オフ会を開こう ③ (真野ちゃん視点)
ふぅ。疲れた。どうも。生出 真野です。
先ほどドラマの撮影が終わって一息ついていた。今日の分の仕事は終わって、もうこの後予定は何もない。
今日は簡単な演技だったし、それほど疲れてもないから、帰りは遊んで帰りたいな。
美咲ちゃんって今なにしてるかな。暇なら誘って遊びたいけど。
またA2Oでもやってるのかな。
まあ、とりあえずチリンちゃんとかのSNSでも見ておこう。なにしてるのかなーっと。
『ギルメンとオフ会、なう』
オフ会?
画像に移っているのは女性が八人と男性が三人。
その中に美咲ちゃんがいる……!
うああ。行きたい。超行きたい。
けど、ギルメン同士で中を深めてるから、私行っても迷惑かなあ……。
私って、A2Oのフレンド美咲ちゃんしかいないからそういうの無縁なんだよね。どこのギルドにも属していないっていうか、あまり人に知られてない。
いや、私の望んだ結果だけど、でも、ちょっと羨ましい。
私って、女優だから学校行けないこともたまにあるんだよね。
そして、有名な女優ってことも合わさって高根の花扱いされて同年代の友達はクラスにいない。学校にいないって言ったほうが正しいのかな。
だからいつも一人なんだけど……。寂しいよね。
……もうちょっとオープンに行ってみるか。
積極的に行動してみるのもいいかもしれない。
「今なにしてる……?っと」
数分後、返信がきた。
『オフ会をしております! どうかしましたか?』
「楽しそうだから、私も行っていい、かな」
打っているうちにやっぱりやめとこうとも思った。
だって、急に押しかけたら迷惑だからさ。
「……まあ、ままだ」
送信。
すぐに既読がついた。
『構いませんよ! 私たちがいるところは……』
電車に乗り、言われた場所に向かう。
カラオケ内に入り、お金を払って友達がいるからそこにいくと言っておく。
そして、美咲ちゃんたちがいる部屋の前に立っていた。
思わず、立ち止まってしまう。
迷惑かな……? なんて思ってしまった。
だって、私はギルドメンバーじゃないから。ギルドメンバーで楽しんでるところに部外者がのこのこ入っていくのは申し訳ない。
それに、ミキが許可したとしても他の人は迷惑じゃないだろうか。
「なにしてるんですか?」
「うっひゃあ!」
背後から声をかけられたので振り返ると珠洲ちゃんがいた。
「い、いや、なにも……」
「入るなら入っていいですよ? ミキが喜びます」
「え、えっと、他の人には迷惑じゃないかな」
「女優さんがいて迷惑って思う人はいませんよ。さ、いきましょう」
と押されて部屋の中に入る。
みんなの視線が私に向かう。こ、こういう時に言う言葉は……。
「お、お邪魔します」
ぺこりと一礼し、美咲ちゃんの隣に向かっていった。
真野ちゃんだって悩みはあるのです。




