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第6話 問題解決? いいえ、火蓋が切られました


 どうしてこんな目にあっているのだろうか? 


 マスドの窓際のテーブルには、飛鳥学園が誇る二大美少女が俺の両隣に座り。


 1人は俺の右腕に手を回し上機嫌でしなだれている。


 また1人は般若の如く怒りの表情で俺をゴミを見るが如く目で睨んでいる。


 そして、この2人に負けない程の4人の可愛い子達が、俺を取り囲み。冷ややかな目で見ている。


 つうか。ナツ! 元はといえば。お前が体育館裏に呼び出す娘を間違えたのが。全ての原因だろうが。


 そんなメッセージを小学校以来の悪友。七星ななせ 夏希なつきに向かって目で語る。


「……ん? ん──……ドンマイ(o≧▽゜)o」


 このやろう! 何だその表情は? 普段は殆んど無表情のくせによう。


「ちょっと! ナツの顔をじっと見つめて何を考えてるの? 浮気の士郎」


 凪が冷たい声でそんな事を言って来た。


「浮気の士郎? 何だその二つ名は?」

「……自分の心に聞いてみれば」


 またしても凪の発する声は冷たい。くそっ! これも全てはナツが間違え、俺が間違え、小鳥遊さんが……俺の間違った告白をたまたま了承してしまったトリプル事故のせいじゃないか!


「つっ……な、何? 小鳥遊たかなしさん」


 俺にしなだれていた小鳥遊たかなしさんが、いきなり俺の顔に両手を伸ばして掴み。そのまま彼女の顔の近くに引き寄せられた。


「さっきから余所見よそみが過ぎるぞ。ダーリン♡」

「はぁ? ダーリンだと?」


 小鳥遊さんは上目遣いになりながら、可愛らしく俺にそう言い放つ。


「し、士郎がダ、ダーリン?!」「……ヒュー!」「これは大胆ですね」


 凪、夏、竜胆も顔を赤面しながら、この光景にビックリしているが。そのなかでただ1人だけ、微動だにしないイケメン女子が居た。


「はぁ~、 おい。コラ! 私の親友の凪の心をもてあそぶのは、そこら辺で止めてもらおうか? 小鳥遊さん」

「フギュ?! ちょっと! アーちゃん。何するの。私達。親友だよね?」

「は? 小鳥遊さんとアスナが親友?」

「元親友な。小学校一年生の時、私が急に転校して居なくなってから、中学で再会するまで疎遠そえんだったでしょうが」

「……ううん。今もずっ友だよ。ねえ? アーちゃ……痛い!」

「黙れ。小悪魔」

「へぁ? それ、皆の前で言っちゃダメえぇ」


「ナーちゃんが小悪魔?」「……大悪魔の間違えだろうに」「あー、成る程。だんだんと今回の騒動の全貌が見えてきましね」


 凪達。外野はうるさく騒ぎ。

 珍しく小鳥遊さんが狼狽ろうばいしている。


 しかし驚いたのが。アスナが小鳥遊さんの元親友で、彼女の本性……天使の姿をした内側小悪魔な本性を知っているという事だ。


「凪。この娘はね。猫かぶりで計算高い子なの」

「ちょっと、 アーちゃん。何を言って……ムグ!」


 凄い。アスナはあの可愛らしい小鳥遊さんの顔を、何の躊躇ちゅうちょなく面白い顔に変化させた。


「猫かぶり? どういう事。アスナ」

「このアホ《柊》は昔から、清廉潔白な美少女をよそおって男をまどわす。ビッチ娘なのよ」

「だ、誰がビッチ娘なの? 私、これでも桐生君以外と1度も付き合った事が無いし、処……ケホンッ! ケホンッ! な、何でもないのー」


 ……小鳥遊さん。今、とんでもないない事実を暴露しようとしてなかったから?


 いや、今の発言は忘れよう。忘れよう。うん。


「……はっ! 今、小鳥遊さんのとんでもない発言でフリーズしてたわ」

「いや、それは私もだけどさ。だから今回のナツのせいで起きた間違った告白事件だっけ? あれも本当は別の娘を呼び出す筈だったんでしょう? 桐生君」

「ま、待って! その話をここでしちゃ駄目……ムグぉ?! ンン!」


 再びアスナに口元を抑えられる小鳥遊さん。こ娘、最初は少し腹黒くて清廉潔白美少女を演じているだけかと思ったけど。


 アスナに何かをやられる度に面白い行動をするんだな。


「何? どういう事? つまり。士郎は別の誰かが好きで、ヒーちゃんはナツに間違えて呼び出されたって事?」

「そうそう。そんで、そこのアホの桐生君が。その好きな娘がやって来たと思ってねぇ? 桐生君」

「間違えて告白しちまったんだ。だから小鳥遊さんとは間違った経緯いきさつで、間違った恋人関係になっちまったんだ。でも何故か小鳥遊さんはOKしてくれてさぁ。まあ、色々あったけど凪……だから俺、本当は凪、お前の事が……ムグぉ?!」


 そう。それはいきなり起こったハプニングだった。色々な誤解が解け、俺が凪に本当の気持ちを伝えようとした瞬間。


 突然、小鳥遊たかなし ひいらぎが俺の口にキスをして来たんだ。


「ンン? プハァ! 小鳥遊さん。いきなり何するんだよ……ごがぁ?!」

「……シーッ! 今、良いところだから沈んでて、士郎」「ヒャー! 大胆だね」「妄想がはかどります」


 ──俺はナツの手刀によって意識を刈り取られた。そして、アホ娘達はどこか興奮気味になり、小鳥遊さんと凪のやり取りを見つめていた。


「ヒーちゃん。何を?」

「まさか。桐生君との公認を認めさせに来たら。逆にヤられるなんて思わなかったなぁナーちゃん。これは私からナーちゃん。ううん、凪に向けての宣戦布告。桐生くんは体育館裏で、私にしてくれた告白は本物だった。これまで受けた私の顔しか見なかった人達と違って本当に、本当の告白だった」

「本物の告白?」

「そう。だから私はこの告白を間違った告白なんて思わない……だからN・T・Rさせてもらうね。朝比奈 凪の一番大切な人を 」

「ヒーちゃんが私の一番大切な人を?……そんな事、絶対にさせない! だって私の大切な人は士郎なんだから。私は小鳥遊たかなし ひいらぎに絶対に士郎を渡さないから!」


 ────俺が気絶している。間に飛鳥学園の二大美少女の長きに渡る戦いの火蓋ひぶたが、突如として上がった。


 しかし、俺の今後の学園生活どうなっていくんだろうか?


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