第六回イベント ⑧
アナウンス通り二つの陣営の人が一気に噴水広場に集まる。
ぎゅうぎゅう詰めでありチリン達がどこにいるのかがわからない。
「……ごめんねみんな。けがはない? どうやらウルフェンの遊びだったようだけど……巻き込んでごめんね」
第一声は謝罪。
ベアンはよくも悪くも統治者だなぁとつくづく思う。
「だけどすれ違わずにこうして殺さずに仲直り……仲直りっていうのかな。すれ違い? ……まぁわかんないけど解決した。ありがとう。両陣営ともに人死にはでただろうから……供養してあげないとね」
一番被害が大きいのはウルフェン側だろう。
なんてったって私が結構……ね。
「はい、もう喧嘩終わり。仲直りしよ」
とベアンとウルフェンが握手していた。
《真イベントエンドに到達いたしました。プレイヤー全員にアイテムが渡されます》
……真イベントエンド?
なんだそれ……。真ってことは、まだ、ルートあった?
もしかして、どちらかの存亡でまたエンディングが違ったっていうこと!? 二人とも生きてるから真のエンド。二人のうち一人死んでいたら普通のエンドだったのかな……。
《両者陣営の行き来が可能になりました》
いや、それはいいんだけど……。
真のエンディングかぁ……。たまに分岐あるけどこのA2Oにもあるとは思わなんだ。セーブデータはないからどのエンドも回収不可能。
……待って。今のが分岐あったんなら以前のも、今後のももしかしたら分岐があったりするのかな……?
……考えない。考えないっとー。
で、イベントの報酬は不思議な書物だった。
書物とスキル封印の書。書物のほうを読んでみる。
《かつて力があふれたのは理想郷。この世 は理想 で出来ている》
何かの伏線だろうか。
いや、違う? 理想郷を失ってはいけませんよーってこと? エルドラドとか、カナアンとか。理想郷がこのA2Oの世界に多大な影響を与えているから……。と考えるのが自然だろうか。
とはいえこの書。謎が多すぎる。
で、なんで世とはの間と理想とでの間に空白があるんだろう。
何か意味があるんだろうけど……。
なんだ?
「わかんね」
とりあえず書物をしまう。
……理想郷?
ふと、理想郷が浮かんだ。
理想郷……。何か関係があるんだろうか。
この世は……理想で出来ている。
…………。
「まじでか!?」
気づいた。気づいてしまった。
なぜ運営は今このタイミングでこの書物を投下した? というか、意味がある? 何かを伝えたい? 違う。たいして意味もない。
真実を書いてあるだけだ。
この書物にはこの世界の真実が。意味もない真実がある。ただ、それを知って気になる言葉はかつてという部分だ。過去形だということ。
……もしかしたら、このゲームのエンディングは……。なんて思えてしまった。
……面白いじゃん。この世界の真実。
ミキがゲームの真実に気が付きました。
予測してみても大丈夫ですが、たぶん簡単なんて答えは心の中に秘めておいてください。
ちなみに最終回はたぶんずっと先です。
ちなみに、世界の真実は蛇足であり、プレイヤーからすると「だからどうした」って感じなんですけどね。
次回からちょっと息抜きに現実世界のことを書こうかな? もちろんシリアス抜きで。




