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子育て勇者と魔王の子供  作者: マオ
25/117

子育て勇者と魔王の子供・25

 オーラが加わって初めての夜。

 嵐が来た。

 ユーヤの目の前で、仁王立ちする女性二人。

「……なにがどうしてこうなってるんだろう?」

 呟いたユーヤに、イリックとイリアが頷いた。

「にーちゃん、やっぱすげー」

「おにーさんはそのままでいてください。わたしがおおきくなるまで」

「??」

 双子の言っていることの意味がよく分からない。

 首をかしげながら、前方を見る。にらみ合う女性二人の間で、ぽちが「伏せ」のままだ。シヴィーラの魔力にやられている。

 対しているオーラは怯んでいない。淫魔の魔力と言うのは、同じ女性には効果がないのだろうか。

「うふふふ、どちら様でしょうこちらの年増は?」

「あら、あなたこそどこから湧いて出たの小娘?」

 

 怖い。


「……あー、あの」

 割って入ろうとしたユーヤの袖を、イリアが引いた。

「ん? どうしたんだい、イリア」

「おにーさん、わたしきゅうにのどがかわきました!」

「あ! おれもそんなきがする!! うん、どんどんのどかわいてきた!!」

「え? ああ、じゃあ水筒から水を」

 と、手に取った水筒が、ヤケに軽い。つい夕方に水を入れたばかりで、まだ誰も飲んでいないはずだ。

 フタを開けると、空になっていた。

「あれ? いっぱいになるまで入れたのになぁ」

「ふしぎですね。でも、のどがかわきました! というわけでかわにいきましょうおにーさん!」

「ふしぎだな!! でも、のどかわいた!! だから、にーちゃんいこーぜ!!」

 双子にぐいぐいと引っ張られる。オーラとシヴィーラが心配だが、子供を放っておくわけにもいかない。

「ぽちー、彼女らのこと止めといてくれな? 俺、二人に水を飲ませてくるからー」

「我輩を殺す気か貴様ー!!」

 ぽちの絶叫は、唸る風にかき消された。多分、イリックだろう。


 ……戻ってくると、何故か三者とも、土まみれになっていた。

「?? どうしたんだ、皆?」

 ユーヤの言葉に、

「いいえ、なんでもないのよおほほほほ」

 シヴィーラが引きつって笑い、

「なんでもないですから、ユーヤさんはお気になさらず。さすがね……子供とはいえ魔王の血筋……」

 オーラが何かを呟き、

「……」

 ぽちは気絶していた。

「? まぁいいや。水浴びでもしてくるといいよ。近くに川があるし。ああ、オーラ、せっかくだし、イリアも一緒に連れて行ってあげてくれないか?」

「……」

「……」

 オーラはしばらくイリアを眺め、イリアも同じようにオーラを眺め、ちびっ子はふん、と、息を吐き出した。

「しかたありません。せんぽくらいゆずってあげてもいいですよ、おねえさん」

「うふふふふ、そうね。女同士の話もいいかもしれませんね……」

 なんだかよく分からないが、背筋がぞわっとしたユーヤは、思わず周囲を見回した。

 ……魔物の敵意は感じない。何故ぞっとしたのだろう。

「おほほ、じゃあ、あなたは私が洗ってあげ」

 何か言いかけたシヴィーラが、突然風に乗って消えた。

「? 今シヴィーラさん、何か言いかけてなかったか?」

「ううん。べつにー」

 イリックに言われ、気のせいだったかと思い直す。

「じゃ、俺、メシの支度しとくよ。オーラ、イリアのこと頼むな」

「ええ。さ、イリアちゃん、行きましょうか。じぃっくりお話しましょうねぇ」

「かぜをひいたらいやですから、すぐかえってきます」

「イリア、がんばれー」

「イリックもがんばってください。おばあさんがもどってきたらようしゃしなくていいですよ」

「おっけー!」

 双子の会話に首をかしげながら、ユーヤは荷物から鍋を取り出した。旅の人数が増えたので、ご飯の支度も大変だ。まぁ、子供たちもオーラも手伝ってくれるだろう。

賢者の卵少女ぶいえす淫魔の美熟女! ……えーっと……なんだこのはーれむふらぐ(笑)

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