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8-3 セーフハウス

 とりあえずロゴスのところへ行って、家の話を進めた。

 フードコートの話もしてもらっているので、まとめての商談だ。

 丁度いい物件があるというので一緒に見にいった。


 こいつは元工房の建物か。

 工房だけあって頑丈そうな造りだ。

 かなりボロいけれど、広い部屋や中くらいの部屋がたくさんある。

 食堂も広めのいい物がついているし、これなら悪くない。


 これでいいや。

 建物がもう古いので安かったし。

 基礎が些か心許ないが、この世界じゃ大体こんなものだろう。

 建物だけで金貨五枚だった。


 さっそく買った家をアイテムボックスに収容した。

 最近はこういう買い物専用の腕輪型アイテムボックスを使っている。

 自前の奴には、日本から持ってきた物や人に見せられないような物を仕舞ってあるので。


 早速家を持って帰り、腕輪型アイテムボックスの内部で再生した。

 そいつをまたコピーする。

 最近は、こういう魔法PCの機能を越えた派生的な芸当も上手くなった。


 まず建設用地にて整地から作業を始める。

 ここいらは街端(まちはず)れなので、あまり丁寧に整地されていないのだ。

 ちょっとぼこぼこしていて、大きめの石なんかもある。

 俺も最近は土魔法の使い方が大分うまくなった。


 これも魔物と戦う時には補助的な使い方が多いのだが、土木作業に使えるため土魔法の使い手はひっぱりだこだ。

 回復魔法と並び、安全に稼げる魔法なのだ。


 建てる場所はもう例の工房の辺り、子供達が今いるところだ。

 代官に頼んで土地は自由に使わせてもらえるようにしてある。

 はっきり言って、もうそこが街なのか街の外なのかもよくわからないような場所だった。


 日本ほど登記がはっきりしていないようだ。

 王都のように壁の中ならともかく、こういうアドロスのような場所では建物がある場所の範囲が街になっている感じなので。


 地中にまで魔力をよく通して、地下で揉み込むようにして土を滑らかに均一な質で固くしてみた。

 土地を家の基礎の形に整合させて強固にしてから、家をどんと据えるようにした。

 基礎まで加工してガッチリと作る。

 この辺は地震が無いらしいから助かる。


 周りの地面も強固に固めてみた。

 一応、水掃けにも気を使っておく。


 作業の見学をさせておいた子供達が呆然として見ている。

 今まで魔法なんて見た事がないのだろう。

 特に獣人は持っている魔力を自動的に身体強化や膂力などに回してしまうので、自分では魔法を使えないそうだから尚更だ。


 更には回りに塀を盛り上げていく。

 これは土魔法で魔力から物質生成しているので、回りの土地に穴が開いたりしない。


 土魔法で作る場合は、出来るものは土・岩・鉱物質のものだ。

 風魔法なら空気、水魔法なら水と作れるものは決まっている。

 この手の素材作りなら土魔法だ。

 土・岩はその成分に物凄い数の化合物や元素や含んでいる。


 逆に回りに堀とかを作りたい時は周りの土を素材に使えばいいわけで。

 物質生成を伴う土魔法は余りにも魔力を食うので通常は使用されない。

 それでも強力な土魔法の使い手は限られるので人気の商売だ。


 帝国のAランク試験なんかでも破壊された会場を裏方として直してくれていたみたいだしな。

 あれって気が付くといつのまにか修理してくれてあるんだよな。

 いい仕事してはる。


 そして建物の据え付けが頑丈に出来たか確認してみる。

 まあ、この俺が揺すって動かないようなら問題はあるまい。

 建物にはたっぷりと強化もかけておいた。

 周囲の地盤にも。


 そして建築確認作業が終了してから子供達に向かって言った。


「これがお前らのためのセーフハウスというものだ。

 ここはお前らがいていい場所だ。

 別に、ここにいてもいなくてもいい。

 好きな時にくればいいし、あるいはずっといてもいい。

 そんな、お前らのためだけにある場所だ。

 御飯くらいは出してやる」


 子供達は最初はポカンとしていたが、大きい子は何が起きているのか理解したようで、すぐに駆け出した。

 そして少し遅れて小さい子達がその後に続く。


 一歳のおチビさんがよく理解出来ていなくて一人だけ取り残されてしまっていたので、俺が抱き上げて連れていこうとすると、差し出した腕をスルリっとすり抜けて、御仲間を追って走り出していった。


 やれやれ。

 まあいいか。


 子供達はあっという間にセーフハウスに馴染んだ。

 そして、あちこちを探検しまくりだった。


 俺は各方面で入手しておいたものを色々と並べていく。

 絨毯の代わりに毛布を引いておくと子供達が包まって遊ぶ。

 ミミや尻尾が乱舞する。

 ちなみに彼らには普通の耳もちゃんとついてる。

 まあ、メイド喫茶のネコミミ御姉さんみたいな感じだろうか。


 普通の耳で会話などをこなしながら上の耳で索敵などを行うのだ。

 超音波を使う獣人なんかは凄い能力らしい。


 その様子を、某買い物サイト有料会員向けサービスの容量無制限写真館にアップした。

 容量無制限で使っていたら、もう解約できないよなあ。


 動画サイトにも動画をアップしたが、掲示板の奴らにも好評だった。


162:名無しの園児

 おおお。

 おっさんGJ。


163:名無しの園児

 お義父さん、娘さんをください。


164:ケモミミ園園長先生

 まだ嫁にはやらん。


165:名無しの園児

 コテハンが^^


166:名無しの園児

 それにしても凄い技術だ。

 しかし加工の跡はないし。


 まさか……本当に異世界?


167:名無しの園児

 俺が園児に。


168:ケモミミ園園長先生


 >166


 三か月前、愛知県の××キャンプ場で起きた事件を知っているか?

 季節外れのオートキャンプ場で起きた人間失踪事件を。

 一人の人間が車ごとバンガローごと、周囲の大量の土壌ごと消えた。

 バンガローに繋がっていた電線も鋭利な感じに引き千切られていたという。

 あまりニュースや記事にはならなかったのかな?

 キャンプ場の管理人さんなら覚えているだろうがな。


169:名無しの園児

 え! それどういう意味?


170:名無しの園児

 まさか!

 おい、園長先生~。


171:名無しの園児

 続く。



 ブログのタイトルは戯れに「ケモミミ達の挽歌ー園長先生奮戦記」に変えてみた。


 ロゴスが人を十人手配してくれたので、ミリンダとベティには丁重に礼を言って帰っていただいた。

 彼女達には、気持ちでいくらか包んで渡しておいた。

 いきなりで、だいぶ苦労をかけたしなあ。


 警備の冒険者が欲しいと思ってチームエドに声をかけたら、やってくれるとの事で安心だ。


 本当に頼もしい奴らだ。

 エリーンは子供の相手もよくこなす。

 本当に頼りになる奴だよ。

 結構可愛いんだし、これであの異常な食い意地さえ無けりゃなあ。


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― 新着の感想 ―
異世界ケモミミブログ、激アツなブログですね(*´▽`*)
[気になる点] 本来なら肉体も若返ってるからエリーンを恋人にも愛人にも出来そうなのに。 やはり、中身はオッサンの精神がその気にさせないのか。 アントニオ君に春は来たのに(笑)
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