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131-30 エンドロール

 そして、エンドロールにはキャスト紹介が流れていた。

 登場人物の写真と共に。

 人化している魔物の場合は、人間形態と魔物形態の両方の姿が出る。


トーヤ:トーヤ・フォン・アイアンハート。

 異世界アスベータ・エルドア王国王子。

 エルドア王国・最年少国家特級技師。

 狐獣人。


エディ:エディ・フォン・アイアンハート。

 異世界アスベータ・エルドア王国王子。

 エルドア王国・最年少国家特級技師。

 狐獣人。


ハンニバル:ハンニバル・フォン・アイアンハート。

 異世界アスベータ・エルドア王国国王。

 ドワーフ族。


アニキ:ルンビニー・フォン・アイアンハート。

 異世界アスベータ・エルドア王国王太子。

 ドワーフ族。


 アニキってば、そんな名前だったのかよ。

 今初めて知ったぜ。

 いつもアニキとしか呼んでいないからな。


 これまた微妙なネーミングだな。

 もしかして、ハンニバルから象、そして象のルンビニーなのか⁉

 これも元ネタは絶対に武だな。


 それにしても、完全にエンドロールの先頭をアイアンハート家に乗っ取られているじゃないか。

 普通はサミーとマリエッタが先に出るもんだろうが。


 そういや、何故か親方一家で女将さんだけが出ていないな。

 さては男衆が遊び惚けている間は『政務』に邁進していたのに違いない。

 それもいつもの事っちゃあ、いつもの事なのだが。

 まあ最近はトーヤとエディが結構頑張ってくれているからな。 


 みんな、エルドア王国の正装の写真で登場しているなあ。

 確かに肩書だけを見ると物凄い面子ではあるのだが。



マリエッタ:ジョゼフィーヌ・アスターシア・ハンボルト。


 まあ、こいつは有名人だから説明不要なのかもしれない。

 ハンボルト家の人間の紹介に、あまり変な事を書いてもなんだし。

 そもそも、この映画自体がハンボルト家主宰というか『ハンボルト家御誕生日パーティ』なのだ。

 こいつ自身が主賓なのだし。


ロイネス:精霊カーバンクル 精霊の森・レインボーファルス侍従長。


 はあ? なんだ、そりゃあ。

 どういう意味だ。

 あいつが、実は只の残念精霊じゃなかったのだと⁉


 そういや、いつもファルにべったりだなとは思っていたけど。

 こいつも精霊の森から派遣されてきていたのか。

 迂闊にも、まったく気が付いていなかったぜ。

 こいつって、いつの間にかケモミミ園に居たし。


 そういや、何故かファルが出ていないなあ。

 精霊のロイネスまで出ているくせに。

 あの子って、こういう事は大好きだと思うんだけど。


 ファルは神の子なのでハンボルト家の方で気を使っているのだろうか。

 そういやファルに会わせてくれっていう奴らが煩くて、地球におけるその手の不敬な奴らはハンボルト家が抑えてくれていたのだった。


 映画に出すと、またそういう連中が増えそうだしなあ。

 その度に俺が出張るのも面倒だし、まあこれでいいのか。



魔王の手下その3:ハンニバル・ワンダーキャット・ハンボルト


 ああっ!

 ワンダーキャットの御兄ちゃんってば作中での名前も無かったのかあ。

 この映画のスポンサー一族の長男で、ゆくゆくはグループの後継ぎになる男なんだろうに。

 せめて魔王の手下その1くらいにしてやれよ!


魔女サミー:ヘルメス・サンダーキャット・ハンボルト。


 ここも説明不要だよなあ。


ベルーナ:ベルーナ・フランチェスカ・レイトン


 ベルーナ、ミドルネームが全然似合っていないよ。

 親の期待を大幅に裏切ったね。

 こいつもジョゼの家に準ずるレベルの家の人間なんだろうに。


 そういやこの面子でやっているのに、何故か友人枠である織原達が出ていないな。

 もっとも、あの子達は普通に日本の学校があるから時間の融通が利かないし、織原もあの子とデートしていたいだろうからな。

 織原なんか迂闊な事をやっていると、また出席日数が不足しそうだ。

 映画の撮影は時間がかかるし。


 ハンボルト家やレイトン家のように、無茶なゴリ押しを利かせられるわけじゃない。

 あいつの家だって地方じゃ名家なんだろうが、日本の学校は御堅い。

 そうでなかったら、今頃あいつも一年坊主はやっていないだろう。



帝王アレク:帝王アレキサンダー。

 レイトン家格闘ウサギ総長。


 あの子、そんな肩書だったのか。

 写真がまた可愛すぎる。

 これはきっとベルーナが撮った写真だな。


 動物は飼い主が愛情を込めて写すと、とんでもなく凄い写真に仕上がったりする事もある。

 動物の方が愛情に応えるからだ。

 撮影の時に飼い主の言う事を聞かないような奴もいっぱいいるんだけど。


 続く四天王も、それぞれ可愛く映っている。


ミッドナイト:レイトン家ハイラビット四天王その1


スペイド:レイトン家ハイラビット四天王その2


ゴールド:レイトン家ハイラビット四天王その3


チーフ:レイトン家ハイラビット四天王その4


バルドス:白銀竜バルドス。

エンシェントドラゴン五千歳。


 映画のエンドロールで年齢とか種族名が載るキャストも珍しいよな。

 ハリウッド映画史上初の快挙なんじゃね?

