、だから自販機なのか、それも液晶ディスプレイ表示の。

 あれなら、自販機だけ変えれば他に影響なく売ることができる。

 多分、無関係な人にはヨロズ屋に変えるボタンが見えないのだろう。


「あおちゃん、何考え事してるの? 早く帰って特訓だよ!」

 りんは、『木の棒』を上段から振りおろす格好をしてみせる。

「特訓なら一人でやれ!」

「えええ~~~」


 なんて言い合いながら家に向かう。


 ドン!


 遠くで何かが爆発したような音が聞こえた気がする。

 そういえば、りんに機械触らせたら……。

 うん、何も聞こえないし何もしていない。

 俺たちは何もしてないぞ。



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