第31話 凪と夏の暴走。
朝は色々とドタバタしていたせいもあり、弁当を作り忘れてた。なので今日は久しぶりに学園の食堂に来ているんだが……
《昼休み 食堂》
「あれ? 士朗じゃん。ひーちゃんと昼ご飯一緒じゃないの?」
「図書委員会の仕事だと。だから久しぶりの食堂に来た」
「1人で? 寂しく?」
「……なんだよ? 悪いか? 悪友共はこの土日で浮気したから折檻されてんだよ。だから1人で……てっ! 凪だって1人で来てんじゃないかよ」
俺がそう指摘しても、何故か凪は勝ち誇った顔をしている。
「バカな事を言うんじゃないよ。私にはこの呼べばどこにでも現れてくれるナッちゃんがいるんだからね。カモーン!ナッちゃん!」
「……どろ~ん。呼ばれて飛び出てジャーナリスト! 夏、参上ー」
ドヒューン!
「わー、凄い。ナッちゃん。派手な登場だね? 何で花火……ていうか。煙り凄いね」
「……どうしよう。凪凪。火薬多く用意し過ぎで、煙りが凄い事に」
……コ、コイツ等。周りの迷惑も考えず。騒ぎやがって~! 皆、見てるじゃないか。
つうか。夏が登場する時に、着火したあれって確か車の発炎筒とか言うやつだよな?
「お、おい……赤い煙が凄いけど大丈夫なのか? ズーッズーッ!!」
俺は食堂で頼んだカレーうどんを啜りながら、立ち上がり、被害を被らない様に静かに移動し……
ガシッ!
「ちょっと! 士朗」
「…どこに逃げようとしておる」
凪と夏は発炎筒が勢い良く上がるのをボーッと見ていたと思ったら、移動しようとした俺の制服を掴み。身動きを封じできた。
「お、おいっ! 放せよ。アホ共、風紀委員会が来たら、俺まで生徒指導室に呼ばれるだろうが」
「じゃあ。優等生の士朗が一緒に来てくれれば、私達も怒られなくて済むね」
「……旅は道連れ世は情け。つまり私達は運命共同体。同士」
こ、こいつ等。アホなのか? 俺を巻き沿いにする気満々じゃねえか!
「こらー! 誰ですか? 昼休みの食堂で煙りなんて炊いているお馬鹿な生徒さんはー!」
遠くの方で風紀委員会らしき人達が食堂に向かって来るのが見える。
「ふっ! これで私達。終わったわね。士朗、放課後は、生徒指導室で反省文コース」
「……そして、解放された。後はマスドで凪凪と士朗の2人きりの反省会ラブラブ作戦…………凪凪。士朗、居なくなってる」
「そう。それが今回の作戦……へ? 士朗が居ない? 何で?」
「こらー、また貴女達2人ですか? 朝比奈凪に七星夏希! いつもいつもトラブルばかり起こして、今日という今日は許しませんよ!」
「げっ! 風紀委員会の咲花ちゃんだ!」
「……逃げよう。凪凪、全ては七星家の力で揉み消せるから」
「うん。逃げよう。ナッちゃん! バイバイ~、咲花ちゃん」
「……グッナイ」
ボフンッ!
凪と夏は煙り玉の用な物を床に叩きつけると、忍者の様にその場から姿を消した。
◇
「ケホッケホッケホッ………まさか。更なる煙幕わ発生させて逃げるなんて、そんなお馬鹿な発想がありますか? 仮にも七星財閥のご令嬢がやることですかー!……もういませんか」
「ズーッズーッ!! まあ、アイツ等は頭のネジが少し緩いから多めに見てやってくれよ。咲花風紀委員長」
「いやいや。駄目ですよ。怪我人が出てないから良かったものの。こんな騒ぎをいつも起こして、それを許してる学園側にも問題が……ん?」
「ズーッズーッ!!……ん? どうした? 俺の顔なんかジーッと見つめて、カレーうどん食いたいか?」
「か、確保ー! 皆さん。この人を確保して下さい!」
「「「「「はいっ!」」」」」
「はっ? 俺、何もやってないぞ!」
「問答無用です。桐生士朗! お縄につきなさい!!」
「何でだよ!!」
俺はこうして無実の罪で風紀委員会がある教室へと連行されたのだった。