 動物映画なんかのキャストってどうだったんだろうなあ。

 そもそも人間以外の魔物っていうところがな。


ジェニー:ドラゴンハーフ九歳。


 そういや、この子は元々ハリウッドから出演依頼がきていたりしたのだった。

 すっかり忘れていたぜ。

 あの頃は地球にも戻れなかったしなあ。

 ほんのチョイ役なのにエンドロールに名前が載るんだ。

 まあ爺馬鹿竜と一緒に出ていたんだから、さもありなん。


教授:ニール・J・ハンプソン

アレックス:ジョセフ・F・ワイルダー


 もうこのあたりの人材は、エンドロールでこんなところにいるような名前じゃないんだが。

 教授も役職だけで、作中の名前がないじゃないか。

 ジョセフの奴もアレックスという名前だけだし。

 なんて適当な!


 この二人だって、いつも出ている映画なら主役として先頭に名前が出ているはずなのだ。

 それすらも彼らにとっては御楽しみなのだろうな。

 何しろ異世界のドワーフ王だのドラゴンなどと一緒にエンドロールに名を連ねるなんていう体験は、いくら彼らだって中々出来ないだろうからなあ。


 その後もモブ兵士達の名前がズラリと並んでいるが、どいつもこいつも並みの映画なら主役級の超有名俳優ばかりだ。


 それが皆、名も無き『モブ兵士1』とかになっている。

 普通のハリウッド映画なら、そういう人の名前だってエンドロールに出るよな。

 映画のエンディングなんて何分も延々とやるんだから。

 まるで日本のアニメのエンディングのキャスト紹介みたいに適当だ。


 ありえない。

 ハンボルトの連中、やっぱり頭のネジが飛んでいるわ。

 娘の誕生日祝いのためだけに、これだけの大スターの群れを集めやがった。


 確かに大富豪の家のパーティではありがちな事なんだろうが、まさかとびきりの映画スターばかりを集めて、莫大な出演料を払って映画の中でそいつをやるなんて。

 一体予算は何億ドルなんだよ。


 まあ、そのキャスト全員が母親の仕事仲間みたいなものだといえば、もうそれまでなのだが。

 スターの中に息子も一人混じっているし。


 映画のセットや出演魔物などは俺が提供してあるから一切無料なので、全力で人件費に予算を極振りしやがったしな。


 ハリウッドの大映画会社でさえ、こんな馬鹿な真似はそうそう出来ないだろう。

 いや、ここまでは絶対に無理だ。

 そもそも、そいつらだけじゃ異世界まで行けないだろう。


 そしてエンドロールが終わり、最後に舞台はハンボルト家の広いというか、既に完全にホールと化しているリビングへと移った。

 クリスマスの飾りつけをされている巨大なクリスマスツリーも飾られていた。


 ツリーには、メガロトンボや巨大なタガメも飾られていて、犬達が軽く唸りながらその周りをうろうろしている。

 あれらはちょっと昆虫臭いというか魔物臭いというか。

 犬なら気になるわなあ。


 おそらくはセキュリティの関係から、ハンボルト家の家の中の様子が映像で出されるなどは史上初の出来事なのだろう。

 顔馴染みであるハンボルト家警備担当者の頬が引き攣っていそうだ。

 まあハンボルト家の屋敷へ殴り込みをかけに行くような馬鹿もそうそういまいがなあ。

 そんな真似をしたら、組織ごと地球の歴史から消え失せるわ。


 ジョゼもドレスで着飾り、可愛らしいプリティドッグの子犬をたくさん抱えて笑顔で礼をする。


 ジョゼママと一緒に、なんとあの多忙を極めるハンボルト家の当主までもが出演している。

 死ぬほど忙しいはずなのだが、娘の誕生日を家族と一緒に祝いたかったのだろう。

 あるいはそうさせるためだけに、ジョゼママがこの映画を企画したのかもしれない。


 彼らの後ろでは、ちゃっかりとジョニーの奴がママと並んで帽子を脱いで一礼している。

 なぜか、帽子を胸に当て妙にポーズの決まるジョニーのウインクがアップしたところでFINの文字が躍った。


 エンドロールに名前がなく、映画に出演してもいないくせに、最後はこの連中がフィニッシュを決めるんだな。

 さすがは犬狂いのハンボルト家だけの事はある。


 きっと「あいつは一体誰なんだ」と世間を大いに騒がせたくて、ジョゼママが悪戯しているのに違いない。


 まあ地球ではこいつらプリティドッグこそが、このドッグハウスの主役といえない事もないのだが!


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