精霊王サバイバー ④
ガガトツさんと一緒に行動していたら誰も近づいてこなくなった。
「いや、そうだろうと思ったよ!? だってこの二人って合わせちゃだめだもん! 誰も近づいてこなくなるって! ガガトツさんは有名ギルドの長だし顔が知られてるしね!?」
そうなんだよ。私たちのギルドはまだ知られ始めているってところだけどガガトツさんのギルドは有名になっていた。
だから私の顔を知らないで近づいてくる人はいるけどガガトツさんはいない。
それが私の隣にいたら……そりゃあ、もう近づかないわ。
「しょうがねえ! こっちから狩りに行くか!」
「そうですね」
「ダメだ……これから虐殺が始まるような予感がするぞ……」
いやいや、近づいてこないならこちらから近づくまでよ。
「狩りがいのあるやつこねえかな!」
「いや、あんたたちに狩りがいがあるのって王だけじゃないの……」
そんなわけはない。私だって急接近されて攻撃されたら詰む!
「っと、まずは先手私ね!」
私は火の魔法を放ち、背後にいたプレイヤーをキルした。
「すっげえ。俺存在に気づかなかったぜ!」
「ちょびっとばかし音が聞こえたもんで」
「すげえな! 俺も負けてられねえぜ!」
ガガトツさんは地面をえぐり、そして投げつけた。
二人一組だからもう一人いるだろうな。ということは……やられたか。この場合ってどうなるだろう。二人倒して一人だからこれは痛み分け?
「うーむ。違うチームが片方倒したらポイントになんねえのか」
「みたいですね。では先手キルしたほうがもう片方もキルするっていうことで」
と、ちょっと疑問が浮かんできた。
「そういえばガガトツさん一人ですけど相方は?」
「ん? あ、そういえばいねえな……」
おい! はぐれたのかよ! 可哀想だよ。その人キルされてないといいんだけど……。
「そんなことは気にせず狩ろうぜ! イベント上位に食い込んでやるぜ!」
「報酬あると思うし頑張ろう」
「一人はぐれてるのにそんなことですませられるんだ……」
チリンが何か言ってるが気にしない。
夜更けがきた。
まだ深夜を回っておらず結構な数を蹂躙していたためにプレイヤーもあまりみなくなった。一日目はこれで終わりかな? 生き残ってる人はいるだろうけど……。
「あ、やっと見つけたががとっさーーん!」
「おう。やっときやがったか」
「きやがったじゃねえよ! あんたが先に行くから……って精霊王!?」
どうやらこの人は私を知っているようだ。
「敵意はない。構えるな」
「だけどよ……」
「女に手を上げるな。わかったか?」
「……うす」
ガガトツさんって男らしいよなあ。なんて思ったり。
「すまねえな。こいつはうちのサブマスのケイだ」
「うっす。ケイです」
なかなかいい人そうだなあ。ガガトツさんのギルドっていい人しかいなさそうだ。
「私はミキ。こっちがチリンで……」
「しっ。誰か来るぞ」
自己紹介しようとしたところを止められた。
たしかに草むらからがさごそと音がする。なんだろう。そう思った瞬間だった。
「あぶねえ!」
攻撃が飛んできた。




