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勇者はだれ?

作者:臥亜
最新エピソード掲載日:2026/02/10
空が割れ、それは嵐でも災害でもなかった。
まるで世界そのものが、爪で引き裂かれたようだった。

王都の真上に現れた黒い裂け目。
そこから現れたのは、空に浮かぶ巨大な城。

そして——

その城の頂に立つ、ひとりの男。

銀の髪。
闇をまとった黒衣。
冷たい瞳。

魔王。

地上に響く、静かな声。

「人間よ。勇者を呼べ」

王は命じた。
神官は祈った。
巨大な魔法陣が光り輝いた。

だが——

勇者は現れなかった。

一度。
二度。
三度。

何も起きない。

神官が震える声で告げる。

「……勇者は、来ません」

王都に絶望が落ちる。

魔王は空から見下ろし、わずかに笑った。

「勇者は一人だ。
そしてその一人がいないなら——世界は終わる」

黒い軍勢が動き出す。

城が燃え、塔が崩れ、人々が逃げ惑う。

その中で、ひとりの少女が立っていた。

震えながら。

それでも、目を逸らさず。

「……勇者は、いる」

誰に言ったわけでもない。

自分に言い聞かせるように。

「いないなら、探せばいい」

その小さな言葉が、
やがて世界を変えていく。

最後に残る問いはひとつ。
――勇者はだれ?
魔王、顕現
2026/02/10 14:08
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