子育て勇者と魔王の子供・21
翌朝、イリックに美熟女を解凍してもらう。
彼女はちょっと焦げながら、双子の冷たい視線に愛想笑いを浮かべ、ユーヤを見、ウィンクして消えた。
……あまり深く考えたくないので、そのまま双子と朝食を食べて、宿を出た。
ぽちと合流し、王都を目指す。
お宝を換金し、王に報告するために。
が、その前に。
「……ぽち、一つ聞きたい」
「ぬ? 貴様が我輩に? ふははは、頭を地面に擦りつけ、お願いしますと頼み込めば考えてやらんこともな」
爆炎に吹き飛ばされ、軽やかに宙を飛ぶぽちが落ちてくるまで待って、ユーヤはしゃがみこんだ。頭を地面にこすり付けるのはともかく、聞くのはこちらなので頼み込む。
「お願いします。あー、シヴィーラさんってどういう魔物なんだ?」
「うぐ……あやつは……サキュバスである……」
ケイレンしながらぽちは答える。
「サキュバス?」
「淫魔というやつだ……男をたぶらかす……」
「は」
ユーヤは瞬きした。教育お姉さんのような印象だった彼女が、そんな魔物。
「千三百歳だからな、たぶらかした男は数知れず、国を滅ぼしたこともあるとかなんとか」
喋っているうちにぽちは立ち上がった。相変わらず回復が早い。
「はー……淫魔……」
「おにーさん、おばあさんにきょうみもっちゃだめです」
「へ?」
イリアが袖を引っ張ってきた。
「たべられちゃいます」
心配してくれているのだろうか。ユーヤは笑顔になった。
「大丈夫だよ。最近ほら、シヴィーラさんは俺が寝ている間に来ているようだから、何か魔法でも使っているのかと思って。彼女がどんな魔物なのか分かれば対策も立てられるかもしれないだろ?」
「だいじょーぶだ、にーちゃん!」
イリックが声を上げる。
「おれとイリアがにーちゃんをばーちゃんからまもってやるからな!」
「はい。わたしとイリックでおにーさんをまもってあげます」
イリアも頷いている。
シヴィーラに警戒心最大の双子に苦笑して頭を撫でてやりながら、ユーヤは考える。
たびたび魔物に寝込みを襲われるのは、困る。
対応策を考えなくてはならない。
まず、シヴィーラの来襲を感じ取れるようにならなくては。
ふらぐを叩き折り始めてます(笑)




