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59-1 離宮建設

 とりあえず別荘……じゃなかった、離宮の基本となるパーツは作り終えた。


 あれだ。

 工場で部品を作って現場にて短時間で組み立てるタイプの家みたいなものか。

 あんな感じでやれないかなと思ってね。


 宮殿なんかでも、よく見ると案外と同じようなパーツで組まれているような感じがする。

 確かに広い宮殿なら同じ造りの部分も結構あるよな。


 そういう作り方をすると、なんていうかチャチな作り物のように見えたりするので、おっさんは器用に小細工して、表面処理的に加工して個別に趣を出している。

 なんかこう画像ソフトで加工しているようなもんだな。

 部材は、そのかなりの部分をコピーで賄えるから時短になる。


 基本の材料は魔法の素材船橋コンクリートだし、更にそれをオリハルコン筋にする予定だ。

 接合は魔法で行なうのでバラけてしまうような心配はない。

 この辺りは小学校建設で技術を磨いたので、まだ楽が出来ている。


 さあてっと、まずは地均しと基礎工事をやりますか。

 あれだ、整地する時に地面をバンバン叩く感じにする工程だ。

 昔、隣の家を壊して建て直す時にやっているのを見たので、そのイメージでいつもやっている。

 魔法で土地をバンバンに叩き均した。


 注意すべき事は、その衝撃が周囲に与える影響に関してだ。

 うちのマンションの地内が、隣の河川工事のせいで地割れみたいになっちまった事がある。

 整地工事の際には周囲に地中の衝撃を遮断する結界を張っておいた。


 次に基礎は、地下三十メートルにまでオリハルコン製の杭を打ち込んで、これが建物のパーツと組み合わさるようにしておいた。


 一応は地面の中に収納を用いて深めの溝を切っておき、そこへ船橋コンクリートを流し込んでおく。

 幅一メートルくらいの大きな正方形のような形にして。

 魔法で乾燥させて速攻で基礎部分のコンクリートを完成させる。


 魔法の素材はとても便利だ。

 船橋コンクリートはある程度の弾性がある。

 一体どうなっているものか、俺にはさっぱりわからないのだが、とにかく普通の素材じゃない。


 船橋コンクリートは少々の衝撃や経年劣化にもよく耐えて、砕けたりしなくて、かなり長持ちする。

 素材自体にも魔法がかかっていて、魔素を吸収して自己修復していくし。


 普通のコンクリートは暖かい季節には柔らかくなる事も相まって、そう簡単に割れたりはしない。

 冬場に固くなって縮み、分子間力が弱くなった時に分子同士が御手手を放して皹が入るのだ。


 表面の塗装も一緒に割れ、僅かな毛一筋のような小さな隙間から水が入って侵食していく。

 そいつを放っておくと中から浸食して崩れていくのだ。

 それが鉄筋にまで達すれば錆びて、鉄筋コンクリートの強度が極端に落ちるしね。


 またそこから内部に入り込んできた水が凍って膨らんで、やがてコンクリートを内部から徐々に砕いていく。

 築五十年を超えるような管理組合の無いマンションなんてゾッとする代物でしかない。


 船橋コンクリートは、そういう事が一切ない素材のようだ。

 そうでなければ、それによる建造物が千年も無事でいられるはずがない。

 外壁塗装の必要もないようだ。

 

