表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
子育て勇者と魔王の子供  作者: マオ
22/117

子育て勇者と魔王の子供・22

 懲りたのか、シヴィーラはしばらく訪れなかった。

 王都までの道のりは、至極順調のはずだった。

 途中、昔の仲間に再会するまでは。


 雷鳴が聞こえる気がする。空は晴天なのに、何故だろう。

「……」

 訪れた街で、たまたま見かけた後姿に、おお、久しぶり、と、声をかけ、向こうもパッと笑顔になったのに、一瞬後には険しい表情になった。

 何故だ。

 一言も喋らず、ユーヤの脇に視線を向けている。

 そこにいるのは、双子だ。

「……そちらのお子さんは、どなた?」

 にこにこしている、賢者の卵。

 かつて少し旅をした少女が、どうしてか不穏に笑っている。

「え? ああ、この子等は……ちょっと事情があって、預かった」

「預かった……?」

「うん」

 頷くと、少女・オーラはほっとしたように表情を変えた。

「……そうだったの……わたし、てっきり、ユーヤさんの隠し子かと」

「待て待て待てぇええ!!」

 思い切り誤解されていたと理解し、ユーヤは思わず声を上げた。

「俺の年でこんな大きな子供がいるわけないだろ!?」

「だって、田舎の人って結婚が早いって聞くし。ユーヤさん、田舎育ちでしょ? 現地妻とかいたのかしら、不潔、と思って」

「いない!! 隠し子も現地妻もいないっ!!」

 全力で否定していたら、袖を引かれた。

「おにーさん、このおねえさん、だれですか?」

「だれ? にーちゃんのかのじょ?」

 イリアはユーヤの腕にしがみつくようにしており、イリックも警戒している。

「あ、この子は、ほら、前話した昔の旅仲間。賢者を目指してる子だよ。俺の持ってる無限袋を作った子」

「ふーん」

「ふーん」

 綺麗に声が重なった。何故、不機嫌なのか。


 オーラは双子の存在にいぶかしげな顔になる。

「ユーヤさん、魔王と戦っているのでしょ? 子供を預かる余裕なんてあるの?」

「う」

 その魔王に頼まれました。育児。

「にーちゃんはとーちゃんからおれたちのよういくひもらってるんだ! だからそだてなきゃだめなんだぞ! そだてないと、よういくひどろぼーだ!」

「そうです。おにーさんはわたしとイリックのほごしゃです。よゆうなくてもそだてなきゃいけないのです」

「……ユーヤさん?」

 子供たちの言葉に、オーラは真顔になった。

「お金受け取っちゃったんですか!? この子達の父親から!!」

「え、いや、あー、そう、かな?」

「無責任な!! 子育てなんて無理でしょ!? 独身生活長くて彼女もできたためしないって言ってたユーヤさんができるわけないじゃない!!」


 ゆうしゃにくりてぃかるひっと!(精神に)


「……どうせ俺は彼女いない歴と年齢が一緒だよ……」

 呟き、ため息をつく。

「できるできない以前に、やらなきゃいけなくてね。だから、この子らを他に預けることもできないんだ」

「……何があったんですか?」

 ユーヤの様子に、さすがに変だと思ったのか、オーラは真顔になった。


新キャラ、賢者の卵(?)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