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勇者になってみませんか?  作者: 七瀬 優
プロローグ
11/75

魔法

 ネットで1500円で買った不思議なメダル。

 これが本当に不可思議な力を発揮してるものかどうか確かめる時が来た。

 もしかしたら、魔法を使ってみた瞬間、ドッキリのネタばらしなんて展開もあるかもしれない。

 ただ、それでも説明のつかない事はいくつかある。

 それも、ただの偶然だったかもしれない。

 まあ、とにかく確認してみないことには一向に結論が出ない。

 

 そこでだ、 実際に魔法が使えたならば、この勇者のメダルは本当に何らかの不可思議な力を持っている確証が得られる。

 確認のためにはうってつけなのだ。


 魔法とは、夢だ。

 不可能を可能に変える力だからだ。

 不可能が可能になるだけで希望が膨らむ。

 

 魔法はみなが求める。

 なぜなら、他人には無い力だからだ。

 他人に勝る力を人は求めるものだ。

 

 魔法……。

 ……。


 って、テンションがなにか変な方向に向かいかけた。

 自分でおもっているよりも、魔法が使えるということに期待しているのかもしれない。

 このメダルが何かのいたずらの類である事を証明すると言うつもりだったはずなのに……。

 やはりなにか、超常の力であることを期待しているらしい。

 こんな期待したって、順当に期待を裏切られた時にはダメージうけるだけなのに……。


 でも、でも……。


 まあ、うだうだ悩んでいてもしょうがない。

 試してみるしかないのだから。



 その前に、最終確認だ。



 邪魔してきそうなりんは、廊下に寝ているところを客間に運んで布団を引いて寝かせた。

 念のため、布団をロープでぐるぐる巻きにしてミノ虫の様にしておいたから、邪魔が入ることは無いだろう。

 あとで忘れずに解いておかないとな。



 次に、魔法の設定の確認だ。


 

 消費MP1:1(1MP/文字)


 魔法、『火』読み方はそのまま”ひ”。

 消費MPは1だ。


 

 その次は、現在のMPの確認だ。

 

 前回、失敗したのはMP不足らしいからな。(本当にまほうがあるのなら……)

 現在のMPは6/6。

 十分に足りている。



 最後に、魔法の使い方の確認だ。

 

 1.魔法の使う相手を決めて、イメージする。

 2.魔法を唱える。


 うん、問題ない。


 他に注意点は……。

 何かあるか?


 ああ、火事にならないように注意しないと。

 一応、バケツに水でもくんでこよう。



 部屋の窓から続くベランダ。

 辺りは真っ暗になっている。

 周りの住宅街の家々からも明かりがほとんど消えている。

 まだ0時回ったくらいなのに、みんな早く寝るんだな。

 う、少し肌寒い。

 まだ、夏には少し遠いこの時期はパジャマだけでは少し寒い。

 早く済ませてしまおう。


 魔法の準備は整ってる。

 足元に水の入ったバケツ。


 目標は安全のために空の彼方の雲にする。

 そんな遠くでもいいのかと少し疑問におもったりするが、まあ、やってみてから考えよう。

 もし、万が一に魔法が使えたとしてもどのぐらいの炎がでるか解らないのだから……。

 まあ、念のためだ。



 では、はじめよう。


 まず、空に向かって手をかざす。

 手の先にある雲を見据えて……。

 魔法を打ち込むイメージ。

 

「火!」

 

 …………。

 ……。


 雲にはまったく変化がない。

 火の玉とかが向かっている様子も無い。


 …………。

 ……。

 

 顔が熱くなる。

 う、りんみたく、魔法なんか信じて、手にかざして呪文なんて唱えてしまった。

 黒歴史に新たな1ページが書き込まれた気がした。


 かざしたままになっていた手を、頭をかいてごまかす。

 その時、ふと、手の影にあった、小さな赤い光が見えた。

 それは、ろうそくよりも、か細い炎で今にも消えそうだ。

 そのまま観察を続けると「よいしょ、よいしょ」って感じで1mmぐらいずつゆっくりと空に向かって進んでいるようだ。


「ショボ」

 魔法が使えたとかそういう感動よりも先にまずそうおもってしまった。

 種火の代わりにもなるかどうか微妙だ。

 火事云々考えてた俺がバカみたいだった。

 

 それでも一応、念には念を入れてその火の粉に水をかける。

 ジュっと音を立てて細い煙を空に残した。


 

 なんだか、魔法が使えたとか言う感動もなにも無かったが、確かに魔法は使えた。

 あの後、もう一度試してみたが、一応、どんなに小さくても、ショボくても、火は出た。

 魔法が使えるようになった事は疑いは無いだろう。


 どういう原理かはまったく解らないが、『勇者の証』は不可思議なマジックアイテムである事は間違いないみたいだ。

 信じられないと言う思いはまだあるが、現実として起こった事は受け止めなければならない。


 となると、ステータス画面も意味があるんだろう。

 もしかしたら、とんでもない物を手に入れたのかもしれない。


 部屋にもどり、画面を覗いてみると、『LvUP』の表示が。

 すぐにクリック。


 MHP+5 MMP+4 SP+1 力+1 体力+1 知力+2 魔力+1 速度+1 幸運+1



 名前:来栖川 葵

 職業:勇者Lv4

 性別:男


 HP :26/26

 MP : 10/10

 SP :1

 EXP :25/50(経験値取得履歴)

 力 :4

 体力:4

 知力:6

 魔力:4

 速度:5

 幸運:4


 

 Lvが4にあがっていた。

 たぶん、魔法を使ったことによって経験値を取得したのだろう。

 『経験値取得履歴』を確認すると案の定。


 『火』魔法発動(取得経験値 2/回)+4P


 お、魔法は1回で2Pの経験値がもらえるのかおいしいな。

 あと10MPあるから、10回*2で20Pの経験値じゃないか。

 早速使ってみよう。


「火」「火」……「火」……「火」


 何だろう……。

 全てがめんどうくさい。


 もう寝よう。

 バタン。


 何か忘れているような気もする。

 思い出すのもめんどうくさい。

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