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第139章 雛祭り『大』人形武闘会   139-1 大は小を兼ねる……のか?

 俺は、いつものリビングで胡坐をかいたまま沈思黙考していた。

 ちょっと御釈迦様っぽい感じのポーズで。


 いや、なに。

 別にそうたいした理由ではない。

 今年の雛祭りをどうしようかなと思って思案中なだけだ。


 何しろ、最近ではオニダムのようなライバルまで登場してきたのだ。

 ここは園長先生として、意地にかけても新しく何かをやりたいところだ。

 そして、ついに腹を決めた。


「やっぱり、ここは巨大ロボの出番だよな!」


「なあに、あなた。

 藪から棒に」


 俺は宙に浮かんで瞑想していたので、傍でソファに座って御茶を飲んでいたシルが声をかけてきた。


 俺は「よいしょっ」という感じで、空中に作ったシールドの座面から降り立った。

 わざわざ魔法で円座状にシールドを作って、その上に座布団を敷いて座っていたのだ。

 レビテーションなんていう芸の無い代物は、こういう時に趣が無さ過ぎるから好きじゃあないんだよ。

 そんな事は地球にだってやれる人はいる。


「何を言うか。

 昭和の時代に生まれた男の子にとって、巨大ロボこそは憧れの的なんだぞ」


「うーん、よくわからないわ」


 まあ無理もない。

 シルはまだ若い上に、日本でのロボット【テレビまんが】ブームを知らないのだ。


 いつの頃からだろう。

 漫画というものがコミックなんて呼ばれ、「テレビまんが」というものがアニメーションなどというバテレンの言葉で呼ばれるようになってしまったのは。


 まあテレビだってテレビジョンという南蛮人の言葉の略称なのだが。

 あれはまあ、世界で初めてテレビ送受信実験に成功したという我が祖国日本の誉れに免じて、名誉日本語扱いにしてある。


 初めて、そのアニメーションという呼び方を知った時には「え、いつの間に? どこの馬鹿がそんな事を言いだしやがった」と驚愕したものだった。


 これが太平洋戦争の戦時中であったのであれば、その名前を勝手に使い始めた下手人は「敵国の言葉を使った」という事で特高警察の連中がやってきて、まるで時代劇に登場する番所における拷問みたいな凄まじい責め苦にあったのに違いない。