 他にはありえないような素晴らしい素材らしい。

 俺にも理屈がさっぱりわからないがコピーは出来た。

 特性も別に劣化していない。


 武が作った作品の場合、コピー出来る物と出来ない物の基準が今一つわからない。

 俺の魔法やスキルとの相性問題もあるのかもしれない。


 これを売ってもいいかと訊いたら、ミハエルから「ちょっと待ってくれ」と言われた。


「一体お前のスキルはどうなっている。

 何故これが作れてしまうんだ。

 初代国王の没後は誰にも作れなくて、この王都以外には我が国にだって存在しないものなのだが」


 そんな事を言われてもなあ。

 実際に出来ちまったし。


 そういう訳なので、一応は国王預かりとなっていて、ずっと保留になっている代物だ。

 離宮には使っていい事になっている。

 小学校には勝手に使っていたけど。

 そんな事情は知らなかったし。


 色々とドワーフに仕上げをやってもらう事になっているので、親方にも来てもらってある。

 どんどんと出来ていく建物を見て、奴もかなり感心していた。


「稀人の国では、こんな風に家を作るのか?」


「安物はな。

 工房で部品を作って馬車で運んで、現地で組み立てて一日で作るのさ。

 アメリカなんかだと、どこかで一軒丸ごと家を作ってから超大型の馬車で運ぶ場合もある。

 そのでかいのが街道(フリーウエイ)を塞いでいて、のろのろ運転をしているんで困ったりしたもんだ。

 さすがに、この離宮を工房で作るのは無理だな」


 フリーウェイでも、あれがのろのろと前を走っていると追い越しが辛いんだよな。

 なにしろ幅があり過ぎて、対向車がまったく見えねえ。

 そして迂闊にあれを追い越すとマジで洒落にならない場合があるのだ。


 アメリカの道路の構造や法規は日本とは大きく異なり、車で走る人間の権利をギリギリまで尊重している。

 逆に、その命ギリギリまで自由に設定されているルールを破ると、時には即大事故に繋がりかねん。


「ケッ、ファッキン糞共が。俺様が作ったルールを破れるものなら破ってみろ。その代わり破ったら即死ね」みたいなアメリカの役人の恐ろしいまでの気概が伝わってくる。


 今回は輸送の行程がないので、そういうトラブルの心配はない。



 エルフさんにも内装とかを頼みたいので、あれこれと見てもらった。

 ついでにヘレンさんとエルフの代官にも。

 あそこは、まだ挨拶回りに行けていなかったのだ。


 ギルマス・アーモンとエルミアの神父様は、またゆっくりおいでと言ってくれている。


 俺は一応冒険者、しかもSSSランクという世界最高峰の冒険者の癖に、一体どれだけ長い間冒険者ギルドへ行っていないのか。

 この世界に来てから冒険者家業は殆どしていないしなあ。


 この前ギルマスに会ったのは、確か向こうが来てくれた時だった。

 それが何の時だったのか、もう思い出せないほどだ。

 ギルマスが親方と仕事の話をしていたのを見た記憶がある。

 酒絡みの話だから、御花見の頃だったかなあ。


 最近はマリノ王国の冒険者ギルドにしか行っていない。

 あそこも、また遊びに行こうかな。

 それにアルスのための都合もあるのだ。


「園長先生、御嫁さんを貰えて良かったわねえ。

 後で、うちの子にもいい御嫁さんを紹介してくださいね」


 挨拶に来てくれたヘレンさんも嬉しそうだ。


「ああ、その件なんだけど、ゲルスと決着がついてからね。

 理由はわかっているでしょ、ヘレンさんも」


 彼女も頷いた。

 ゲルスが喧嘩を売ってきているのだ。

 あの国(正しくはその前身となった国)の元王子が無関係でいられるはずなどない。

 そして、その場合に俺が黙ってすっこんでいるなんていう訳がないのだ。


 その辺の、アルスの御嫁さんに関しても少し考えている事はあるのだ。

 御嫁さん候補の本人には、俺からそれとなく聞いておいた。

 そして「ちゃんと国を取り戻して、彼が国王になれたら考えます」という回答を貰った。

 ちゃっかりしているなとは思ったが、しっかりと考えてくれている証拠なので却って安心できる。


 自分の家や国との関係もあるのだ。

 それなりの身分の子だし。

 もっとも、そうでなければアルスの王妃には推せない。


 どっち道ゲルスの連中とは、もう確実に一戦やらにゃあ済まん事態なのだ。

 それに奴らゲルスを俺が蹴散らせば、国内の俺に対して小煩い連中も黙るだろう。

 それも計算の内にあるのだ。



 エルフ新町の代官も船橋コンクリートには関心があるようだったが、エルフをもってしてもよくわからない物らしい。


 武の奴め、下手をすると分子レベルで魔法を付与しているのではないか?

 分子レベルでの魔法撥水処理さえ行われているかもしれない。

 どうせまた細かい仕事をしているんだろう。


「それじゃ、行くよ~」 


 俺は基礎を打ち込んだ土地に、アイテムボックスの中で加工した「アルバストーン(船橋コンクリートの商標名)」を組み付けた。


 トイ・ブロックのようにガチャガチャと組み付けている。

 多数の基礎となった杭やンクリートの基礎部分に、次々とコンクリート舗装が行なわれている。


 通常なら伸縮を計算してコンクリートには継ぎ目を打っていかないといけないが、これには必要ないらしい。

 もう温度変化で伸び縮みする分子結合の仕組みに魔法で干渉しているとしか思えん。

 なにしろ化学のプロが作った魔法のコンクリートだからなあ。


 船橋コンクリートの場合は、はたして化学なのか物理なのか。

 俺はどっちも苦手だったし。


 そこに鉄筋(オリハルコン筋)入りの柱を差込接合していく。

 その箇所は下の部分も、埋め込まれた鉄筋同士が接合するように特別な構造になっている。


 王宮なんかも、これを大掛かりにやったのだろう。

 ただ俺みたいに素材をコピーできないし、工事には魔力も必要だから時間がかかったと推察される。


 あれには鉄筋も入っていないのだろうが、代わりに修復するギミックが組み込まれているし、素材レベルで超強化されている。



 こうやって魔法やアイテムボックス頼みで建てていると、本当に子供のブロック遊びのような感じで家が組まれていく。


 離宮の基本は三階建てで、一部は四階建てだ。

 まあ普通に階段で上り下りするのなら、そのあたりが限度だろう。


 宮殿は天井が高いので、それでも上り下りは超大変なのだが。

 そしてスーパーヨット製作で開発した魔導エレベータを各所に組み付ける。

 ホテルのように、従業員が使う料理を運ぶワゴンや清掃用の手押し車などが使う、従業員用のエレベーターも設置してある。


 王都の場合は、王宮にいざとなったら立て篭もるための地下階を作っていたようだが、ここにはそんなものは必要ない。


 ヤバくなったら家族や従業員など全員を連れて転移魔法で逃げ出すまでだ。

 そのために各地にセーフハウスを作っているのだからな。

 それは今まで通りだ。

 必要ならば、この離宮さえも持ち運ぼう。


 地下にあった方がいいような、倉庫みたいな物は作ってある。

 気が向いたら地下階層を作ってみてもいいけどね。


 地下室ってなんだかワクワクするし。

 あれ、子供が大好きだからなあ。

 今度ケモミミ園にも、遊び心で別荘なんかによく作ってあるプレールームみたいな地下室を作ってみるか。


 今日は一日かけて建物を作ってしまおう。

 親方はエレベーターに興味津々なようだったが、果たして作れるかな?

 違うやり方なら出来ると思うのだが、どうだろう。


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