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勇者になってみませんか?  作者: 七瀬 優
第一章 名称未定 りん「りんの大冒険がいいよ!」
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ボロボロのりん

 玄関にボロボロになったりんが倒れている。

 俺は慌ててりんに駆け寄り、抱き起こす。

「あ、あ……おちゃ……ん」

 りんの声が力ない。

 まさか、俺と同じようにモンスターに襲われたのか!?

 

 りんの体の様子を調べる。

 服がボロボロに破けてるなどの外見上の問題はなさそうだ。

 血で赤く染まってるようなこともない。

 打撲骨折とかがないかも一応調べる。

「あ……お……ちゃん……クスぐったい……」

 体中調べてみるが、くすぐったがるだけで頭の中身以外は特に問題なさそうだ。

「な……なんか、バカにされた……気がする」

 妙に勘がいいな、りん。

 まあそれでも、念のため、回復魔法をかけてみる。

「回復小・範囲」

 前の魔法ではあんまり効果がなかったので、新しい魔法を使ってみた。

 淡い緑色の光がりんと俺を包む。

 これでたぶん大丈夫だろう。



 あれから、リビングにりんを運び、水を飲ませた。

 大分落ち着いてきたのを見計らって聞いてみる。

「りん、なにが在ったんだ?」

「あおちゃん、酷いんだよ!!」

 見るからに不満だという感じでりんは答える。

「今日、補習に出たんだよ」

 ああ、りんは放課後は補習だったな。

「そこで、ちょっと居眠りしたんだよ」

「…………」

「そしたら、それからず~~~~とお説教だよ。下校時間の延長まで特別に許可してまでだよ」

「…………」

「酷いと思わない!?」

 ズベシ。

「ふぎゃぁ」

 思わず、『ツッコミ』のスキル覚えるところだった。

「あおちゃん酷いよ~」

 りんは、目に涙を溜めながら頭をさすっている。

「お、ま、え、は! 何で補習を受ける事になったんだ!?」

「たしか……授業中に居眠りしてたから?」

「疑問系なのは置いておくとして、そのとおりだ」

「でしょ~私記憶力いいんだよ」

 色々突っ込みたい事はあるが……我慢、我慢。

「その罰で補習受けたんだよな?」

「うん、さっきからそういってるよ~あおちゃん記憶力悪い?」

 まだ気がつかないのか? りん。

 うん、俺もそろそろ我慢の限界。

「で……なんで補習で居眠りしてるんだ?」

「補習眠いんだもん」

 …………。

 ……。

「バカかーーー!」

「ひやぁ」

 俺の罵声にりんは身をすくませる。

「居眠りの罰で補習受けて、その補習で居眠りする奴があるかーーーー!!」

 その後、1時間ほど説教を続けてしまった。

 後でステータスみたら、


 説教Lv1(取得経験値 1/時間)+1P


 経験値すら取得していた。

 それよりも、りんに説教受けた事に対する経験値を溜めさせたい……。

 経験値が説教終ったらリセットって酷すぎるだろ……はぁ。



 それから……。

「りんがボロボロになって帰ってくるからモンスターに襲われたのかと心配したんだぞ」

 ポロっと漏らしてしまったのがいけなかったのだろか。

「モンスターなんて居るわけないよ~」

 ここで流してしまえばよかったんだろう。

「今日、モンスターに襲われて死にそうになった」

 ついついこういってしまった。

「モンスターに会ったの!? 私も会いたい!!」

 うん、俺の心配よりも先にそれなのか。

「まて、りん。どこに行こうとしてる?」

「モンスター探しにー」

 りんがモンスター探しに行くというのを必死に戦う準備するという事で押しとどめ

 まずは、装備品を探す事になった。



「これなんかどう?」

 台所から持ってきた包丁を振り回す、りん。

「危ないから振り回すな」

 包丁から目を離さないようにしながら、注意する。

 装備探しはまずは俺のうちのでする事になった。

 分担は、りんが武器になりそうなものを俺の部屋に持ってきて、俺はそれを装備できるかステータス画面で調べる。

 なんだが……。

 何とかに刃物とかいう諺のとおり、りんに刃物もたせるのは結構怖かったりする。

 しくじったかもしれない。

「これもダメだな」

 りんから受け取った包丁を手に持ってみるが、ステータスでは装備したことにはなっていない。

 う~ん、やっぱりダメなのか?

 さっきから、色々試してはいるのだ。

 カッター、コンパス、ハサミ、定規、辞書、のこぎり、サバイバルナイフ、ドリル……など、など。

 どれも家の中にあるものの中で武器には成りそうなのだが、装備品とは認識されなかった。

 まあ、ナイフや包丁はともかく、コンパスや定規で戦うRPGって殆どないからな。


「しようがない、気は進まないが……あそこを探すか」

 俺はりんに目を向けながら、魔界と化したあの場所に踏み入れる事を決める。

「ん? なにあおちゃん?」

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