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勇者になってみませんか?  作者: 七瀬 優
第一章 名称未定 りん「りんの大冒険がいいよ!」
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大事な事を忘れてた!

 あの水饅頭のような化け物を倒したあと、戦闘で負った傷は全て回復していた。

 戦闘が終る毎に回復するのか、レベルUPでもして回復したのかは解らなかった。

 それについては、家に帰ってPCで確認すれば何らかの答えは出るだろうとひとまず保留にした。


 問題はそこからだった。

 この後処理をどうするかだ。

 素直に「化け物に襲われました」とか言って信じる人間がいるのか?

 その辺信じさせるには『勇者の証』の辺りの話もしなくては成らない。

 魔法も使うのか?

 信用させようとするのも面倒だし、信用されても面倒だな……。

 というわけで、その場をまるっと放置して家に戻る事にした。


 目撃者などが居て事情徴収などを受けたとしても、意味不明の事態に遭遇したとでも言っておけば、隠していた事に対する情状酌量はあるだろう。

 あとは、りんに『勇者の証』の関係の話はするなと口止め……だめだな……。

 あいつが黙ってるなんて事できそうにない。

 まあ、あいつが妙な事しゃべったらいつものバカな妄言として流してしまおう。

 

 そんな感じで家に戻ってきたのだが、帰る途中ボロボロの学生服を会う人会う人にジロジロ見られたのがきつかった。

 妙な噂程度ならもうあきらめて甘んじて受けようとも思うが、妙な疑いをかけられないかが少し心配だった。



 そんな感じで、最大限に急いで最大限速度を出さずに(・・・・・・・・・・)走って、家に帰ってきた。

 今の俺では最大速度で走ってしまったら、オリンピック選手すら凌駕しかねないのだ。

 実生活では全力を出すわけには行かない、常人に見えるように力を抜かなければならない。

 そう言った、逆方向に支障が出てきていた。

 りんの奴は、『こける』のスキルと居眠りばかりの不真面目な授業態度のおかげで今のところ隠す必要はなさそうだ。

 まあ、追々あいつにも隠すように教育しないとだめだろうな……。

 

 

「う~ん、これはもう使えそうにないな」

 部屋の壁にかけたハンガーに、辛うじて引っかかってる制服を見ながらひとちごちる。

 学生服って確か1万は超えてたような気がするんだよな……。

 まあ、言ってもしょうがない。

 後で予備を探そう。なければ冬用の厚い奴を着ていくしかないかもな。

 少し憂鬱になってくる。

 見つかる事を祈ろう。


 今はそれよりも先にやらなくちゃならない事がある。

 ボロボロの制服を見てブルーになってる間に、PCは立ち上がっていた。

 まずは、今のステータスだ。

 


 名前:来栖川 葵

 職業:勇者Lv10

 性別:男


 HP :88/88

 MP :62/62

 SP :13

 EXP :814/1200(経験値取得履歴)

 力 :11

 体力:12

 知力:12

 魔力:12

 速度:11

 幸運:10



 レベルが上がっている。

 やっぱり戦闘でレベルUPして全快したのだろうか?

 『経験値取得履歴』も確認してみる。

 いつもの魔法使用などの項目は読み飛ばして、一つ新しい項目を見つけた。


 モンスター撃破(スライム撃破*1 50P*1)+50P


 モンスター撃破で50Pか、どうやら撃破経験値でレベルが上がったのは間違いなさそうだ。

 経験値量はモンスター毎にでも決まっているんだろうか?

 そもそもモンスターは他にも居るのか?

 ……ん? 

 スライム?

「スライム!?」

 経験値の方ばかり目が言ってて撃破したモンスターが何なのかに意識が向いてなかった。


 一つ納得がいった。

 スライムか……どおりで何か見た事のある姿だと思った。

 それに攻撃は、体当たりや溶解などで、良くあるスライムの攻撃方法だものな。


 だけど、スライムって基本最初に現れる雑魚モンスターじゃないのか?

 Lv1でも倒せるようなモンスターじゃないのか?

 Lv10……いやあの時はLv9か、このレベルで苦戦するようなモンスターじゃなかったはず。

 死闘なんかに、なるようなことはないはず。

 あの時は本気で死と隣り合わせだった気がする。

 このゲームは違うのか?

 それとも、BOSSモンスターだったとでも言うのか?

 もし、このゲームでもスライムが最弱としたら、他のモンスターなんて勝ち目無いんじゃないか?

