子育て勇者と魔王の子供・22
懲りたのか、シヴィーラはしばらく訪れなかった。
王都までの道のりは、至極順調のはずだった。
途中、昔の仲間に再会するまでは。
雷鳴が聞こえる気がする。空は晴天なのに、何故だろう。
「……」
訪れた街で、たまたま見かけた後姿に、おお、久しぶり、と、声をかけ、向こうもパッと笑顔になったのに、一瞬後には険しい表情になった。
何故だ。
一言も喋らず、ユーヤの脇に視線を向けている。
そこにいるのは、双子だ。
「……そちらのお子さんは、どなた?」
にこにこしている、賢者の卵。
かつて少し旅をした少女が、どうしてか不穏に笑っている。
「え? ああ、この子等は……ちょっと事情があって、預かった」
「預かった……?」
「うん」
頷くと、少女・オーラはほっとしたように表情を変えた。
「……そうだったの……わたし、てっきり、ユーヤさんの隠し子かと」
「待て待て待てぇええ!!」
思い切り誤解されていたと理解し、ユーヤは思わず声を上げた。
「俺の年でこんな大きな子供がいるわけないだろ!?」
「だって、田舎の人って結婚が早いって聞くし。ユーヤさん、田舎育ちでしょ? 現地妻とかいたのかしら、不潔、と思って」
「いない!! 隠し子も現地妻もいないっ!!」
全力で否定していたら、袖を引かれた。
「おにーさん、このおねえさん、だれですか?」
「だれ? にーちゃんのかのじょ?」
イリアはユーヤの腕にしがみつくようにしており、イリックも警戒している。
「あ、この子は、ほら、前話した昔の旅仲間。賢者を目指してる子だよ。俺の持ってる無限袋を作った子」
「ふーん」
「ふーん」
綺麗に声が重なった。何故、不機嫌なのか。
オーラは双子の存在にいぶかしげな顔になる。
「ユーヤさん、魔王と戦っているのでしょ? 子供を預かる余裕なんてあるの?」
「う」
その魔王に頼まれました。育児。
「にーちゃんはとーちゃんからおれたちのよういくひもらってるんだ! だからそだてなきゃだめなんだぞ! そだてないと、よういくひどろぼーだ!」
「そうです。おにーさんはわたしとイリックのほごしゃです。よゆうなくてもそだてなきゃいけないのです」
「……ユーヤさん?」
子供たちの言葉に、オーラは真顔になった。
「お金受け取っちゃったんですか!? この子達の父親から!!」
「え、いや、あー、そう、かな?」
「無責任な!! 子育てなんて無理でしょ!? 独身生活長くて彼女もできたためしないって言ってたユーヤさんができるわけないじゃない!!」
ゆうしゃにくりてぃかるひっと!(精神に)
「……どうせ俺は彼女いない歴と年齢が一緒だよ……」
呟き、ため息をつく。
「できるできない以前に、やらなきゃいけなくてね。だから、この子らを他に預けることもできないんだ」
「……何があったんですか?」
ユーヤの様子に、さすがに変だと思ったのか、オーラは真顔になった。
新キャラ、賢者の卵(?)




