ボロボロのりん
玄関にボロボロになったりんが倒れている。
俺は慌ててりんに駆け寄り、抱き起こす。
「あ、あ……おちゃ……ん」
りんの声が力ない。
まさか、俺と同じようにモンスターに襲われたのか!?
りんの体の様子を調べる。
服がボロボロに破けてるなどの外見上の問題はなさそうだ。
血で赤く染まってるようなこともない。
打撲骨折とかがないかも一応調べる。
「あ……お……ちゃん……クスぐったい……」
体中調べてみるが、くすぐったがるだけで頭の中身以外は特に問題なさそうだ。
「な……なんか、バカにされた……気がする」
妙に勘がいいな、りん。
まあそれでも、念のため、回復魔法をかけてみる。
「回復小・範囲」
前の魔法ではあんまり効果がなかったので、新しい魔法を使ってみた。
淡い緑色の光がりんと俺を包む。
これでたぶん大丈夫だろう。
あれから、リビングにりんを運び、水を飲ませた。
大分落ち着いてきたのを見計らって聞いてみる。
「りん、なにが在ったんだ?」
「あおちゃん、酷いんだよ!!」
見るからに不満だという感じでりんは答える。
「今日、補習に出たんだよ」
ああ、りんは放課後は補習だったな。
「そこで、ちょっと居眠りしたんだよ」
「…………」
「そしたら、それからず~~~~とお説教だよ。下校時間の延長まで特別に許可してまでだよ」
「…………」
「酷いと思わない!?」
ズベシ。
「ふぎゃぁ」
思わず、『ツッコミ』のスキル覚えるところだった。
「あおちゃん酷いよ~」
りんは、目に涙を溜めながら頭をさすっている。
「お、ま、え、は! 何で補習を受ける事になったんだ!?」
「たしか……授業中に居眠りしてたから?」
「疑問系なのは置いておくとして、そのとおりだ」
「でしょ~私記憶力いいんだよ」
色々突っ込みたい事はあるが……我慢、我慢。
「その罰で補習受けたんだよな?」
「うん、さっきからそういってるよ~あおちゃん記憶力悪い?」
まだ気がつかないのか? りん。
うん、俺もそろそろ我慢の限界。
「で……なんで補習で居眠りしてるんだ?」
「補習眠いんだもん」
…………。
……。
「バカかーーー!」
「ひやぁ」
俺の罵声にりんは身をすくませる。
「居眠りの罰で補習受けて、その補習で居眠りする奴があるかーーーー!!」
その後、1時間ほど説教を続けてしまった。
後でステータスみたら、
説教Lv1(取得経験値 1/時間)+1P
経験値すら取得していた。
それよりも、りんに説教受けた事に対する経験値を溜めさせたい……。
経験値が説教終ったらリセットって酷すぎるだろ……はぁ。
それから……。
「りんがボロボロになって帰ってくるからモンスターに襲われたのかと心配したんだぞ」
ポロっと漏らしてしまったのがいけなかったのだろか。
「モンスターなんて居るわけないよ~」
ここで流してしまえばよかったんだろう。
「今日、モンスターに襲われて死にそうになった」
ついついこういってしまった。
「モンスターに会ったの!? 私も会いたい!!」
うん、俺の心配よりも先にそれなのか。
「まて、りん。どこに行こうとしてる?」
「モンスター探しにー」
りんがモンスター探しに行くというのを必死に戦う準備するという事で押しとどめ
まずは、装備品を探す事になった。
「これなんかどう?」
台所から持ってきた包丁を振り回す、りん。
「危ないから振り回すな」
包丁から目を離さないようにしながら、注意する。
装備探しはまずは俺のうちのでする事になった。
分担は、りんが武器になりそうなものを俺の部屋に持ってきて、俺はそれを装備できるかステータス画面で調べる。
なんだが……。
何とかに刃物とかいう諺のとおり、りんに刃物もたせるのは結構怖かったりする。
しくじったかもしれない。
「これもダメだな」
りんから受け取った包丁を手に持ってみるが、ステータスでは装備したことにはなっていない。
う~ん、やっぱりダメなのか?
さっきから、色々試してはいるのだ。
カッター、コンパス、ハサミ、定規、辞書、のこぎり、サバイバルナイフ、ドリル……など、など。
どれも家の中にあるものの中で武器には成りそうなのだが、装備品とは認識されなかった。
まあ、ナイフや包丁はともかく、コンパスや定規で戦うRPGって殆どないからな。
「しようがない、気は進まないが……あそこを探すか」
俺はりんに目を向けながら、魔界と化したあの場所に踏み入れる事を決める。
「ん? なにあおちゃん?」




