第21話
「さて、勝ったのは私よ!」
すっごい笑顔なルイスがいる……。周りもすごいニヤニヤしてる……。なんか怖いな。
「それじゃあ、悠斗に命令するわ! ……女装しなさい!」
「「「いぇーい!」」」
「えぇ!? や、やだよ」
「やだ、じゃないの。これは命令よ! 絶対の命令なの!! 佐倉、服を用意して。そうね、女子の制服でいいわ」
「かしこまりました、お嬢様」
「待ってよ! スカートは無理だって!」
「大丈夫ですよ。都住先輩なら似あうはずです」
「つ、翼。スカートは無理だよね? 見るに堪えないって」
「ん、案外そうでもないんじゃないか。何事も経験だよ」
「そんな経験したくないよ! 彩音は止めてくれるよね!!」
「頑張って! 悠斗!」
「では都住様、こちらへ」
「そんな……」
そうして悠斗は佐倉に連れられて部屋を出て行った。残った四人は、どうなるかを話し合っていた。
「どうなりますかね、都住先輩。案外、男ってわかっちゃったりして」
「でも、顔は可愛いほうだからわからないわよ」
「悠斗の女装か、久々に見るわね」
「さぁな、全く予想できない。それより、いいこと思いついたんだけど聞いてくれるか……」
翼が考えを三人に教える。それを聞いて、それに三人とも賛成した。四人とも、とても面白そうな顔をしていた。
「お待たせいたしました」
「あ、佐倉から見て悠斗はどんな感じだった?」
「……びっくりです」
「「「び、びっくり」」」
「見た方が早いと思われます。都住様、どうぞお入りください」
ガチャ
僕は四人が待つ部屋に入った。もちろん、女の子の制服で。四人の顔を見るとボーっと僕を見ていた。高校の制服は紺のブレザーで中は指定のYシャツ。スカートはグレーのチェック柄のやつだ。そして、黒のタイツまではいている。うぅ……恥ずかしい。
「ほ、ほら、やっぱ無理だって」
「……悠斗、いや、悠子ちゃん!」
「止めてよ。恥ずかしいんだけどこれ……ダメだよね、これ」
「(予想以上に女の子ね…、しかも、可愛い)」
「(都住先輩…ですよね……)」
「(昔よりレベルが上がってる気がする……)」
「三人とも! なんか反応してよ!」
「え、あぁ、可愛いわよ、悠子ちゃん」
「そうですよ! どう見ても女の子です。女の私よりも可愛い気がします」
「……悠斗、女の子じゃないの?」
「嬉しくないよ…。彩音はさらっとひどいこと言ってるし……。もう着替えていいよね。限界……」
「それなんだけどな、悠子。今日はこのままトランプ大会にしようと思ってな。お前は勝つまでそのままだ。着替えたければ勝つことだ」
「えぇ!? この格好のままトランプするの!?」
「そうよ、あ、佐倉、写真撮って」
「かしこまりました」
パシャ、パシャ、パシャ
「うわぁ、何勝手に撮ってるんですか!? 翼も、隣に来てピースしないで! あぁ、いつの間にか全員入ってるし!」
「ほら、悠子ちゃんも笑って!」
「笑えないよ!」
「よし、記念撮影も終わったな」
「うぅ…落ち着かない……」
「まぁまぁ、悠子ちゃんが勝てばいいのよ」
「もう僕は、悠子で決定なんだね…」
「悠子ちゃんが勝てば、今度は命令ができるんですよ。頑張ってください」
「ぷっ…悠子ちゃん、こっち向いて」
「彩音はさっきから笑いすぎ! 写メ撮らないで!」
「あ、桜沢先輩、あとで送ってくれますか?」
「いいわよ。ルイスもいる?」
「もちろんよ!」
「あ、彩音、俺も」
「あぁーー、次やるよ、次!」
そして、二回戦目が行われた。今度は絶対に勝たないと…、勝って服を取り戻さないと。
……………また、負けた。…なんで?
感想お待ちしております。




