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爆発しろ!

というわけで爆発回です



 足元で土が弾けて爆発した。


 石礫とはいかないものの、これでも結構痛い。



 

 なんでこんな羽目になってるかというと、「たるみ過ぎ! 私が性根を叩き直してあげる!」との有り難いお言葉と共に、例の王子の幼馴染のツンデレ?さんに裏庭に連れ出された挙句「剣を構えなさい!」との言葉を合図に魔法を連発で叩き込まれているからだ。



 死なないようには手加減してくれてるみたいだが、怪我をしないようになんて事は毛ほども考えちゃいない(少なくとも痛いのは確か)。


 しっかしなぁ・・・。



 さっきからボンボンと爆発してるが、なんでこれが「土系統」の魔法なんだろ?

 ジルブレイス家の得意とする魔法の系統が「土」って聞いて、漫画やらラノベじゃ土は地味系だったよなぁ、と少し自分を安心させてたんだが、悪い意味で予想を裏切られた。



 普通爆発とか言ったら「火系統」じゃね?



 普通の土の塊が飛んできたかと思えば、中から土製のナイフが飛んでくるし、当たりでもしようものなら「これは本来、石や鉄のナイフなんだからね!」と更に強い攻撃が来るしで、中身が元の王子のままだったら、とっくにリタイアになってることだろう。


 この世で一番嫌いな言葉が「努力」って人だったしね(一番好きな言葉が「女」って時点で終わってるけどな。女性への褒め言葉のボキャブラリだけが豊富だし)。


 逃げ回ってる一方で、どう見ても折檻されてる様にしか見えない光景なんだが、それでも元の王子から見れば奮闘していると評価出来るものらしく、アヤメは「王子、ご立派になられて」と感涙にむせんでいる。



 いや、感動しなくていいから助けて下さい。




 

 この世界来て初めての対魔法模擬戦だったのだなぁ、などと冷静に考えられるようになったのは水を飲むとやばいレベルにまで呼吸困難になってからだった。



 最後は津波の様な土砂の波に、飲み込まれず、何故か上空に突き上げられて、落下地点の土を柔らかくして受け止められるという中々に屈辱に満ちたものだった。



 ま、王子+俺のスペックじゃ大健闘と言えるけど、情けない事には変わりない。


 剣もほとんど重しにしかなってなかったし(振り回して多少は攻撃防いだけど、楯持ってた方がマシって感じ。元々の王子がろくに剣に触らず、たまに持ったと思えば鏡の前で「格好良く見える剣の構え方」「カッコ良く見える剣の抜き方、収め方」というチャンバラマニアレベルの事しかしていなかったのだ)。





 にしても、やっぱエリシアさん怖いっス。


 軽くトラウマになりかけるくらい。


 今後、同じ髪の色の女性見かけただけでビクつく様になるだろうなぁ、ってくらいには怖かった。


 悪意が全く無くてこれだもんなぁ・・・。

 今後、悪意やら殺意を込めた攻撃とかくらったらどうなる事か・・・。




 この王子という外側がある限り、まず間違いなくそう言った物に直面する羽目になるだろう。


 ヘタレ×ヘタレでヘタレ度が強化されなかっただけでもマシなんだろうなぁ。


 足し算にもなってなくて、元々の俺のヘタレだけみたいなのは救いだ。



 王子+俺じゃ、剣や魔法が物凄く強くなる、というのはおそらく無理だろう。



 ならばせめて中身だけでも強くならないと。



 そう考えつつも、「明日はきっと筋肉痛だな」とため息をつく俺なのだった。




 


 翌日・・・筋肉痛で朝食を取るのも厳しい状態の俺は、そのまま自己正当化を果たして午前中は惰眠をむさぼるハズが、朝一でエリシアさんの襲撃を受けてロボットの様なぎこちない動きのまま外に連れ出された(たぶん、アヤメも見えない位置で着いて来てるんだろう)。



 今の季節はバカンスではシーズンオフで、他の貴族は余り見かけないものの、それでも全く居ないという訳でもないし、街で働く人や暮らしている人の視線もある中を、エリシアは俺の手を引いてズンズンと進んでいく。



 逆らう気も無いが、もし抵抗しようとしてもろくに体が動かない現状では、踏ん張って止まろうとしても力が入らずにコケた上で、更に引きずられる事になるだろう。


 そんなわけで、俺も手を引かれるまま、時折襲い来る筋肉痛の痛みに耐えながら歩いている。



 「で、どこに行こうと言うんだい、ハニー」等と元々の王子が口にしていた軽口のバリエーションからセレクトして声をかけてみる。


 王子の幼馴染ではあっても、俺にとっては馴染の無い相手なのだ。


 どんな感じで話していいものやら見当も付かない。


 王子の記憶は子供時代のもの、当時の口調は貴族ニュアンスはあるもののお子様言葉。


 今の外見で使おうものならバカそのものである。

 (あっ、この王子なんだから平気かもしれない!)



 繋いだ手と反対の手が拳になって迫ってきたのを、なんとか避けられたのは昨日の訓練という名の折檻の賜物だろうか?


 風圧はしっかりと顔面を直撃したんで、避けなければそれなりに痛い思いをする事になっただろう。


 「私に対して、そういう口調で話すのはやめなさい!」


 「はひっ!」


 思わずビシっっと硬直して、筋肉痛にのたうつ。


 

 「いつまでたってもバカなんだから・・・。」




 呟きに全く否定出来る要素を見つけられない俺なのだった。

筋肉痛が翌日に出るのは若さの証明です

もっと年を食うと「平気だったのか?」と思って忘れた頃にw

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