 俺の心の中では、今でもアニメなんていうものは「テレビまんが」なのだ。

 一応、対外的には「アニメ」と呼んでいるが。


 トーヤ達には、わざわざ「これが、日本のテレビまんがというものだ」と教えておいたのに、自分で勝手に調べてアニメと言うようになってしまった。

 まったく可愛くないぜ。

 俺よりも情報通だからな、あいつらは。


「じゃあ、シル。

 俺はしばらくロボ作りに励むから」


「はいはい」


 そして俺は早速リビングの壁に貼り付けられたアトリエに引き籠る。

 そこの中にもインターホンはついているから、御飯の時間になったら呼んでもらえるんだし。


 頼めばサンドイッチやオニギリなんかもすぐに届くのだ。

 ここはビール目当てで厨房のすぐ傍に(しつら)えた俺のリビングの壁に張り付けられている拡張空間なんだからな。


「さあて、何から行くかな。

 普通の巨大ゴーレムを作るわけじゃない。

 ヒナダム・ジャイアントを作るわけなのだから、各種様々な巨大パーツを作らないとな。

 まあ最初は基本的な操縦システムから作ってみるか」


 一口に巨大ロボと言っても、外からリモートコントロールするもの、自立型、乗り込んで操縦するものと各種あるわけなのだが、ここは搭乗型一本だろう。


 巨大ロボットなんて物は乗り込んでこそ憧れの的なのだ。

 そして、まずは搭乗者を守るための頑丈なコアから作ることにした。

 それに操縦システムが取り付けられているのだ。

 今回はオニダムのように操縦者の資質も反映しよう。


 要するに、操縦者の体の動きやセンスなんかが反映されるのだ。

 ただの力馬鹿が勝つわけじゃない。

 さすがにオニダムみたいなのはアカン。


 敏捷で比較的小器用なケモチビ達にはピッタリのシステムなのだ。

 あとサイラスのテキーラ姫なんかは強いかもしれないな。


 ただし、こいつは図体がでかいので、御部屋の中で遊ぶわけにはいかないから専用の格闘場を必要とする。

 これも拡張空間を作成して、スキー場みたいに、また幼稚園の壁にでも設置してみるか。


 コクピット・コアは強い形である球形にした。

 宇宙へ打ち上げる衛星などは機能性を重視しているせいか、強度のある球体をした物は無いんだなあ。

 打ち上げには燃料を食うから重量の制限もあるし。


 高圧の超深海へ行く昔のバチスカーフみたいな物は球体だったが。

 某有名宇宙SFシリーズだと、そういう理由で球体型の宇宙船を採用しているのだ。


 そういや、俺も精霊衛星とかは球体にはしていなかった。

 精霊を中に突っ込んでおくのにちょうどいい形を採用したんだよな。

 あれは上部を切り取った、尖っていない緩い感じの円錐台みたいな形だった。

 なんていうか、床に置いて上蓋をパカっと開けて、精霊をホイっと中に入れてやる感じで。

 一応は強度の確保のために丸みを持たせたので、必然的に円錐形のような形になった。


 当然、そのヒナダム用のコクピット・コアの材質はベスマギル製だ。

 アドミンの野郎を捕まえた時に凄まじいMPになったので、余剰魔力はいつもベスマギル製作に回しているから在庫量は十分以上にある。


 一応、これには偽装したオリハルコンを被せておき、完璧な隠蔽を施しておく。

 バレちゃあいけない秘密の魔法金属なんだからな。

 その狼藉が一番バレちゃいけない相手がミハエルなのだが。


 あと親方達にバレても煩い事になる。

 こいつは対外的に出せない物だからな。


 最近、あまり魔力を使いまくるような展開もないし、もっぱら将来を見越して魔力消費はベスマギル製造に極振りしている。

 アルフォンス商会で販売するような物品は大量に作っているのだが、それで魔力を馬鹿食いする事はないからな。

 なんたって魔法金属類の生成が一番魔力を食うのだ。


 コクピット・コアの中には、子供が立っていられて十分に動けるスペースを作っておいた。

 両手両足にケーブルで繋いだバンドを嵌めてシステムを動かすのだ。


 一応は大人用も作っておくか。

 絶対に入用になるはずだ。


 思考制御にする事も可能なのだが、それでは面白くあるまい。

 あくまで体を動かして遊ぶのがいいところなのだ。

 だって、こいつは基本的に幼稚園児や小学校低学年の子供を遊ばせる物なんだからな。


 とりあえずはラジコン操縦機の多チャンネルみたいな感じにして、ヒナダムの制御ができるようにしておく。


 そして試験的に作った試作システムを自分の体に装着してみた。

 それっ!


「赤上げて。

 白上げないで、白下げて。

 あれ? 間違えた~」


「ぷぷっ。

 おいちゃん、相変わらず不器用だなあ。

 ちょっとファルに貸して」


「ちっ。

 なんだファル、見てたのかよ。

 じゃあ、やってみな」


 神の子の御手並み拝見といったところか。

 そういや、ヒナダムの操縦は大の得意なんだっけ。


 そして神の子は激しくビートに乗った動きを見せた。

 まるで旗振りゴーゴーダンスだ!


 ヒナダムは超速早送りのような動きでバタバタと踊りまくっていたが、やがて煙を吹いて「ボンっ」と音を立てて、プスプスいって動かなくなった。


「ありゃあ」


「あはは。

 お前の分は、スーパークロックアップ対応にしないと無理だなあ」


 そもそも、その仕様でファルと対戦出来るような相手がいるかな。

 子供の部じゃ無理じゃないかな。


 ファルを相手に出来るのは、ドワーフや王国騎士団長、そして後はあの王妃様くらいなものか?

 人間じゃないが、アレクなんかも結構いけそうだな。


 それだと、ほぼオニダムの再来になっちまうから無しだな。

 さすがに、あれは酷い催しだった。


 国王陛下とミハエルに言って、関係ない人達まで死屍累々だった事を理由にオニダムは廃止にしてもらってある。

 もっとも、うちの御義母様がなんていうか知らんがね。

 案外と来年も王妃権限で普通に開催されていたりしてな。


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[一言] 「中には子供が立っていられて、十分に動けるスペースを作っておいた。  両手両足にケーブルで繋いだバンドを嵌めてシステムを動かすのだ。」 ジャンボーグエースかっ!
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