 俺は初めてこのゲームそのものに恐怖を覚えた。



「怖がっていても始まらない。何かできる事は無いか改めて調べよう」

 俺は心に巣食う恐怖を打ち払うように声を上げる。


 まずは手っ取り早くスキルか……。

 SP13もあるから全部取っておくのもいいのかもしれない。

 そう思って、スキル一覧を開いてみる。


スキル


勇者-剣装備

    剣を装備するスキル。剣装備時に↑補正。(SP1)

  

  --強攻撃

     力を溜めて強力な攻撃をする(SP2)

  

  -鎧装備

    鎧を装備するスキル。鎧装備時に↑補正。(SP1)


  -????

    ?

    前提:頭装備取得


  -????

    ?

    前提:頭装備取得


  -????

    ?

    前提:腕装備取得


  -????

    ?

    前提:足装備取得


  -????

    ?

    前提:アクセサリ取得


  -火魔法1

    Lv1火魔法取得


  --火魔法2

     Lv2火魔法取得(SP2)

     前提:Lv1火魔法で覚える魔法の平均熟練度5


  -回復魔法1

    Lv1回復魔法取得


--回復魔法2

     Lv2回復魔法取得(SP2)

     前提:Lv1回復魔法で覚える魔法の平均熟練度5


  -状態異常回復魔法

    状態回復魔法取得(SP1)


  -ガイド(Pスキル)

    色々な説明。内容は随時更新(SP1)

    前提:行動を10種類行う


  -調べる(Pスキル)

    色々な物を調べる(SP1)


  --フレンドリスト(Pスキル)

     出会った人物などを登録&閲覧できる(SP2)

     調べると情報が増える。


  --アイテム図鑑(Pスキル)

     取得したアイテムを登録&閲覧できる(SP2)

     調べると情報が増える。


  --モンスター図鑑 (Pスキル)

     調べたモンスターを登録&閲覧できる(SP2)


  ---自動登録(Pスキル)   

      倒した敵をモンスター図鑑に登録する(SP3)

      前提:出会って倒せなかったモンスター数10体以上


 なんか一気に種類が増えていた。

 何でだろう?

 Lv10になったからか?

 それともモンスターを倒したからか?

 あとは……。

 アイテム取得したからだろうか?

 まあ、理由は良くわからないが、色々と取れるようになったのは確かだった。

 スキルはいったん保留しておこう。

 これだけ増えるとちゃんと考えてからの方がいい。


 他の情報も見てみる。

 魔法は……。


魔法


 火      3(43/70)

 ????

 ????


 回  6(319/630)

 回復小・範囲 1(0/10)


 こちらは、『回復小・範囲』が増えていた。

 こっちも増えていたか。

 あとで、効果とか確かめておかないとな。


 あとは……。

 アイテム欄も見ておこう。


アイテム


 黒焦げのスマホ? × 1


 お、アイテムがはじめて増えた。

 ドロップアイテムだったからだろうか?


 あとはもう調べるものはないよな?

 コマンドを確認していく……。

 あ、『ガイド』があったな、一応見ておくか。

 なんとなく気が進まないのでどうしても避けてしまうのだろう。

 だけどまあ、調べておいた方がいいのは確かだ。


ガイド

 ・ガイドについて

 ・魔法失敗について

 ・MP0のリスク

 ・戦闘について(NEW)


 うん、一つ増えている。

 しょうがない。

 見るしかないか……。

 『戦闘について』を選択。



---------------------------------------------------------------------------


戦闘について


 俺様が悪かった。

 

 お前はバカじゃなんかじゃない。

 

 自殺希望なんだな。


 そうに違いない。


 じゃなきゃ、装備をつけずに戦うなんて自殺行為。バカでもやらないだろうwwww


 もし、救い様のないバカが居るとするなら教えてやろう。


 戦う前に『装備』するだ!


 武器なしで戦えば当然攻撃なんて効くはずねぇぇぇぇ


 防具なしで戦えば大ダメージだ!!

 

 死にたいなら試してみるといいぜwwww 


---------------------------------------------------------------------------

 

 

 今回は言い返す言葉がありません。

 本当にバカだった。

 こんなに大事な事を忘れてたなんて……。

 魔法が無ければ死んでたかもしれないな俺。

 まずは装備品を探さないと。

 

 そんな事を考えている時、玄関で扉の閉まる音がした。

 りんでも帰ってきたか?

 そう思ったが、すごく静かだ。

 りんが帰ったらいつも騒々しいし誰だろうと玄関に降りていく。


 そこには……。

「あお……ちゃ……ん…………」

 精根尽き果てた様子のりんが居た。

「どうした!? りん」

 俺は慌ててりんに駆け寄っていく。

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